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死にたがりの義勇兵。~死にたいのに、どんな逆境でも生き残ってしまう。そんな才能を持った主人公が多くの者を死ぬ気で救っていく物語~  作者: コヨコヨ


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安全な場所

「えっと……。なぜこうなるんだ……?」


「うるさいですね、私だって恥ずかしいんですから、早くしてくださいっ!」


 俺とテリアちゃんは犯罪になるが、俺とルーナなら犯罪にはならないと言うことで、ルーナが全裸になり、風呂場で俺に背中を向けていた。どうやら、拭けと言う意味のようだ。


 俺はルーナにしたがい、背中を拭いた。あとは自分でやってもらう。俺も背中を拭いてもらった。テリアちゃんはルーナに体を洗ってもらっていた。


 風呂場から脱衣所に出て体を乾いた布で拭く。


「はあ……、私がキースさんの体を洗いたかったのにー。ルーナさんもキースさんを狙っているんですか?」


「な、何を言っているのテリアちゃん……。わ、私はキースさんのことなんてこれっぽっちも好いていませんよ。こんな野蛮人を好きになるわけないじゃないですかー」


 ルーナは俺の方を向き、頬を赤らめた後、テリアちゃんの濡れた髪を魔法で乾かす。


「俺はルーナに相当嫌われているようだな。まあ、当然っちゃ当然か。でも、こうしてみると……、姉妹みたいだな」


 俺はルーナとテリアちゃんの姿を見て、心がなごむ。綺麗な者同士が内着姿で美しい髪を乾かしているのだ。絵画にでも出来るほど心を震わせる光景だった。


「ちょっと、キースさん。なに見ているんですか……」


 ルーナは俺の視線に気づき、頬を赤らめながら呟く。


「キースさんは私のことを見ているんですよー。えへへー、もう、しょうがないなー」


 テリアちゃんは短パンを脱ぎ始めたので、ルーナに止められる。


 髪を乾かし終わった二人は歯を磨き、ダブルベッドに横たわる。俺は床で一人で眠ろうとした。だが、体が浮遊し、ダブルベッドの中央に落とされる。


「床で寝ても疲れは取れませんよ……」


 ルーナは俺の左腕を掴む。


「一緒に寝てくれるって約束しましたよね……」


 テリアちゃんは俺の右腕を抱きしめた。


「えっと……、ルーナ、なんで俺をここに?」


「別に理由なんてありませんよ。ただ、プルウィウス兵と戦う前に抱き着いた時、思ったよりもキースさんの抱き心地が良かっただけです……。それ以上聞かないでください」


「はいはい、そうですか……。んじゃ、俺も抱きしめて良いってことだな」


 俺はルーナとテリアちゃんに腕枕するように腕を潜り込ませ、肩を抱く。そのまま、後頭部を優しく撫で、甘えん坊の妹たちを愛でる。


「なっ……。も、もう……。仕方ないですね……」


 ルーナはまんざらでもない表情で微笑み、俺にくっ付いてきた。


「もう、私だけのキースさんなのにー。私が先に唾を付けてたんですからねっ!」


 テリアちゃんは俺にくっ付きながら呟く。ほんと、子供のくせにませてやがる。


「はあ……、さっさと寝ろ。時間がもったいねえ」


 俺は目を瞑り、二名の後頭部を優しく摩りながら眠る。


 夢か現実かわからない意識の時、俺の唇に何かしら柔らかい物質が振れたような気がした。夢だったのかもしれない。夢うつつ状態で、実感がないのだが、何者かに悪戯された気がする……。


 次の日の朝、俺は目を覚ますと両手に天使を抱えていた。どちらも寝ている姿は子供同然で、愛くるしい。二名の睡眠の邪魔はしないように、起き上がる。服を着替え、テリアちゃんはルーナに任せておいた。


 リーズ先生の家の時計を見ると、午前六時。俺は外に出て久しぶりの下町の空気を吸った。


 レインやルーナが報告しているかもしれないが、俺も挨拶しておきたかった。工場に行き、多くの者に背中をたらふく叩かれた。その後、風俗街に行き、彼女が働いていた店に向かう。


 受付の男性に話を聞くと、彼女はきっぱりと辞めたらしい。

 男性は彼女の居場所を教えてくれなかったが、俺が聖騎士の部下であると伝えるとさりげなく居場所を示す。


 以前は犯罪の多い地域に住んでいたようだが、今は比較的安全な田舎の地区に住んでいるようだ。


 俺は風俗街から馬車で三時間移動した。家の数が各段に減り、見かけが他の家よりも各段に良い酒場が目に入る。


 とある美人な女将がネオンライトの看板を家の中に戻している途中だった。ただ、看板が重そうで腰を痛めるような持ち方をしている。

 若い女将は胸がデカく尻もデカい。腰はくびれがしっかりとあり、綺麗な金髪の髪が風になびいていた。


 俺は軍隊帽を深く被り、近寄る。


「そこの綺麗なお嬢さん。お店はまだやっていますか?」


「す、すみません。丁度閉店で……、へ?」


「そうですか。戦場からはるばる戻ってきたんですが、一杯分の酒くらい、付き合ってもらえませんかね。そうしたら、その看板を戻すの手伝いますよ」


「…………う、うう」


 俺は地声を隠し、敬語と言うめんどい言葉で話していたのだが、なぜか女は泣き出した。


「おいおい、なんで泣くんだよ。あと、安全な場所に引っ越せとは言ったが、遠すぎだろ」


「うわああああああああああんっ!」


 仲間の妹は大泣きしながら俺に飛びついてくる。そんなに泣かれるとただ挨拶しに来ただけの身としては複雑な気持ちになるな……。


「ミル、泣きすぎだ。レインから話は聞いていただろ」


「あの、馬鹿兄貴……。ほんと最低……。今度会ったらぶん殴ってやる……」


「レインから何を聞いたんだ?」


「キースさんが自分を助けて戦場で死んだって……。それを聞いた私はどうなったと思う」


「どうって……」


「一週間寝たきりになっちゃったんだよ。ずっとずっと泣いて泣いて最近、やっと動けるようになったの」


「そうだったのか。あー、なんだ。レインのちょっとした悪戯か、ミルの記憶から俺を忘れさせたかったのか、理由はわからないが、残念ながら俺は生きている。死に損なったから挨拶に来たんだ」


「うう……。本当に、本当に良かった……。あ、こんな所じゃ、話し合いも出来ないし、お店の中に入って。馬鹿兄貴から送られてきたお金で平屋を居酒屋に改装したの。ささ」


 俺は美人な女将に手を引かれ、建物の中に入る。いったん出て看板を家の中に戻した。


 中に入ると、小さな空間にカウンター席とテーブル席があり、視界の奥には多くの酒瓶が並んでいた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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