¶ 1.偵察者 4 ~ ティータイム 1 ~
頷いたマオは、セロフィートの準備が済む迄、大人しく待つ事にした。
セロフィート
「マオ、出来ました」
マオが瞬きをしている間に、セロフィートはティータイムの準備を終えていた。
マオ
「早いんだもんな〜〜」
セロフィート
「さ──、マオ。
椅子に座ってください」
マオ
「うん(////)
有難な、セロ(////)」
マオの目の前には、如何にも高級そうで真っ白な丸いテーブルと真っ白な椅子が置かれていた。
テーブルの上には、2枚のスイーツ皿が置かれている。
各各のスイーツ皿の上には、セロフィートが『 持って来ました 』と言っていた、焼き林檎,無花果のタルティーヌが美しく載せられていた。
勿論、セロフィート特製の紅茶が無限に飲める〈 魔法のティーポット 〉もテーブルの上に置かれていた。
ティーカップ,ソーサー,スイーツフォーク,ケーキ皿も2人分用意されている。
座り易い様にと予めセロフィートが引いてくれた椅子に腰を下ろして座った。
セロフィート
「マオ、遠慮しないで好きなだけ食べてください。
他にも食べたいスイーツがあれば教えてください。
直ぐ出せます」
マオ
「うん(////)
有難な、セロ」
マオが自分でスイーツを取らなくても、セロフィートがケーキ皿の上に載せてくれる。
紅茶もセロフィートがティーカップの中へ注いでくれる。
至れり尽くせりだ。
マオ
「セロ、前にさ作ってくれた葡萄のクラフティが食べたい!
黒系,赤系,緑系の色違いのクラフティ!
其と、薩摩芋の蒸しケーキと苺のキャラメル餃子!
林檎のスコーン,ヨーグルトの苺タルト,苺のブラマンジェ,葡萄寒天,梨のデザートピザ,ハニーレモンのミニタルト,ミルクレープ,抹茶カステラ,胡桃のブラウニー,チョコスコーン,スコーン風無花果ブレッド,ほうれん草のパンケーキ,桃のココットパイ──」
セロフィート
「はいはい。
沢山食べて体内に〈 原質の源 〉を蓄積してください」
マオ
「うん!」
マオは舌鼓を打ちながら、セロフィートが出してくれたスイーツを食べ続けた。
セロフィートはというと、甲斐甲斐しくマオの世話を焼いていた。
「 美味しい! 」「 美味しい! 」と言いながら、ガツガツ,モキュモキュと食べっぷり良く、皿の上のスイーツを平らげているマオの様子をセロフィートは楽しそうに見ている。
セロフィート
「時にマオ、君に≪ 魔物の村 ≫の情報を流したのは誰です?」
セロフィートはティーカップに口を付け、紅茶を口の中へ含み、喉へ流し込んでから、マオヘ質問をした。
マオ
「──へ??」
セロフィート
「誰かから≪ 魔物の村 ≫の情報を聞いたでしょう?
マオに教えた親切さんが誰なのか知りたいです」
マオ
「〈 冒険者 〉だよ。
《 冒険者ギルド 》でさ、依頼帳を見てたら声を掛けられたんだ」
マオは秒で白状した。
≪ 魔物の村 ≫の話を聞かせてくれたT男から言われた、「 呉呉も内密にしてくれよな! 」という約束をアッサリと破ってくれちゃったマオだった。
セロフィート
「ニュイリとフィンは一緒ではなかったです?」
マオ
「今日は1人だったんだ。
ニュイリもフィンも別行動しててさ……」
セロフィート
「ふむ?
…………成程…。
其でワタシのマオに馴れ馴れしく声を掛けた訳ですか…。
( ニュイリとフィンは、帰ったらお仕置きですね… )」
マオ
「セロ??
………………怒ってるのか??」
セロフィート
「怒る??
何故ワタシが怒ります?
ワタシは唯、御礼を言いたいだけです」
マオ
「御礼?」
セロフィート
「そうです。
マオに≪ 魔物の村 ≫の事を無条件で話してくれた『 親切さん 』の意図は分かりませんけど、御礼はしなければいけません」
マオ
「そうなのか??
意外と律儀……なんだな?」
セロフィート
「意外と……です??
失礼な事を言いますね…」
マオ
「御免なさい……」
セロフィート
「何故マオが謝ります?」
マオ
「え??
…………な、何か…反射的に??
あは、あはははは……」
セロフィート
「そうです?」
笑って誤魔化すマオを見て、セロフィートは首を傾げた。
マオ
「御礼を言うなら、誰なのか知らないとな。
オレに≪ 魔物の村 ≫の事を話してくれたのは、テテオドットエルルって名前の〈 冒険者 〉だよ。
『 テテオ 』『 ドット 』『 エルル 』『 テオ 』『 トット 』『 エル 』とか、色んな呼ばれ方をされてる人だよ。
顔も広いし、色んな情報を集めてる物知りなんだ。
あっ、勿論…セロには敵わないよ」
セロフィート
「当然です。
テテオドットエルルさんなら、ワタシも何度か顔を見てます。
教えてくれて有難う、マオ。
テテオドットエルルさんへは、ワタシから直直に丁重に御礼をしときます」
マオ
「うん。
セロに任せるよ」
マオはセロフィートへ丸投げする事にした。
此の後、テテオドットエルルは『 死んだ方がマシだ 』と思う程の地獄の苦しみのオンパレードを味わう事になるのたが、『 其はまた別のお話で──── 』という事にしておこう。