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エターナル  作者: かさは
植物少女編
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第四十九話 次の一手

「……確かにそうかもな。」

学園の会議室で、とあることが話されていた。



「えぇ、ですから……あのデカい悪魔と学園の襲撃はあまりにも……出来すぎています。」

そう話していたのはトワだった。その言葉に誠也と仁、学園長は静かに考える。



「トワの言うことが正しいとしたら、それは裏に操っている者がいる……ということになるな。」

手をあごに乗せ、トワを見る誠也。



「だが、それが分かんねぇんだろ。」

仁は僅かに苛つくように言葉を発する。



「でもそれだけ分からないということは、相手は頭の切れる人間であるということでは?」

その場にいた全員が黙った。



「それにしてもよトワ。なんで俺たちを集めた?」

仁はトワから目をそらさず見つめる。



「……あのお前が理由もなく何か言うとは思えねぇ。」

それに続くように誠也は腕を組んで言った。



「えぇ、そうです。俺は……その元凶を倒したい。」

億劫せず堂々と言い放つ。



「………。」

その言葉に目の色を変えた仁。



「悪いがなトワ。俺達だってお前のその我儘に付き合ってやれるほど暇じゃねぇしやることだってある。」

誠也はそこで一度息を吸った。



「えぇ。言ってることはご尤もです。」



「なら聞かせてもらおう。何の大義名分があってそれを成し遂げたい?何の利点がある?」

誠也はトワを見下ろすように、威圧するように訊く。



「…………。」

仁と学園長はそれに口を挟まず二人を見ていた。



「利点ならありますよ。いや……利点しかない。」

トワは冷静にそう言い放った。



「へぇ………。」

それは怒りというよりは興味が強い物言いだ。



「そりゃ、利点のないことを言うほど馬鹿じゃないんで……。」

肩をすくめ、頬が僅かに緩む。



「なら、言ってみろ。」

顎をクイッと動かした。



「一つ、その元凶を倒すことで次の襲撃が来ない、もしくは遅れる可能性があります。」

人さし指を一本立てる。



「二つ。それによって避難者の恐怖が和らぐ。」

誠也は訊くことに徹し、ひと言も発さなかった。



「そして三つ目、新しい避難所を探すことが可能となる。」

指を三本立てたまま淡々と言う。そこでようやく誠也が口を開いた。



「確かに、筋は通ってる。お前の言うとおりだとも思うが……問題はその元凶だろうが。…尻尾の一つでも掴めてなけりゃ、その考えはゴミ箱行きだぞ?」

真剣な眼差しでトワを見つめる。



「あくまで勘ですけど……何となく分かります。」

トワの脳裏にはあの植物の少女がよぎった。



「菅野さんも、一度会ったことがあるはずです。とんでもない強さをした悪魔に。」

それを聞いて誠也は思い出す。



「まさか………!」

誠也の額にはわずかに冷や汗が出る。



「かもしれません。」

トワは一度仁と学園長。見て何も言わないことを確認した。



「だが……違う場合もあるだろ……?」

なんとか逃げ道を探そうとしたが、それは現実逃避でしかなかった。



「違う場合、辻褄が合いません。」

それは誠也も分かっていた事だった。



「そもそとして、俺がついさっき言ったように、この襲撃はあまりにも出来すぎているんですよ。それこそ、俺が殺されかけた時から……全部。」

トワは拳を強く握る。体はわずかに震えていた。



「それがあの女の子が仕組んだことなら……理由は分かりませんが辻褄は合う。合ってしまうんです。」

声に震えが乗ってくる。



「……そうか。」

誠也は心を落ち着かせた。



「ならよ、戦力の問題は?前にみたいにほとんどを外に連れ出したらまた襲われるかもしれねぇ。」

誠也は震えを隠すように近くにあった椅子に腰掛けた。



「えぇ、だから………少数で行くんですよ。」

その言葉に流石に驚きが隠せなかったのか目が見開かれる。



「……は?おいおい、正気かよ。相手がどれだけの戦力を用意してるかもわかんねぇだぞ……!その状況で少数で殴り込めば……全滅は免れない!」

疑うような眼差しをトワに向けた。



「それはないですよ。」

しかしトワは冷静でいた。



「なんでそんなことが言える。」

誠也は一度深呼吸する。



「簡単ですよ。本当にそんな戦力があるなら、あの男が倒されたあとすぐにでも学園に送ればよかった。」



「…………なるほど。確かにその後送れば少なくとも学園を潰せる可能性はあった。でも敵はそれをしなかった。……というよりは、できなかったのか。」

懐にある短刀を少し触る



「えぇ。そうじゃなければやらない理由がないんですよ。」

トワは誠也から目線を外さない。



「だがよ、お前の言う通り相手にそんな戦力がないとはいえ、絶対に敵は手強いぞ。」

つまり誠也はそんな考えで大丈夫なのかと言っているのだり



「だからこその少数なんですよ。数が多くても動けなければただの木偶の坊。それに指揮も取りづらくなります。」

三人はそれを黙って聞いていた。



「それなら少数精鋭にして指揮も通りやすくしたほうが、勝てる確率は上がります。」



「じゃあ誰を連れてくんだ。」

そこが一番肝心だった。



「傘都、ヒカル、サキ……そして菅野さんです。」

少しだけ躊躇うように言った。



「……は?何言ってんだお前。ふざけてんじゃ……。」

そう言いかけた瞬間、トワが口を開く。



「この学園で、近接戦をこなせる人間はこれしかいないんですよ。厳密に言えば、近接戦ができる強い人間……ですけど。」

その言葉にハッとして気づいた誠也。



「そうか、組の連中は銃しか使えねぇ。だから弾がなくなったら………。」



「何もできなくなる。」

そこで一息区切った。



「しかも、あの女の子と戦うなら、少しでも情報を知ってるアイツラのほうがいいんですよ。」



「だからこそ、アイツラにも銃を使わせてください。貴重な弾を消費することにはなりますが………ないよりはマシです。」

トワは誠也に対して頭を下げた。誠也は仁に目線を向ける。



「……………。」

仁は静かに頷いた。



「いいだろう。一人につき百発。拳銃ならそれだけあれば十分なはずだ。」

トワは頭を上げる。



「ありがとうございます…………!」

その声には僅かに震えが混じっていた。



「いいってことよ。それだけしっかりとした理由があるなら……こっちとて断れねぇからな。」

諦めたように、認めたように少しだけ頬を緩める。



「だが、当然ぶっつけ本番で撃つわけにもいかねぇ。だからこそ、訓練はする。あくまで最低限だがな。」

誠也はトワを指さした。



「そこまでしてもらっていいんですか………?」

驚いたように目をわずかに見開く。



「いいんだよ。いざという時に使えなきゃ意味ねぇからな。」

そこで誠也はとある事に気がついた。



「なぁトワ。あの女を倒しに行くっつったって、居場所は分かるのか?」

盲点だったらしく、あ、という顔をした。



「確かに………どこなんですかね?」

気まずそうに目をそらす。



「………はぁ。」

誠也は手を顔に当て、ため息をついた。



「せめて目星くらいはつけておけよ…………。」



「は……はい。すいません。」

ションボリと顔を変える。



「………あ。」

そこで何処か気になったのか、気づいたような声を上げた。



「どうした?」

不思議そうな表情をして、トワを見る。



「いや……少し心当たりがあって。」



「本当か?」

誠也はトワから視線を外さなかった。



「えぇ。あくまで憶測ですけどね。」



「言ってみろ。」

誠也は顎をクイッと動かす。



「多分……避難所だと思います。」

トワの言葉に誠也は頭にハテナマークを浮かべた。



「なぜだ?」



「だって考えてみてもくださいよ。あの女の子はここらへん周辺にいて……なおかつ拠点にできそうな場所なんて、それこそ避難所くらいしかないじゃないですか。」

トワは人さし指を立てる。



「……しかも避難所は今やもぬけの殻。待て、じゃああの時避難所が襲われたのは………。」

そこまで言って全てのピースが繋がった。



「………拠点を確保するため。」

そういった瞬間、会議室は無言の静寂に包まれた。



「そういうことかよ……!じゃあ次に狙われるのは……!」



「……学園!」

トワの顔が青ざめる。



「だからこそ、数日前に襲撃されたんだろうな。」

悔しそうにギリっと歯を食いしばった。



「なら、その襲撃をやり過ごした事がバレたら。」

トワの中で最悪の出来事が想像できてしまった。



「更に戦力を送り込んでくる……!」



「なら悠長にしてる時間はねぇ。さっさとそいつらを連れてこい。」

誠也は立ち上がって銃と弾薬を取ろうとした。



「ここからは私がやります。」

ずっと黙っていた学園長がついに声を上げた。



「私が持ってきますので場所だけ教えてもらえれば。」

学園長は扉へと足を向ける。



「なら俺が組員の奴らに事情を伝えとく。」

仁はゆっくりと立ち上がり、スマホを手にとって通話をかけた。



「……ありがとうございます組長。それと血南雲、場所は物理室だ。」

誠也は仁に頭を下げた。体育館から一番離れている場所が物理室なのだ。



「分かりました。」

学園長はそれだけ言うと会議室を急ぎ足で出ていった。トワもそれを見て覚悟を決め、誠也から目線を外して会議室を出ていった。


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