出発はいつ?
私がこの世界に来てからカレンダーっていうのは見たことがない。
だから日付けは分からない。季節・・・・・屋敷の外には出たことがないからこれも分からない。
本当に分からない事だらけ。こんなんで良いのだろうか?
半月後っていつ?私自身が印を付けておかないとダメみたい。
半月後に向けて私もある程度は学習しなくてはいけない!
家庭教師のセスチャ先生に協力も必要だし。・・・・そうか!セスチャ先生も連れて行ったら良いんだよね。そうすると私も困らないしね。
そして必要な物は・・・・・何も無い・・・。
アンに早く話さないとね。
「アン。ちょっと話しがあるの。座って。」
「はい。お嬢様、何で御座いますか?」
「あのね、アンはいつも私と一緒よね。私、半月後にこの屋敷を出て行く事になったの。そこで、アンも一緒に来て欲しいのよ。良いかな?」
「・・・・・・お嬢様。勿論ですわ!!私はいつもお嬢様と一緒で御座います。有り難う御座います。ところで、何所へ行かれるのですか?」
「えっと、サンターラ・マジャ国?だったかしら。そこの宮殿らしいの。良いかしら。」
「・・・・・サンターラ・マジャですか。」
「アンは知っているの?その宮殿って。」
「はい。知っております。でも、何用ですか?」
「何故か私がその国の国王陛下の妃候補なんですって。この国を代表っていうのかしら、この国の姫としてね行かなければならないの。」
「・・・・承知いたしました。」
「そこでね、アンにお願いがあるの。何を持って行ったら分からないからアンが適当に準備しておいて頂けるかしら。」
「ハイ!私にお任せ下さいませ!」
わたくしはお嬢様付きのメイドとして御一緒にサンターラ・マジャに行きます。
でもお嬢様が妃に・・・・・何故なのでしょう?
あの国の国王陛下はたしか・・・・お幾つでしたかしら。
まぁ、良いでしょう。
お嬢様の御仕度の役を仰せ付かりました。光栄だと思います。
皆様に負けないように一生懸命にご準備をさせて頂きますわ!
半月後って仰いましたから急がなくてはなりません。
私は自分の自由の身の確保ばかり気遣っていたけど、サンターラ・マジャ国ってどんな国?
それに、何所にあるの?
セスチャ先生なら知っているかも。
そして、待ちに待った授業に先生に聞きました。
「フローレンス様。この度はおめでとう御座います。父上様にお聞きしましたよ。また、急に出発されるのですね。私の授業も後、15日です。それまでがんばりましょう。」
「先生、サンターラ・マジャ国って何所にあるのですか?そして、どの様な国なのでしょうか?」
「サンターラ・マジャ国ですか。その国はこのコット・ランダー国から千キロは行くと思います。
この国の国王は若くして国王ななられました。前の国王は御病気で世を去られたと聞いています。そして、この国の産業は果樹園。コット・ランダーも輸入しています。果樹園というと気候は温暖。雨も降ります。そして人口はわが国と変わりません。他に聞きたい事はございませんか?」
「先生。先生はご結婚はされているのでしょうか?」
「・・・・・いいえ。独身です。それが何か?」
「先生、私はまだ、記憶が戻っていません。それに私は心細のです。この国のことも今は分かりませんし。もし、先生さえ可能なら私と一緒に同行をして頂けないでしょうか?それに、向こうに行っても先生の授業は受けたいと思っています。」
「私があなたと同行・・・・・急に仰っても。考えさせて頂きます。」
「先生。宜しくお願い致します。」
これで、一つクリアです。でも、まだ分からないわね。先生は考えてくれるわよね。
だって、先生自体も出世できるチャンスだもの。それに独身だし、妻子がいると面倒なのよね。
今日、フローレンス様から一緒に来ないかと言われた。
確かに、フローレンス様はまだ、記憶も戻っていないうえにまだ、お若い。
それに、あの国のこともご存知無い。
私がフローレンス様と一緒に同行するとなれば・・・・・
出発は半月後だったな。
私達が忙しくしながら出発まであと1週間になりました。
屋敷の中は非常に慌しい。
特に母様はやたらと私にベッタリ。
父様は「申し訳ない」とばかり言う。
ソウ兄様とカル兄様は何時もと同じ。
でも、カル兄様は私に優しくしてくれる。以前、私が感じた「腹黒い」は間違いかも。
私が向こうに行く日には・・・・母様と父様は私にどんな態度を取るんだろう。
でも、家族で過ごすのは後、1週間。
頑張って親孝行しないといけない!
私がこの家族の娘となってもう・・・・何ヶ月?経ったんだ!
でも、家族と別れるときは泣くだろうな。きっと泣くと思う。
それだけ馴染んでいたもんな~~!
こんな時になんだけど、本物さんは今、何処?
彼女は初めからこうなることを知っていたのか?
今になって気になるのよ。
私も向こうの国に行ったら目立たず普通でいなくっちゃ!
多分、色々なお姫様が揃っているだろうし、女が集まるとドロドロしたものもあるわよね。
だけど、高貴なお姫様のドロドロも見てみたい!
そうそう、屋敷の料理長に頼むのを忘れていたわ!
彼にはどう言って同行させようか今日は寝ないで考えるわ!
これは、私のために。
私は昨日、寝ないで考えた。父様に頼むのが一番!
「父様。おはよう御座います。(ニッコリ)」
「おはよう。フル。もう直ぐ出発だな。お前がいなくなると寂しくなるな。」
「父様。私はお願いが御座います。・・・・この屋敷の料理長も私と一緒に同行させたいのですが如何なものでしょう。」
「・・・・バクンか?何故だ?」
「だって、あちらは沢山のお姫様が来られます。女ばかりと言えば陰謀。私は世間知らずですから、もし、もしも食事に毒でも盛られたら・・・・私は怖いのです。」
「・・・・・そうだな!ではバクンもフルに同行させよう。私から話しておく。心配無用だ!」
「まぁ~~~!!父様!本当に有り難うございます。フルは嬉しく思います。そして、父様、大好きですわ!」
やりました!!父親なんてチョロイもんだわ。
私・・・・・私自身が怖い!こんなに上手に行くなんて。私は女優か?
このまま行くと私は如何なるのか不安!!