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優しいぼくの檻

【あらすじ】

ぼくの檻の中の君は……。


【注意】

新田葉月様の【君に捧ぐ愛の檻企画】に参加しようとした作品。

短編すぎて参加表明する勇気がなく、こちらでコッソリ。

 “檻を作ろうか


 ーー鈍感な君が気がつかないくらい広い檻を”



 ん?

 違うよ。

 詩でもないし、何処かの物語の台詞でもない。


 え? 怖い?

 ……何処がだろう。

 わからないな。


 “檻”と言っても、動物園にいる哀れな動物達が飼われている檻じゃない。

 見世物になるわけでもない。

 今、ぼく達が通っている学校も、親が勤めている会社も、檻みたいなものじゃないか?

 家族という檻。

 友達という檻。

 世間という檻。

 国という檻。


 ほら?

 全部が“檻”だろ?

 それに、鍵がかかってないんだ。

 隣の檻に行こうと思ったら、直ぐにでも行ける。


 しかも、さっきの言葉には“広い”檻と付くんだ。


 優しいじゃないか。



 ぼくは、そうだな……もう広い、檻は作らないよ。

 狭くて、狭くて、一歩すら歩けない様な……中世の世の中だったら、鉄の処女に入れてるだろうね。


 永遠の処女になって、血を流し続ける。

 美しくはないかい?


 ああ、ごめん。

 君はもう処女じゃなかったんだね。


 あれ?

 どうしたの?

 聞こえてなかった?


 ハハ、可笑しいな。

 こんなに近くで話してるのに?

 そんなに、ぼくに興味がない?


 もう一度言おうか?


 君、は、も、う、処、女、じゃ、な、かっ、た、ん、だ、ね。


 どうして、君は血を流してない?

 痛がりもしなかったよね?


 愛撫もなにもなく、ぼく達を遮る布を切り裂いて、ただ突っ込んだだけなのに、君は震えて泣いただけだ。

 しかも、それは簡単に入ってしまったよ?



 さっきまで、あの部屋で何をしていたの?


 太ももに付いている、赤い跡は何?



 ……



 え?



 ぼく?


 ぼくが誰だって?


 ん?


 殺さないでって?


 ……ハハ


 ぼくを知ら……な、い?

 ぼくが君を殺す?


 何を言っているの?



 ハ、


 ハ、ハハ……ああ、あ゛ぁあああああ!!!


 広い檻なんて、作ったぼくが馬鹿だったんだ!!!


 君は、ぼくの物なのに!

 それに、気付かず! 勝手に! 抜け出した!


 ダメだ。ダメだ。


 優しさなんて、いらなかった。


 もう、君を一歩も出してあげない。

 ぼくの作った檻から、一歩足りともね。



 “檻を作ろうか


 ーー鈍感な君が気がつかないくらい広い檻を”




 愛する君への、愛の言葉。



 ぼくの優しさに気付きもしなかったーー君が悪い。


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