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さどうぶっ! ~転校生の茶道部部長は、初恋の女の子に瓜二つだった件~  作者: アブラゼミ
いっぱいめ「ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」

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第二杯「可愛ければ図書委員の後輩でも好きになってくれますか?」

「先輩先輩、何読んでるんですか~?」




 部活に熱心な生徒が多いせいで、ほとんど誰もいない放課後の図書室。


そのカウンターで隣に並ぶ1年生の輝木かがやきさんが、いつものように声をかけてきた。


新学年になって1ヶ月。


彼女とは月・木・金の放課後に、週3で図書委員の仕事をいっしょにしている。




「『可愛ければ変○でも好きになってくれますか?』」


「わお、学校で読むには攻めたチョイスですね」




 制服がはだけた半裸の女の子のイラストの表紙にも引かずに、クリっとした目を輝かせながら輝木さんがこっちを覗き込んでくる。


黄緑色の目にやや短めのショートボブの金髪。整った顔立ちはまるでアニメから飛び出してきたように可愛らしい女の子だ。


どこにでもありそうな紺色の生地に白のリボンのセーラー服も、彼女が着るとアイドルの衣装のようにに見える。




モテすぎて困ってるというのが本人の話だけど、実際彼女が昼休みに図書委員の仕事を手伝いに行ってる水曜日は利用しに来る男子が多いらしい。僕は放課後(月・木・金)にしか入らないから知らないけど。




「もちろんクラスじゃ読まないよ。図書室で読む時だって、表紙は伏せてるし。ていうかラノベって人前じゃ読めない作品多くない?」


「ですよねー」




 イタズラな笑みを浮かべる輝木さん。


その手が、紺色のスカートへと伸びる。




「先輩は~、結衣菜ゆいなが変態でも好きになってくれますか?」




 スカートの端を手で少し上げながら、蠱惑的な表情を浮かべ輝木さんが問いかけてくる。


ほっそりとした白い太ももがまぶしい。女の子の、甘い香りが香ってくる。


僕はそっと、彼女をたしなめた。




「輝木さん、学校でそんな事しちゃダメだよ」




 輝木さんが、白けた表情をしながら上げかけていたスカートを戻す。




「はーい、分かってますよーだ」




 カウンターで隠れてるから誰にも見られていないだろうが、こんな事バレたら怒られる。僕まで。


輝木さんが、大きめの黄色いリュックからラノベを取り出し読み始める。




「あ、『バ○とテストと召喚獣』読み始めたんだ」


「はい。これ面白いですよ、テストの点数が召喚獣になって、それでバトルするって作品で……」


「知ってるよ。もう全巻読んでるから」


「デスヨネー」




 文芸部に入っていて、ライトノベルを書いているという輝木さんはライトノベルが大好きだ。


初めていっしょに図書委員の仕事をした時はお互いギクシャクしてたけど、僕がカウンターでラノベを読んでたら食いついてきて意気投合し仲良くなって今に至る。


僕もラノベが好きだ。


ラノベに限らず色んな本を読むけれど、やっぱりラノベが一番好きで図書室にあるラノベも、近所の図書館にあるラノベも全巻読んでいる。




「先輩ってラノベ好きなんですよね」


「うん、そうだよ」


「でも家には『可愛ければ○態でも好きになってくれますか?』しか持ってないんですか?」


「まあ図書室と図書館で大体読めるし、お小遣いの問題とか色々あるからね」


「色々?」


「その、表紙や挿絵を親とかに見られると気まずいのがあるし」


「あー……分かりますー」




 遠い目をして窓の外を見上げる輝木さん。なにやら似たような経験があるらしい。




「ラノベって、そういうものなんですけどあんまり理解されないんですよねー」


「そうなんだよなあ。教室で読んでると『オタク』『キモい』とか女子に陰口叩かれるし」


「分かりますー。結衣菜も『そういうの読まないで』って男子に言われた事ありますしー」


「勝手に決めつけないで欲しいよね」


「勝手に押しつけないで欲しいですよねー」




 若干何やら食い違ってる気がするけど、輝木さんと笑い合う。


しばらく笑っていた輝木さんが、何やら探るような目つきをした後僕に問いかけてくる。




「そういえば先輩、知ってます?」


「何を?」


「最近できた茶道部の事ですよ」


「茶道部?」


「部を作った転校生が、めちゃくちゃ美人って噂ですよ」


「そうなんだ」




 輝木さんの話を、適当に相づちを打って聞き流す。


輝木さんも僕が興味ない話にはこんな態度だって分かってるからか、それ以上何も言ってこない。


というか、僕が興味を示さないって分かってて話を振ったみたいだ。




「それじゃあ僕は返却された本を戻しに行ってくるから」


「はーい、いってらっしゃーい」




 閉室時間20分前になり、僕は立ち上がってカートを押して返却された本を棚に並べに向かう。


放課後に返された本はちょっとしかないけど、昼休みに返された本が多い。昼休みの図書委員が仕事を残していくのはよくある事だ。


でもまあ文句は言わずに本を棚に直す。


誰か来た時のためにカウンターに輝木さんを残らせてるけど、放課後はそんなに利用者がいない。


しばらくして輝木さんが手伝いに来る。




「お疲れさまでしたー」


「うん、お疲れ様」




 閉室時間になって見回りをし、鍵を閉めて職員室に返したら図書委員の仕事はおしまい。


まるで最後のページをめくったら、また同じ話の1ページ目が始まる本のような毎日。


そんな日々を、僕はこの学校に入ってから1年ちょっと続けていた。

輝木結衣菜かがやき・ゆいな


誕生日 12月25日

身長 148cm

クラス 1年6組

好きな食べ物 ソース系の食べ物(たこ焼とか)

苦手な食べ物 苦い食べ物

得意科目 ない

苦手科目 全部!

趣味 ラノベを読む事・書く事・身体を動かす事

特技 走る事

最近の悩み 勉強がむずかしくて授業についていけない

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