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死にたがりの義勇兵。~死にたいのに、どんな逆境でも生き残ってしまう。そんな才能を持った主人公が多くの者を死ぬ気で救っていく物語~  作者: コヨコヨ


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楽しい夕食

「はははっ、冗談ですよ、冗談」


 リーズ先生は不安が解消されたからか、満面の笑みを浮かべる。


 俺はリーズ先生の笑顔を久々に見た。


「悪い冗談ですね……。肝が冷えますよ……」


「ほっ……」


 ルーナはなぜか安堵し、無い胸に手を当てていた。


 俺とルーナはメイのもとに向かう。


 俺が病室の扉を開けると「お兄ちゃん!」と言って飛びついてくる妹の姿は……なかった。だが、ベッドの上で横たわっている妹の姿は今もある。


「メイ、ただいま。何とか生きて帰って来れた。こっちにいる子共……」


「ふんっ!」


 ルーナは俺の尻を蹴り、子供発言を撤回させる。


「えっと、俺の上司だ」


 俺はメイにルーナの話しをして、大変だった仕事の話しも長々と語った。すると、病院の外が暗くなっており、父さんの形見である懐中時計を見ると午後七時を過ぎている。


「じゃあ、また見舞いに来る」


 俺はメイの額にキスして立ち上がる。


 その後、俺はリーズ先生の家に向かった。

 鉄製の扉を三回叩き、名前を言う。すると、ドンガラガッシャンと言う音と共に、扉に何かがぶつかった。


 鍵がガチャリと開く。すると鼻から血と鼻水を流し、泣きすぎているテリアちゃんが現れた。


「うわあああああああああっ、キースさああああああああんっ!」


 テリアちゃんは両手を突き出しながら俺に抱き着いてきた。俺も彼女の体をぎゅっと抱きしめる。あまりにも泣きじゃくるので、宥めるのが大変だった。


「ひっぐ、ひっぐ……。キースさん、今日は泊っていきますよね……」


 俺はルーナの方を一度振り返る。すると、ルーナは首を縦に一度振った。


「ああ。そうさせてもらう」


「それじゃあ、腕によりをかけて料理を作らないといけませんね!」


 テリアちゃんは盛大に泣きじゃくったあと、太陽かと思うほど眩しい笑顔を見せてくれた。


 俺が中に入ると、ルーナも入ってくる。


「ちょ、なんでルーナさんも入ってくるんですか。今日は彼氏と彼女が久々に会ってラブラブする日なんですよ。せっかくの下着が台無し……」


 俺は暴走するテリアちゃんの口を塞ぎ、今にも切れそうなルーナの方を見る。


「はははっ、子供の想像力ってすごいよなー。テリアちゃんは昔からこうなんだ。ちょっとおませな子なんだよ。俺とテリアちゃんの関係は友達なだけだから、そんな形相で睨まないでくれ」


「じぃ…………。本当かどうか、調べさせてもらいます」


 今日、ルーナはリーズ先生の家に泊まるそうだ。まあ、部屋数は十分あるから、心配ない。


「どうぞ、キースさん。たくさん食べてください」


 テリアちゃんは下町でよくそろえたなと思う食材で料理を作り、俺に出してきた。ルーナも驚くほどの料理の腕前を持っており、三人で夕食を楽しむ。


 リーズ先生は病院で過ごすらしく、今日は帰ってこれないんだとか。


「キースさん、あーん」


 テリアちゃんはシチューをスプーンで掬い、俺に食べさせてくる。


「あ、あーん……。お、美味しいー」


「えへへ、良かったー。いっぱい作ったので、たくさんお替りしてくださいね」


「じぃ…………」


 テリアちゃんの笑顔の奥に、目を細めたルーナの姿がちらついており料理に集中できない。


「ルーナ、少し見すぎじゃないか?」


「それを言うなら、キースさんとテリアちゃんは距離感が近すぎます」


 テリアちゃんは俺の膝の上に座り、食べさせてくれていた。確かに近いか。


「言われて見たらそうか……。テリアちゃん、少し離れてくれる」


「えー、なんでですか。いつもなら、キースさんが食した料理を口移しで愛し合いながら食べているじゃないですかー」


「してるかっ! 俺はそこまで変態になった覚えは無いぞ」


 俺はテリアちゃんにデコピンして、叱る。


「うぅ……、私の妄想なのに……」


「妄想が過激すぎるんだよ。ルーナがドン引きしているじゃないか」


 ルーナは汚物を見るような目で俺を見ていた。さすがに嘘だと気づいてほしいのだが。


「はぁー、キースさんは子供が好きとか言う変態貴族と同じかと思ってしまったじゃないですか。キースさんが子供に好かれる体質なのはわかりますが、その矛先がテリアちゃんに向っていたと思うと、今すぐ捕まえたほうがいい気がしてきました」


 ルーナはテリアちゃんの作った料理をバクバク食べた後、話す。


「ルーナが料理を食べているところ、何気に初めて見た気がする……。食べ方まで綺麗なんだな」


「なっ……!」×ルーナ、テリア。


「ん? どうかしたのか」


「わ、私は大貴族の長女ですよ。食事の決まり事くらい、し、しっかり出来るに決まっているじゃありませんか」


 ルーナは頬を赤らめながら、クリームシチューをスプーンですくい、優雅にたしなむ。


「もう、キースさん。私にはそんな一言、一度も言われた経験がありませんっ!」


 テリアちゃんはぎゃんぎゃん騒ぎ、自分の行儀が物凄く悪いと気づいていないのだろうか。


「テリアちゃん。ルーナを手本にしたら行儀がよくなると思うぞ」


「ルーナさんを手本……。確かにそうですね!」


 テリアちゃんは俺にまんまと載せられ、椅子にしっかりと座り、おしとやかに食事をし始めた。これで俺も静かに食事ができる。


 皆で食事をした後……。


「キースさん、拭き合いっこしましょっ!」


「テリアちゃん……、もう卒業……」


「しませんっ!」


 齢一三歳の少女は布を持ち、大きな桶のあるお風呂場まで俺を引っ張ってくる。


「キースさん……。相手が一三歳未満の子供である場合、又は相手が一三歳以上一六歳未満未満の子供で、行為者が五歳以上年長である場合、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立します。聖騎士には相手の意見を聞かず拘束する権利が与えられているんですよ」


 ルーナは汚物を見るような目で俺を睨む。どうやら、俺を犯罪容疑で逮捕しようとしているようだ。


「お、俺はしたくてしているんじゃない。テリアちゃんに脅されて……」


「キースさんは私と洗いっこすると、しっかり丁寧にねちっこく全身を拭いてくれるんですよ。すっごく気持ちが良いんです……。頭が蕩けちゃうくらい……」


 テリアちゃんは身を捩り、呟く。


「て、テリアちゃんっ! さすがに盛りすぎだっ!」


「キースさん……。死刑にしましょうか?」


 ルーナは俺の頭に銃口を向ける。目が本気で、どうしようもない。俺はルーナにできるかぎりの良い訳と謝罪をする。なぜ俺がルーナに謝罪をするのかわからないが、謝らないと殺されると思った。


 その後……。

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