第七十三話 特産品作り完了!
「さあ、温泉卵と温泉まんじゅうができたぞ!」
「まず温泉卵から食べたいですわ!」
エメリアの一言で温泉卵を硫黄の温泉から取り出して、殻をむく。
なんだこれ、真っ黒でごつごつとした殻からは信じられないくらい、真っ白でつやつやの卵だな。
「殻の匂いはちょっと腐った匂いなのに、卵からは全然匂いがしないのだな」
「そうですね、まずはビルク伯爵から頂いてください」
「うむ、では」
ビルク伯爵は白くてプルプルの温泉卵にかぶりつく。
ビルク伯爵は眉を大きく上げて、その後、幸せそうな笑みを見せる。
「なんだ、この卵は! 白い部分はフルフル、トロトロでとろける舌ざわりだ!」
「他の皆も食べちゃって」
クラリアさん、アナリザ様は上品に小さい口で白身だけを食べて顔をほころばせていた。アリア、カレイナ、エメリアは卵の黄身までかじりついて、うーんと唸っている。
ランドさんは何故か食べようとしている、俺の口を見つめてくる。
俺がにっこりとした顔でランドさんを見ると慌てて、温泉卵にかぶりついていた。
「この卵の食感は面白いです。黄身は王宮で食される甘いお菓子の様なトロトロで滑らかだ」
「ランドさん、何で俺の口を見つめていたんですか?」
「い、いや、ユウキさんの食べる姿を見たかったなんて、そんなわけないですよ」
こわっ! もう確定だよ。ランドさんはオネエで確定。
アリア、カレイナ、エメリアは俺に寄ってきて、ランドさんの視線から隠してくれた。
お、そう言えば、温泉卵にこれが合うって昔配信のコメントで教えてもらったんだよな。
俺はママゾンである物を急遽買う。
「じゃじゃ~ん! 出汁醤油~!」
「む、それはただの醤油ではないのか?」
「違いますよ、これがあるだけで温泉卵はまた一段と変わります」
俺は温泉卵に少しだけ出汁醤油をかける。
ゴクリ。
俺の周りから喉を鳴らす音が聞こえてくる。
パクリ。
うーん! 温泉卵には温泉のミネラル分である、塩分や硫黄成分が少しだけ染み込む。
そのおかげで卵自体の甘みとコクがギュッと凝縮されるんだ。
それに加えて、現代日本で作られた出汁醬油をかけたら……。
「美味い! 卵の甘みとコクにプラスされた優しい出汁が利いた醤油のうま味。最高です!」
「私にもかけてくれ!」
「私もです! というかそのかぶりついた温泉卵を交換しましょう!」
「ビルク伯爵はともかく、ランドさんはステイ! クラリアさんやアナリザ様を見習ってくださいって……?」
俺の周りの女性陣もランドさんと同じ目をして、俺の食べかけの温泉卵を見ていた。
餓狼のザンさんとグラウルさんとガルドさんは正常だが、シズナさん、ミレアさんもちょっと怖い。
俺は無言で食べかけの温泉卵を食べて、にっこりとする。
ああ、何故かがっくりしている女性陣。
「皆の温泉卵にも使ってください」
皆は温泉卵に出汁醤油をかけて、かぶりついてはとても幸せそうな顔をしていた。
「次は温泉まんじゅうですよ」
せいろで蒸した温泉まんじゅうを皆が取っていく。
「生地がふかふかだな。これは期待できる」
「生地が茶色になっているな。何でだ?」
「俺も詳しくないけど、多分重曹のお陰だな」
ザンさんは俺の返答を聞いてから温泉まんじゅうにかぶりつく。
「⁉ 何だこのふかふかでしっとりしたお菓子は! しかも優しい甘さが口いっぱいに広がる……」
「ザンって甘いもの嫌いじゃなかったか? まあそこまで言うなら。うん! 一口大なのに、とってもうまいな! 金貨一枚でも買うぞ!」
ザンさんとガルドさんは温泉まんじゅうを気に入ったみたいだ。
温泉まんじゅうは食べたことなかったけど、硫黄の蒸気で蒸しあげたからか、とってもふっかふかで食べやすいな。
ビルク伯爵は、温泉まんじゅうと温泉卵を交互に食べていた。
「甘い! しょっぱい! 甘い! しょっぱい!」
ああ、ビルク伯爵が壊れちまったよ。
ランドさんは二個目の温泉まんじゅうに手を出している。
女性陣は狂喜乱舞して、温泉まんじゅうを沢山食べている。
俺も二個目を食べようとしたら、アリアに奪われる。
「ユウキ? あーんです」
「ずるい、私もする」
「わたくしもですわ!」
アリアとカレイナとエメリアに三つの温泉まんじゅうを差し出される。
え? ビルク伯爵とかランドさんや餓狼の五人の前でするの?
「は、恥ずかしい」
「早く!」
えーい、ままよ。俺はアリアの温泉まんじゅうから一口食べる。
カレイナとエメリアの方も食べたぞ。
それとランドさんは却下。シズナさんとミレアさんはそんなキャラじゃないでしょ?
アリアとカレイナとエメリアは俺が食べたところから温泉まんじゅうを食べて、ランドさんにどや顔をしていた。
これって間接キスですか? まあいつもそれ以上の事をしてるけどちょっと恥ずかしいな。
「どうでした? これは特産品になりますか?」
「勿論だよ! 温泉とやらも整備していかなくてはな! さあ私の屋敷に行こう。我が家に伝わる秘宝を渡そう」
「楽しみにしていましたよ。では二回に分けて転移しますね」
俺は最初にビルク伯爵とクラリアさんたちを転移させる。
ランドさん? うん、俺の尻を狙ってたからビリッてやった。
反省はしているが、後悔はしていない。
その次に餓狼の五人とカレイナたちを転移させる。
そろそろスキルショップを見てもいい頃かな。
でも欲しいスキル、あんまりないんだよな。
俺たちは城のような領主の館を案内されて、宝物庫に行く。
「これが、ユウキ殿に渡したい古の賢者様の秘宝だよ」
「これは……?」
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