¶1.偵察者 18 ~ ペインキ 1 ~
マオ
「──あっ、待ってよ!
…………セロ!」
椅子から腰を浮かせ立ち上がったセロフィートは、黄色いペインキの前へ向かうと、ペインキの上を歩き出した。
テーブルも椅子もティーセットも出しっぱなしのまま行ってしまうセロフィートの後を追う為、マオは慌てて椅子から腰を浮かせて立つ。
駆け足でセロフィートの後を追ったマオは、穴へ入る手前のセロフィートに追い付いた。
マオ
「セロ!
テーブルとか椅子とか彼のままでいいのかよ?」
セロフィート
「ちゃんとしまいました。
もう出てないです」
マオ
「ええっ?!」
セロフィートの言葉に半信半疑なマオは、セロフィートが1人で先へ行ってしまわない様にコートを掴んだまま後ろを向いた。
確かにセロフィートの言った通り、テーブルも椅子も《 大広間 》から跡形もなく綺麗さっぱり消えていた。
マオ
「………………本当だ…」
セロフィート
「マオ、良い加減慣れてください。
先へ進みましょう」
マオ
「あ、うん……」
態態後片付けをしなくても、用事が済めば〈 魔法陣 〉が勝手に消してくれる為、至極楽なのだが、マオはなかなか慣れれなかった。
心の中で胸を撫で下ろしたマオは、掴んでいたセロフィートのコートを離すと、隣に移動した。
マオ
「──中は暗いな。
こうやって歩けるのは、光って見えるペインキのお蔭かな?」
セロフィート
「そうです。
蛍光色ですし。
此のペインキの上を歩いていれば迷う事はないです」
マオ
「赤色のペインキが消えてたけど何でだ?」
セロフィート
「ハズレの道だからです」
マオ
「此の黄色いペインキも消えるのか?」
セロフィート
「安心してください。
勝手に消えたりしません。
必要が無ければワタシが上手く隠します」
マオ
「そんな事出来るんだ?」
セロフィート
「ワタシは『 偉大なる──」
マオ
「『 〈 吟遊大詩人様 〉 』だもんな!」
セロフィート
「………………。
──マオ、『 様 』は付けなくて良いです」
マオ
「何でだ?」
セロフィート
「マオに『 様 』を付けて呼ばれると悲しい気持ちになります。
マオとワタシの仲ですし、敬称を使うのは止めてほしいです」
マオ
「そ、そうなの?」
セロフィート
「他人行儀でしょう?
マオとワタシは家族以上の関係です。
マオには小生意気で小煩くて、お節介で世話焼きな弟の様な口調で接してほしいです」
マオ
「………………。
其って喜んでいいのか?」
セロフィート
「素直に喜んでください。
マオから畏まった接し方をされたくないワタシの気持ちです。
マオはワタシの特別です。
マオに『 だけ 』は寛大になれます」
マオ
「う、うん…。
ありがと(////)
──で…でもさ、『 親しき仲にも礼儀あり 』とか言われてるじゃんか?」
セロフィート
「君が其を言いますか。
今更でしょう。
君は今迄にも十分過ぎる程、ワタシに失礼な事を言って来ました。
其に対してワタシが何も言わないのは、マオを許してるからです」
マオ
「ゆ、許してる??
…………どゆこと??」
セロフィート
「マオはワタシの恩人で、特別で、お気に入りです。
大切なワタシの相棒ですし、歳は離れてますけど、唯一無二の友人です。
ワタシにとって必要不可欠な存在なのですよ、君は。
許せるに決まってるでしょう」
マオ
「〜〜〜〜(////)
オレの事…そんな風に特別扱いしてくれてるのか??」
セロフィート
「そうです。
意外でした?」
マオ
「…………う、うん…。
予想外というか…。
オレ、すっごく嬉しいよ!!
どうやって、此の見えない気持ちを形に表したらいいんだろ??」
セロフィート
「何も難しくないです。
何時も心にワタシを想い、ワタシを求めてくれれば良いのです。
とても簡単でしょう?」
マオ
「──セロ!
そんなの何時もしてる!!
オレは毎日、セロの事を想ってるし、セロの事ばっかり考えてるよ!!」
セロフィート
「おや?
そうです?
では『 もっと 』ワタシを求めてください」
マオ
「もっ…もっと?!
今迄以上に──って事か?」
セロフィート
「そうです。
出来ますよね?」
マオ
「で…出来ま………………す(////)」
セロフィート
「有難う、マオ。
嬉しいです(////)」
マオ
「う、うん…(////)
( 『 もっと求めてください 』って言われてもな〜〜〜……。
どうしたらいいんだよ?!
分かんないよ!!
でも…セロは嬉しそうだし…。
何とかしてセロの期待に応えたいんだよな…。
セロが思ってる『 求める 』って……どういう『 求める 』なんだろ??
…………恋愛的に求めてもいいのかな??
いや〜〜…でも、相手はセロだしなぁ……。
恋愛に無関心なセロには通じないよな〜〜〜。
オレが虚しくなるだけだし…… )」
マオは頭の中で、頭を抱えて悩んでいた。
明らかに困っているマオの様子を微笑みながら見詰める。
マオの様子が可笑しくて、セロフィートは心の中でクスクスと笑うのだった。
マオ
「セロ??
どうしたんだ?(////)」




