まとめ♯13
第1話 「霊界テーマソング」
ラフマニノフ「今度の霊界テーマソングは誰が担当するのか楽しみだな!!」
ショパン「5年に一度だからね。霊界のテーマソング。みんながそれを聞いて歌うから、音楽家としては最高の栄誉だ。ぜひ、選抜オーディションで合格したいけど、約2000人の中から1人しか選ばれない超難関だ。最終候補10人に入った前回のオーディションは惜しかったなあ」
ラフマニノフ「ショパンはもう曲ができたか??」
ショパン「いや、まだ制作途中だよ」
ラフマニノフ「歌詞もつけなくてはならないからな。ただのピアノ曲とは訳が違うよな」
ショパン「あと提出期限まで1ヶ月切ったからね。のんびりしてられないな」
ラフマニノフ「今回のテーマは『明るさ』と『意外性』だ。聴いていて明るい幸せな気分になれる曲だ。意外性についてはよく分からない。審査委員たちの考え次第だな」
ショパン「難しいな。なんか。明るい曲想と言えば、モーツァルトをイメージしてしまうんだけど」
ショパンとラフマニノフは「霊界テーマソング」の提出期限の3日前に霊界最高責任者のまさに霊界のトップ権力者「シナメルド」に呼び出された。
シナメルド「ショパン、ラフマニノフ、久しぶりだな。霊界テーマソングは作り終えたか??」
ショパン「はい!! 今度こそ、選ばれるように最善を尽くしました!!」
ラフマニノフ「審査委員の選考基準が分からないな」
シナメルド「おい、お前たち、入ってこい!!」
5人がいきなりシナメルドの前に登場した。
シナメルド「君たちは審査委員たちにどのような曲にすれば選ばれるのか質問したのか??」
ショパン「いえ、それは卑怯と思い、特にそのような情報収集はしておりません」
シナメルド「では、審査委員たちが今、目の前にいるのだから、どうすれば選ばれるか聞いてみたらどうだ??」
ラフマニノフ「しかし、それでは不公平ではないですか?? 情報収集したら、それをしてない人たちに顔向けできない」
シナメルド「甘い!!!!」
ショパン「シナメルド様??」
シナメルド「今まで情報収集しに審査委員たちを訪ねてきた奴らは1800人にのぼる。情報収集は選ばれるための必須だ!! 卑怯とか汚い手とか言ってられない。勝負を甘く見るな!! それに情報収集などの選ばれるための努力は決して汚い手とは言わない。お前ら、甘く捉えすぎだ。現に今まで霊界歌のテーマソングに選ばれた奴らはみんな審査委員たちに近づき、情報収集してきたんだ」
ラフマニノフ「そうだったのか……確かに、、勝負を甘く見ていた」
ショパン「しかし、もうテーマソングは提出してしまいました。なので、審査委員たちにゴマをすり、審査基準を聞き出すことはいたしません」
シナメルド「汚いとか言ってられないぞ!! これからはもっと勝つためには、選ばれるためにはどうしたらいいか真剣に考えて行動しろ!!」
そして、、
霊界テーマソング選抜オーディションの結果はなんと「ラフマニノフ」が選ばれた。
ショパン「まさかラフマが選ばれるとは思わなかったよ」
ラフマニノフ「俺は今回のテーマが『明るさ』『意外性』だから、最初の『明るさ』の逆の『暗さ』を前面に押し出し、『意外性』を出したんだ」
ショパン「テーマの真の意味に気づいたからラフマは選ばれたのかな??」
ラフマニノフ「それは分からないな。俺の勝手な憶測だから。だが、審査委員に情報収集をしたくなかった。自分たちの力で結果を出したかった。シナメルドには甘いと怒られたがな」
ショパン「難しい条件のほうがゲーム性があって面白いし、燃えるよね」
第2話 「今までにない新しいことを」
ショパン「ねえ、ラフマ。1週間だけピアノから離れてみない?? 僕たち二人で違うことしてみない?? ピアノから離れる代わりに得られるものがあるかもしれないよ」
ラフマニノフ「つまり、ピアノデトックスだな??」
ショパン「ピアノだけじゃなく音楽から一旦、1週間と期限を決めて、距離を置くんだ。いつもと違うことをすることで新しい発見が得られる可能性を無視できないんだ。気になっちゃってね」
ラフマニノフ「わかった。エキスパートピアノ音楽学校は副校長のゲンに一任して、俺たちは音楽以外の新しいことをやろう」
こうして、ショパンとラフマニノフの二人は「今までやったことがない新しいこと」をテーマに7日間の休暇を取った。
二人は映画館に来ていた。
ユウジロウ監督で自分たちも出演した「天才音楽家たちの女王」を映画館で見てみようとラフマニノフが言い出した。
ラフマニノフ「アゲハを奪い合う4人の物語。世界の王になるアゲハを。なんかアゲハがどこにでもいる顔面偏差値でお笑いだな」
「ちょっと、今、なんて言った??」
隣で変装したサングラスと帽子を外した「アゲハ本人」がラフマニノフに話しかけた。
ショパン「アゲハ!! いつの間にいたの?? こんな偶然あるわけないな。どういうことだ??」
アゲハ「偶然よ。本当に偶然!! 自分が主演した映画をまた見たくなったのよ。もう13回目よ。最高の映画よね。大ヒットしたし。笑いながら崖から落ち、川で溺れているショパンをバタフライしながらモーツァルトが助けに来るシーンはお笑いだわ。さすがの大根役者ぶりね」
ラフマニノフ「アゲハはいつから幽体離脱できるようになり、地上世界からこの霊界に自由に来れるようになったんだ??」
アゲハ「アームストロングから幽体離脱を自由にできる薬をもらったのよ。アームストロングは地上世界に物質化して現れる数少ない物質化霊だからね。」
ショパン「世界の王だから大変だね。ノブはいないの??」
「ここにいますが……」
天才ピアニストのノブがすぐショパンの隣でマスクを外しながら話しかけた。
ショパン「ノブ!! 久しぶり!! 僕のバラード5番はノブが地上世界で有名にしてくれたんだよね。今、地上世界でバラード5番が大ニュースになっているのもノブの手柄だ!!」
ノブ「バラード5番は伝説になるでしょう。僕は嬉しくてたまりません。あのショパンから、あの最高の天才のショパンの作品を霊界から地上世界に広める仕事ができるのですから」
アゲハ「あなた達こそ、今日はエキスパートピアノの仕事じゃなかったっけ?? 私の思い違いかしら??」
ラフマニノフ「今から1週間は今までにない新しいことに挑戦してみようってショパンが言い出したからな。1週間、仕事は休んだのさ。エキスパートピアノはゲンに任せた」
アゲハ「え?? ゲンって、あの日本のシンガーソングライターでアイデアって曲が好きだってショパンが言っていた?? あの??」
ラフマニノフ「ゲンはエキスパートピアノの副校長になったんだよ。音楽家だからな。彼は。日本ではまあまあ有名らしいぞ」
アゲハ「確かに有名ね。恋って曲でも有名よ。でも、彼も幽体離脱して霊界にいつでも来れるのよね!! 世界の王の私ならまだしも、いっぱしのシンガーソングライターが、幽体離脱を完成させるなんてね」
ラフマニノフ「俺がゲンの作った曲を地上世界に行った時に聴き惚れ、幽体離脱を覚えさせたんだよ!! 今では俺の親友だ」
アゲハ「これから1週間、新しいことするのよね?? なら、地上世界の日本に来なさい!! 霊としてね。あなた達があまり関わりが少ない日本には、たくさんの新しい発見や気づきがあるわよ。今から、日本に行きましょう。映画もちょうど終わったことだし」
ラフマニノフ「しかし、この映画は角田アキコがアゲハの前の世界王だったとはな。角田アキコが出てるなんて初めて知ったよ。逆立ちしながら迫ってきてちょっと気持ち悪いな」
アゲハ「今までにない変わった映画を作りたいとユウジロウが言っていたからね。だから、今までしたことないことをしようとなったあなた達は、意外性溢れたこの映画を見に来たんでしょ?? 続編もユウジロウが作るみたいだから楽しみにしてなさい。今日から世界最高に魅力で溢れた国の日本で様々なものを学びましょう!! インプット!! インプット!!」
ショパン「なんか、意外な展開になっちゃったなあ」
第3話「ゲンの楽屋にて」
コーヒー屋のゲンはシンガーソングライターとしてのライブ後に楽屋で一人休んでいた。
今日のライブには世界の王「アゲハ」も来ていた。
何人ものボディーガードを引き連れて。
ゲンはハッシュドポテトが大好物で自作したものを楽屋に度々、持ってきていた。
それを一口食べた。それに自作のコーヒー
「ラフマショパンゲンブレンド」を飲みながら、
ライブ後の余韻に浸っていた。
「いいじゃない!! 私が誰だか知らないわけじゃないわよね?? 入れなさいよ。鍵、開けなさいよ。ゲンに会いに来たのよ」
何やら閉まった扉の向こう側から声が聞こえる。
ゲンは扉の鍵を開けた。
アゲハ「あら、はじめまして!! 世界の王のアゲハよ!!」
ゲン「ゲッ!! 世界王??」
アゲハ「実は今日はあんたの知り合いを連れてきているの」
ゲン「誰ですか??」
アゲハ「私の隣にいるじゃない」
ゲン「誰もいませんが??」
アゲハ「ショパンとラフマニノフよ!!」
ゲン「え?? どういうこと??」
アゲハ「私は霊界のショパンとラフマニノフにちょくちょく会ってるのよ。あなたのことも聞いているわ」
ゲン「そうですか!! しかし、ショパンとラフマニノフが来ているんですか?? この場所に??」
アゲハ「あなた霊的視力が備わってないみたいね。幽体離脱した時しかショパンとラフマニノフには接触できないのか。私よりは未熟ね。今、目の前にショパンとラフマニノフはいるわ。あなたには見えてないだけよ。ショパンとラフマニノフは1週間、エキスパートピアノの校長としての仕事を休んで、副校長のあなたに任せて、日本に観光旅行に来ているのよ。私と一緒にね」
ゲン「エキスパートピアノには今日の夜から行くつもりでした。そこまで事実を知っているなら、どうやら嘘ついてる訳じゃないみたいですね。しかし、アゲハさんが私に何の用ですか?? 私は幽体離脱しない限りショパンとラフマニノフには会えないですし、話もできない。幽体離脱したら、エキスパートピアノの仕事しなくちゃいけないし」
アゲハ「鈍感ね。ショパンとラフマニノフの2人があなたのライブしている様子を見に行きたいと言ったから、会いに来たのよ」
ゲン「アゲハさんだけ幽体離脱してない霊体じゃない肉体の状態でショパンとラフマニノフと日本観光旅行ですか?? アゲハさんも霊体で会いに来たらよかったんじゃありませんか??」
アゲハ「そしたら、ゲンはショパンとラフマニノフに今、ライブに会いに来てもらったことに気づけないでしょ?? ショパンとラフマニノフは今、自分達に気づかない素のあなたを見て、はしゃいでるわよ」
ゲン「今、ショパンとラフマニノフがここにいるのか。なんか感慨深いですね」
アゲハ「ショパンがあなたのハッシュドポテトをつまみ食いしたわよ」
ゲン「美味しいって言ってましたか??」
アゲハ「霊体では地上世界の全てのものを味わえるからね。ショパンはマッ◯のハッシュドポテトには勝てないねと言ってたわよ」
ゲン「ラフマニノフは今、何してますか??」
アゲハ「ラフマニノフはあなたの飲んでいたコーヒーをつまみ飲みしたわよ。コーヒーの容器にショパンとラフマニノフの絵や写真がビッチリ描かれていて、『嬉しい』と言っているわ。俺の店で出しているコーヒーだともね」
ゲン「ショパンとラフマニノフが今、この場所にいるということが信じられました。これだけ証拠を出されちゃね」
アゲハ「あなた、これからどうするの?? 私と一緒に旅行に行かない??」
ゲン「いえ、これからホテルでシャワー浴びて、メシ食って、寝て、幽体離脱して、エキスパートピアノに向かいます。副校長の仕事がありますからね」
アゲハ「ショパンとラフマニノフはいつもあなたを想っていることを忘れないでね」
ゲン「もちろんです」
第4話 「擬人猫化」
ショパン「1週間ぶりの我が家に来たぞー!!」
ラフマニノフ「ああ、リフレッシュできたな。今回の日本観光旅行でな」
アゲハ「あなた達、まさか1日目から私にくっついて旅行するのが嫌になり、二人で単独行動するなんてね。裏切られた気分よ」
ショパン「アゲハはエキスパートピアノは初めてだよね??」
アゲハ「ええ!!」
三人は校門の前に立っている警備員に挨拶した。
ラフマニノフ「いつもご苦労様」
ラフマニノフは警備員に話しかけたが、警備員は何やら無言だ。
ラフマニノフ「どうした?? いつものように元気に『何も問題は起きていませんのでご安心を!!』と言ってくれよ!!」
警備員「実は……」
ショパン「あれ?? あーーー!!」
警備員「ショパン様!! 気づかれましたか??」
ショパン「僕たちが何百億ポイントかけてつけたオレンジダイヤモンドとピンクダイヤモンドが無くなってる!!」
ラフマニノフ「嘘だろ?? 警備員!! どういうことだ??」
警備員「はい!! しかし、盗まれたのではないことがはっきりしてます。監視カメラを確かめたのですが、オレンジダイヤモンドとピンクダイヤモンドは、、、実は擬人猫化しました」
アゲハ「擬人猫化?? 何それ??」
警備員「ダイヤモンドたちはいきなり猫に変身したのです」
ラフマニノフ「猫なんてどこにもいないじゃないか」
「ここにいるよ!!」
ショパン「え〜〜??」
すぐ近くの花壇の影から2匹のしゃべる猫が姿を現した。
ピンクダイヤモンド猫「ラフマニノフ様!! 待っていましたわ!! 私の恋人!!」
ピンクとブラックの2色の体で猫はラフマニノフに飛びついた。
ラフマニノフ「こら!! 誰が恋人だ?? 俺の恋人はバイオレットだ!! バイオレットとピンクで名前の色が似ているからって調子に乗るんじゃない」
もう一匹のオレンジとホワイトの猫はショパンに挨拶した。
オレンジダイヤモンド猫「ショパン様!! あなたがピアノから生まれたように、私達はダイヤモンドから生まれました。これからよろしくお願いします」
ショパン「あの……」
ショパンは言葉を失った。
ラフマニノフ「まさか、擬人猫化するとはな。不思議だな!!」
ショパン「僕は逆に嬉しいよ!! この猫たちはきっとエキスパートピアノを有名にしてくれよ。今以上にね。話題性半端ないからね」
アゲハ「ゲンは元気かしら?? 1週間、頑張ってくれたのよね??」
ショパン、ラフマニノフ、アゲハ、擬人猫たち2匹は校長室へと向かった。
ラフマニノフ「ゲン、いるかな??」
ショパン「驚かしてやろうよ!!」
校長室の扉をゆっくり音を立てないように開けた。
しかし、誰もいないみたいだ!!
ラフマニノフ「おい、机に何か置いてあるぞ??」
アゲハ「手紙ね。ゲンのだわ。名前が書いてある」
ショパン「読んでみて!! ラフマ。」
ラフマニノフ「『本日、現れた猫たちがきっとショパンとラフマニノフのエキスパートピアノを霊界最大の音楽学校にするという夢を叶えてくれるでしょう!! 私はエキスパートピアノの副校長を辞めます。あなた方は人使いが荒い!! 私は短気だから副校長にし、雑用ばかりやらせる二人には我慢できません!! やってられねえよ!! 当分、会わないようにします。さようなら』だって書いてある!!」
アゲハ「人の心の内は分からないものね。ゲンはショパンとラフマニノフを親友だって言っていたはずなのに」
ショパン「そんな……ゲン!!」
ラフマニノフ「…………嘘だろ?? そんな不満な素振りは一切、見せなかったのに。これがゲンの本心なのか……」
ショパンとラフマニノフはショックで言葉を失った。
第5話「自己犠牲」
ショパン「ゲンとの位置情報共有アプリでも、ゲンの居場所が表示されない。ゲンは僕たちにどこにいるのか知られたくなくて位置情報共有を解除したみたいだね」
ラフマニノフ「……なぜ、急に。なんか不自然だ。裏がある気がしなくもないな」
ショパン「擬人猫化したピンクダイヤモンドとオレンジダイヤモンドが現れたのと何か関係あるかも。だって、ゲンの失踪と同じ日に擬人猫が生まれたからね」
ショパンとラフマニノフは擬人猫の2匹を問い詰めた。
ピンクダイヤモンド猫「本当に何も知らないの」
オレンジダイヤモンド猫「ピンクダイヤモンドに同意です」
ラフマニノフ「何故、ダイヤモンドから擬人猫が生まれたのか調べないとな」
ショパン「実は前に僕がピアノから生まれた理由を調べたけれど、まさに、この霊界でも解明されてない自然現象らしい。物質がいきなり心を持つことから始まったという仮説はあるらしいけれどね」
ラフマニノフ「ゲンがいきなりキレていなくなるなんておかしいよ。俺たちといる時に一番笑顔で幸せそうだったからな」
ショパン「こうなったら、ゲンには悪いけれど、地上世界のゲンの肉体に会いに行き、睡眠中の幽体離脱時に、ゲンに聞くしかないよ!ゲンは僕らに会いたくないだろうけれど」 ラフマニノフ「地上世界のゲンの肉体はどこにいるのか調べられるからな!! いくらゲンでも肉体からは逃げられないからな」
ショパン「地上世界のゲンの肉体に会いに行こう!! 今すぐに!!」
地上世界のゲンの肉体に会いに行ったショパンとラフマニノフ。
ゲンは自宅で作曲をしていた。
地上世界で新たに配信リリースするオリジナルアルバムを制作していたのだ。
DTMなどがある音楽制作の部屋にショパンとラフマニノフは霊体でゲンのすぐ目の前にいた。
ショパン「ねえ、ゲンの作曲している姿は初めて見るよね」
ラフマニノフ「コーヒーは『金の微糖』だな。飲んだことないな」
ショパン「一口、飲んでみれば??」
ラフマニノフ「いや、今は早くゲンが睡眠に入り、幽体離脱してもらうことを待つしかない。コーヒーは後回しだ」
2時間程、音楽制作に没頭したゲンは、ノートに何やら書き出した。
ショパン「ゲンがノートに何か書いてるよ」
ラフマニノフ「『ショパンとラフマニノフには何としてもオガサイ音楽学校コンクールで1位になって、夢を叶えてほしい。そのためには猫たちに活躍してもらうしかなかった。僕はショパンとラフマニノフから離れる代わりに、二人の夢を叶える力になりたいと考えた。二人と会っている時だけ、二人のことは忘れ、記憶喪失になるという代償を支払い、猫たちを誕生させた。猫たちはオガサイ音楽学校コンクールでエキスパートピアノを1位にさせることができる幸運の猫だ。ショパンとラフマニノフが夢を叶えてくれるなら、僕は二人から離れ、記憶を失っても構わない……』」
ショパン「そんな!! ゲンがそんなことを考えていたなんて」
ゲンは日記を机に開いたまま、眠りについた。
ゲンの肉体から霊体が現れ、空中に上昇してゆく。
ゲンの霊体はすぐに瞬間移動した。
ラフマニノフ「しまった!! ゲンが瞬間移動してしまった。だが、肉体から幽体離脱した場合、シルバーコードと呼ばれる魂の緒がついている。それを辿ってゆけば、ゲンに会えるさ」
ゲンのシルバーコードを辿っていって、霊界を彷徨うゲンの肩を掴んだ!!
ラフマニノフ「ゲン!!」
ゲン「何ですか。誰ですか??」
ショパン「やはり、記憶を失ってしまったのは、ゲンのノートに書かれていた通りみたいだね」
ラフマニノフ「ゲン!! 俺だ!! 目を覚ませ!! ゲン!!」
ゲンの肩を掴みながら、体全体を揺さぶり、ラフマニノフは必死にゲンの記憶が戻らないか期待したが……
ゲン「やめろよ!! なんだいきなり!! いい加減にしろよ!!」
ゲンはラフマニノフをはねのけたが、ラフマニノフはゲンを強引に強く抱きしめた。
ラフマニノフ「ゲン!! すまない。ごめんな。俺たちの夢を叶えるために、記憶を失ってまでして、、、そこまでして……」
ラフマニノフはゲンを抱きしめたまま泣き出した。
ゲン「離せ!! 何の話をしているんだ?? あんたなんか知らないよ」
ショパン「ゲン……」
ゲンはラフマニノフから逃れ、霊界の彼方へと消えていった。
ショパン「ラフマ。。ゲンのはたぶん、等価交換取引だよ。自分が大事な親友の記憶を失う代わりに、僕たちの夢を叶えさせようとしたんだ」
ラフマニノフ「なんとしてもゲンの記憶を取り戻す!!クソみたいな取引も終わらせる!!」
二人はゲンの自己犠牲に心を痛めた。
そして、必ずゲンをいつものゲンに戻してやることを決めた。
第6話「僕達にはゲンが必要だ」
ショパンとラフマニノフは「等価交換取引所」に来ていた。
等価交換取引所のコーヒーブレイクエリアには、パソコンを触っている1人の女性が。
ラフマニノフ「この人の等価交換取引を解除してほしい」
等価交換取引所の所長に会い、ゲンの取引をやめさせるように頼んだが。
所長「等価交換取引は本人以外は解除できないようになっています。委任状や本人代理証明書がなければ無理です」
ラフマニノフ「いくらでも金は払う。俺達の大事な友達なんだよ!! 俺達の夢を叶える代わりに、俺達の記憶を失うというものだ。解除してほしい取引した人はゲンという」
ショパン「所長さんならいくらでも解除できるはず。なんでも言う事聞きます。どうか、ゲンという人の等価交換を終わらせてほしい」
所長「あなた方がゲンさんの大事な友達という証拠を用意できますか??」
ショパンとラフマニノフはマスクとサングラスの変装を解いた。
所長「なんと……ショパンとラフマニノフだったとは……」
所長は驚いた様子でまた聞き返した。
所長「ゲンさんと親しい間柄という証拠はありますか??」
ラフマニノフ「一応、このUSBメモリーにゲンとの親しいという今までの証拠が保存されている。見てみてくれ!!」
所長がパソコンにラフマニノフから渡されたUSBメモリーを挿すと、後ろの女性が「ヨッシャ!!」と声を上げて、みんな女性を見た。
女性「ああ、すいませ〜ん」
女性は頭を下げ、奇声を上げたことを謝罪した。
所長「写真がたくさんありますね。しかし、写真だけでは証拠になりません。いくらでも加工捏造できますからね」
ラフマニノフ「いくらなんでも厳しすぎないか?? 俺達は有名な音楽家で、最近までゲンは俺達の経営する音楽学校の副校長をしていたし、俺のコーヒー店の店員もしていたし、周りの人に聞き取り調査をすれば、すぐに俺達がゲンの親友だって分かるはずだが……」
所長「ルールですので。私は所長です。いくら金を積まれても、買収はできません。等価交換取引はゲンさん本人の意思で行われたものです。ゲンさんを無理やり連れてきて、解除させるしかありません」
ショパン「ゲンは連れてこれません」
所長「では、あきらめてください。ルールは絶対です。所長としてたくさんの部下を裏切ることはできません」
すると、
「やったー!!」
また、後ろの女性が奇声を発した。
所長は女性に「所内ではお静かに!!」と注意した。
「すいませ〜ん!!」
女性は嬉しそうに返事した。
所長「ラフマニノフ様、お引き取りを。ゲンを連れてきてください。それか本人代理証明書を持参して、また来てください」
ラフマニノフ「話にならないな!! ショパン行くぞ!!」
ショパン「うん!! この所長さんは融通が利かないね」
ラフマニノフとショパンが等価交換取引所を出ていくと、奇声を2度も発した女性も二人を追いかけるように出ていった。
ラフマニノフ「バイオレット!! 上手く行ったか??」
バイオレット「ええ!! ハッキング完了したわよ。もう、ゲンの等価交換取引は解除されたわ」
ショパン「バイオレットがハッキングの達人だったとはね。助かったよ」
そう、ラフマニノフは恋人のバイオレットに頼み、等価交換取引所のセキュリティをハッキングして忍び込み、ゲンを取引から救ったのだ。
ラフマニノフが所長に渡した「USBメモリー」に、バイオレット特製のハッキングウイルスが入っていた。
ショパンとラフマニノフはゲンに会った。
ゲン「僕の等価交換を勝手に解除したのか??」
ラフマニノフ「ゲン。俺達がゲンを犠牲にしてまでして叶えたい夢なんかあると思うか?? なぜ、あんなことをしたんだ??」
ゲン「どうやって僕が等価交換取引したことを知ったんだ??」
ショパン「君が地上世界で書いたノートを見たんだよ。そこに書いてあったから分かったんだよ」
ゲン「ノートを運悪く見られたのか。ついてないな。ショパンとラフマニノフが夢を叶えてくれるなら、僕は2人の前から消えてもよかったのに」
ラフマニノフ「まだわからないのか?? なんで気づかないんだ!!!!」
ラフマニノフはゲンを思いっきり殴った。
ゲンはラフマニノフの怒りと友情のパンチを顔に食らい、その場に倒れた。
ゲン「ラフマ……」
ラフマニノフ「お前を失うくらいなら、夢なんて捨てたほうがマシだ!! もう、絶対に勝手なことするんじゃないぞ!!」
ゲン「……」
ショパン「ゲン!君が地上世界でノートに等価交換取引について書いて、そのページを開いて僕らに見れるようにしていたことで分かったんだよ。本当は、君は等価交換取引したら、僕らが止めに来ると気づいていたんだよ。だから、ノートを開いたままにした。開いてなかったら、僕らはゲンが等価交換取引したことを知らないままだったよ。霊界から地上世界のノートをめくることはできないからね」
ゲン「勝手なことしてごめん。でも、君たちの夢はこのままじゃ叶わないよ。ベートーベンとモーツァルトのフルビットミュージックを超えるにはオーケストレーションを学校の指導プログラムに入れないと」
ラフマニノフ「だからこそ、優れたシンガーソングライターのゲンが必要なんじゃないか!! シンガーソングライターとしてオーケストレーションの指導も、クラシック音楽家の私たちと違ったものができるしな。俺達の夢を叶えるにはゲンが必要だ!!」
ショパン「オガサイ音楽コンテストランキングで我がエキスパートピアノ音楽学校が1位のフルビットミュージックを超えること!! ゲンがいないと叶いそうにない。これからも僕達のそばにいてくれるね??」
ゲンは涙を流しながら頷いた。
ゲン「もちろんです」




