¶1.偵察者 6 ~ ティータイム 3 ~
マオ
「オレの頼みに見合うだけの条件……」
セロフィート
「どうしますか、マオ。
何か良い案は浮かびます?」
マオ
「……………〈 魔物 〉達が喜ぶ様な条件にした方がいいのかな?」
セロフィート
「当然です。
〈 魔物 〉に不利な条件を提示しては、幾らワタシが交渉しても無駄に終わります。
魔物達が喜ぶ条件を考えてください」
マオ
「そんな……。
オレ…1人で考えるのかよ?」
セロフィート
「当然です。
マオはワタシと傍観のは嫌なのでしょう?」
マオ
「傍観は嫌だよ……」
セロフィート
「頑張ってください。
──マオ、休憩は終わりです。
先へ進みましょう。
中心部へ着く迄に時間もあります。
歩きながら2人で考えましょう」
マオ
「セロ!
一緒に考えてくれるのか?」
セロフィート
「そんな事、言ってません」
マオ
「言ったろ!!
〜〜〜〜セロ(////)
好きだよ(////)」
マオはセロフィートの腰に抱き付いた。
セロフィート
「………………マオ(////)
君には何時も楽しませてもらってますし。
今回は特別です」
マオ
「うん!(////)
有難な(////)」
幼い子供が嬉しそうに大好きな保父さんに抱き付いて懐いている様な光景は、誰が見ても微笑ましい。
マオが園児だったならば、尚微笑ましい光景となっていただろう。
腰に抱き付いているマオを無視して、セロフィートは〈 古代魔法 〉を発動させた。
地面に〈 魔法陣 〉が現れる。
〈 魔法陣 〉が光るとテーブルと椅子は〈 魔法陣 〉の中へズブズブと沈みながら見えなくなった。
マオ
「あれ?
消え方が何時もと違う??」
セロフィート
「消え方にも種類はあります。
良ければ何種類あるか当ててみてください」
マオ
「えぇっ?!
う、うん…。
当てたら何かあるのか?」
セロフィート
「ははぁ…。
ワタシに御褒美を要求しますか」
マオ
「駄目…かな(////)」
セロフィート
「面白いです。
正解出来たら、マオの願いを1つ叶えてあげます」
マオ
「え?!
な、何でもいいの??」
セロフィート
「1つだけです」
マオ
「う〜〜〜〜(////)
じゃあ…セロと式を挙げたい!!」
セロフィート
「はい?
式…です??」
マオ
「うん!
挙式だよ!
≪ 町《サドラロッテ》 ≫にはステンドグラスが綺麗な《 教会 》があるんだ。
ステンドグラスの綺麗な《 教会 》を集めた雑誌にも紹介されるぐらいなんだ!」
セロフィート
「そうです?」
マオ
「出来たらさ、其処の《 教会 》でセロとオレの結婚式を挙げたい!
〈 大陸神エルゼシア様 〉の前で、生涯の伴侶になる事を誓うんだ。
セロとオレは夫婦になるんだよ!!」
セロフィート
「……………………。
( 今度は『 結婚ごっこ 』ですか。
マオの思い付き──、遊びの発想は面白いです。
今回の『 結婚ごっこ 』も、なかなか手が込んでそうですし…。
マオはワタシを飽きさせてくれませんね )
──分かりました。
良いでしょう。
マオが正解したら、マオの好きな《 教会 》で結婚式を挙げてもいいです」
マオ
「──えっ?!
本当?!
いいの??
オレと結婚してくれるのか?!
夫婦になってくれるの?!」
セロフィート
「態態式を挙げなくても、〈 契約 〉で既にワタシはマオだけのセロフィート,マオはワタシだけのマオなのに…」
マオ
「いや…其はそうなんだけど……。
結婚式とか……憧れるんだよ…(////)
…………オレ、もう人間じゃないし……。
結婚してさ、幸せな家庭を築く──なんて事が出来なくなっちゃっただろ。
………………其の…さ……子供を授かる為に必要な…さ……(////)
…………せ…生殖機能だってさ…完全に失われちゃっててさ……、唯の飾りに成り下がってる訳で……(////)
マーフィにも伯父さんにもラオインダにも…オレの子供を抱かせてあげる事だって…出来ないんだよ。
…………だからさ…せめて……『 好きな人と、結婚式を挙げれたよ 』っていう報告だけでもしたいんだ(////)
そんな報告は迷惑かも知れないし、オレの身勝手な自己満足かも知れないけど……」
セロフィート
「そうですか。
マオの思いは分かりました。
ワタシはマオだけセロフィートです。
マオの優しい気持ちに応えても良いです」
マオ
「セロ!
ありがとっ(////)」
セロフィート
「但し、其には条件があります」
マオ
「条…件??
何だよ…条件って……」
セロフィート
「アンジェスリンさんには妹さんが居ましたね」
マオ
「へ?
あ、ああ……居るけど…。
モリジアリナがどうかしたのか?」
セロフィート
「モリジアリナさんは、お裁縫が苦手なのにマオの為にウエディングドレスを縫ってましたね」
マオ
「………………へ??」
セロフィート
「モリジアリナさんが縫ったウエディングドレスを着てください」
マオ
「なっ何でだよ?!
オレ、男──ですけどっ!!」