第7話 : 自然の摂理
時が経つにつれ、自ずと全てに名前がつく。ヨハネを構成し、隕石の体組織である粒子は名前からそのままクリスタ粒子と名付けられ、解明が予定されているが期待はできない。そもそもの人類の現段階の技術では限りなく小さいという点しか計り知れない。そもそも当初から物理的な段階を踏んだ粒子であるかは定かではなかったものだ。
そしてDNAの一部を非現実的なものに変え、非現実的・超自然的・特異的能力を政府やメディアは“涙の効果”と呼び始めている。これもやはりクリスタの名前が由来となっている。
上記から分かる通りクリスタはもはや日本のアイドルやスターのようになっている。一部ではグッズ化やテレビCM化、隕石落下をドキュメンタリーのような話仕立てで脚本が作られ出演したり、粒子の汎用性の高さから映画などの特殊演出を担当したりとなにかと引っ張りだこにされている。
政府が隠そうとしていたものの、涙の効果の日本国民への影響拡大から公開せざるを得なくなり、ヨハネの説明にも必要不可欠であったからだ。考えられていた他国との関係も段々と圧がかかり始めている。米国や中国、ロシアなど世界各国から期待と警戒の注目を集めており、軍事力の圧倒的な転覆から緊張感が絶えない。
人間には限界がある。人間が叡智を集めて科学の結晶として生み出した軍事兵器も、クリスタ粒子にかかれば原子レベルで分解され霧散させることができる。クリスタ粒子は自身から強力な磁場を発生させることができ、この宇宙で限りなく光速に近づくことができるのはクリスタだけだ。
一説によるとクリスタが日本にいる限り、日本以外の国が総攻撃を仕掛けてこようが日本以外の国が灰燼に帰すだけの結果が残ると論じられている。それほどまでにクリスタの影響は大きい。価値がたった唯一個体で完結しているというわけだ。
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確かに空中城の実働から犯罪発生率そのものは以前の10%いかにまで追い下がったと言える。だがしかし犯罪凶悪性は以前とは比にならない。三週間に一度は大規模な犯罪が行われている、いくらクリスタの複製隊といえど本体意識はクリスタ本体にあり、複製隊は全員コピーされた動きしかできない。つまり一定の条件を超える 涙の効果 を持つ人間は空中城ではカバーができないのだ。
だが空中城でカバーできない自体が発生するのは研究所の会議段階で予想されていた。その為にクリスタ本体やネコ、国内の優秀な涙の効果を得た数名を集め空中城と別動隊として活動する政府直下の少数精鋭、宮内班を設立している。
天皇家や総理大臣閣下等、日本の重鎮とも言える人間の護衛や直接の命令で働く部隊とされているがそれは建前で現在の中心的な指揮はクリスタが握っている。建前とはいえクリスタ達の護衛が得られることから政府組織への出馬が爆発的に増えたことは言うまい。




