2.食堂 4 〜 人形の浮気 4 〜
椅子から腰を浮かせて立ち上がったオリンテリアレスは、セロフィートとマオへ手を振ると《 食堂 》を出て行った。
マオ
「………………行っちゃったな…。
( セロが目当てじゃなかったんだな〜〜 )」
セロフィート
「どうしました?
オリンさんが居なくなって寂しいです?」
マオ
「え?
いや、別に…」
セロフィート
「初めてをマオへ捧げたワタシを忘れて楽しそうに話してましたね」
マオ
「違うよ!
楽しくなんか……」
セロフィート
「そうです?」
マオ
「そうだよ!
オレは──、何時もみたいに下心丸出しの野郎に言い寄られて、セロが困ってるのかと思ってだな…。
態と間に割って入ったんだよ!
…………けど、余計な事しちゃったみたいだな…。
《 野外劇場 》のイベントスタッフだったなんて思わなかったよ。
……話の邪魔しちゃったなら御免……」
セロフィート
「いいえ。
ワタシを心配して、してくれた事なら嬉しいです。
マオ、有難う」
マオ
「……う、うん(////)
( セロ目当ての男じゃなくて良かった〜〜!
セロが浮気してる訳でもなかったし!
ホッ(////) )」
マオは心の中で胸を撫で下ろし、安堵した。
マオ
「──セロが命名した〈 濃霧獣 〉だけど、すっかり定着してるな〜〜。
オリンさんが言ってたけど、此処等辺って、濃霧が出るのって珍しいのかな?」
セロフィート
「どうでしょう?
≪ 町 ≫の町人に聞くのが1番です。
──濃霧は濃霧でも酷い濃霧みたいですし、今日中に引いてくれるのか誰にも分からないでしょうね」
マオ
「外出が出来ないなら、今日は《 冒険者ギルド 》へは行けないかも知れないな…」
セロフィート
「《 冒険者ギルド 》に近い〈 冒険者 〉専用の《 宿屋 》なら行けたかも知れませんね」
マオ
「はぁ〜〜〜……。
何で〈 冒険者 〉専用の《 宿屋 》に変えなかったんだよ〜〜」
セロフィート
「何を言います。
豪華で贅沢な作りの〈 冒険者 〉専用の《 宿屋 》より、質素な作りの《 宿屋 》の方が落ち着く──と言って〈 冒険者 〉専用の《 宿屋 》への宿泊を却下したのは誰です?
マオでしょう」
マオ
「……………………そうでした…。
オレでした〜〜〜〜!!」
セロフィート
「ふふふ…。
1ヵ月近く休みも取らずに働き詰めでしたし、偶には1日ゆっくり過ごしましょう。
昨日、遠出したばかりですし」
マオ
「まぁな〜〜〜」
セロフィート
「折角ですし、アルソリュンド,マーフィさん,ラオインダさん,アンジェさん,モリジアリナさん,セレンディエタさんに手紙を書きましょう」
マオ
「手紙かぁ……。
モリジアリナには書かなくていいだろ?」
セロフィート
「アンジェさんと住所は同じですし、妹さんにも出しましょう。
マオ専用のドレスの出来具合も気になりますし」
マオ
「ドレスの事は言うなよ!
忘れさせてよ!」
セロフィート
「駄目で〜〜〜す。
マオのドレス姿をみたいですし」
マオ
「オレは着たくないの!!」
食卓の上に並べられた料理がマオとセロフィートに次次と平らげられていく。
空になった皿を隅に積み重ねて置いておけば、店員が下げに来てくれる。
空の皿が下げられれば、直ぐに出来立ての料理を別の店員が運んで来てくれる。
1ヵ月も宿泊しているセロフィート達は《 宿屋 》からしてみれば、上得意様だ。
食事代だけで、かなりの金額を《 宿屋 》へ落としていた。
マオ
「──濃霧で外に出れないなら、仕事が遅れるじゃんか。
御披露目会は再来週には出来ないんじゃないのか??」
セロフィート
「長引けばそうなるかも知れません。
どんなに酷い濃霧でも、昼頃には晴れるものでしょう?」
マオ
「普通の朝霧は午前中に晴れるもんだけどな…」
セロフィート
「手紙を書き終えたら、久し振りに≪ ダンジョン ≫で遊びましょう」
マオ
「何か嫌な予感しかしないんだけど!
何かザワザワするんですけどっ!!」
セロフィート
「其は気の所為です。
≪ ダンジョン ≫で発散させましょう」
マオ
「…………出来ないと思う。
そう言えばさ、フィンとニュイリは未だ戻って来てなかったよな?
何処に行ってるんだろな?」
セロフィート
「さあ?
フィンにもニュイリにも濃霧でも関係無いですし。
≪ 町 ≫を散策してるかも知れません。
≪ ダンジョン ≫に居るかも知れませんし」
マオ
「いいよな〜、フィンはさ!
猛吹雪の中でも平気だもんな。
濃霧なんて何て事ないんだろうな〜〜」
セロフィート
「フィンなら〈 濃霧獣 〉を相手にしても大丈夫でしょう。
先ず負ける事はないです」
マオ
「〈 濃霧獣 〉は『 怪物みたいな動物 』の事を略した呼び名だろ?
『 負ける 』とか何だよ??」
セロフィート
「──マオ、〈 濃霧獣 〉は実在します。
実体を得てしまいました」
マオ
「は……いぃ??」
〈 濃霧獣 〉に実体を持たせる事にしてみました。
セロフィートの『 楽しいお遊び 』に必要な駒にしようかと思っています。
「 そうなるといいな~~~ 」と思いながら書こうと思います。




