第七十一話 温泉と言えば?
筆者の地元では桜が咲き始めました。皆さんの方はどうですか?今書いているのは3月21日です。
「ビルク伯爵、不思議なにおいのするお湯は温泉と言います」
「ほう? ユウキ殿が暮らしていた世界ではそう言われていたのか?」
「そうです。お湯の中に入ると気分がいいし、美容効果もあります」
俺の一言に女性陣の視線が強くなる。
何でランドさんまで、視線強めているんだよ。
もしかして、オネエ系の人なのか?
「何故、美容にいいの?」
「カレイナ、体を清潔にするだけで健康にいいし、温泉は特有の成分で肌がきれいになるんだ」
「ユウキ様! 早く入りたいですわ!」
「クラリアさん落ち着いて」
「エルフの国にもここの匂いとは違う温泉があったはず」
「アナリザ様、それはまた泉質のお湯ですね」
「だが特産品はどうするのだ?」
「フフフ、私の国の温泉街で作られていた二つの特産品を紹介しますよ」
まず、ここの近くで鶏の卵が作られているか聞く。
「ふむ、そんなに量はないが、一応育てている家はあったな。だが卵は鮮度が命で、ビルクの街に運んでも生で食べられないぞ?」
「問題ありません。生では食べませんから」
次に小豆と小麦粉だな。
小さくて、甘くなる豆があるかどうか。
「うーむ。そのような食材は聞いたことがないな」
「そうですか……なら卵だけで……」
「ちょっと待て。金なら出すからユウキ殿がスキルで融通してくれないか?」
確かにその手があるか。地産地消の精神でやっていきたいけどそれは厳しそうだし。
「ならばここにもアイテムボックスを作りましょう。それで定期的に小豆を購入して中に入れておきます」
「おお、ありがたい」
定期収入が増えるのはいいことだ。
「まず、小豆を使ったお菓子から作ります」
俺は調理場を貸してもらい、小豆と小麦粉と砂糖と重曹を用意する。
水も必要なので、井戸から汲んできてもらう。
「小豆とは赤っぽい豆なのだな」
「そうです。まず表面の汚れを取るために二回ほど洗います」
表面は綺麗そうに見えて、殻や汚れがついているそうだ。
力は入れずに丁寧に洗う。
その後、10分から15分ほど鍋でゆでる。
たっぷりの水を加えて、豆の渋みを取り出すためにする。
かまどに火をかけて、ぐつぐつと煮る。
「最初にゆでるなんて手間のかかるお菓子ですわね」
「クラリアさん、そうなんですよ」
「確かこの豆、エルフの国にあったはず」
「アナリザ様? 本当ですか!」
「はい。ですが粥に入れて食べるくらいであまり人気のない物ですが……」
エルフの国とも交易をしたいな。
色々な食材が眠っていそうだ。
ゆで汁をこぼす。コメントで教えてもらったレシピは渋きりは一回きりだ。
小豆の風味が無くなるかららしい。
「ゆで汁が濃いワイン色になっているかが見分けるポイントです」
その後、小豆を鍋に入れて再度煮る。
水は小豆に対して三倍量にする。多すぎると煮汁を捨てないといけないし、少なすぎると水が蒸発してしまう。三十分ほど煮るのがポイントだ。
「煮立ったら、火を中火にしてください。アクが出てくるのでしっかりとるのがポイントです」
冒険者ギルドの中の料理人がメモを取りながらうんうんと頷いている。
「鍋から目を離さずにアクを取るのがいいですね」
小豆が柔らかくなってきたら柔らかさととろみを確認する。
ここで砂糖を二回に分けて入れるのだが……。
「ユウキ殿、砂糖は貴重なのだ。王国でもあまり生産されていない」
「うーん。なら私が提供しますよ」
「助かる」
しかしお金をこれ以上貰っても使い道がない。
なら……。
「火山のダンジョンの表階層と裏階層で取れる鉱石を融通してもらえませんか? ああ、鉄鉱石でいいですよ」
「それならば、沢山冒険者ギルドにある。わかった。大量の鉄鉱石を用意しよう」
「え? そんなになくてもいいですよ?」
「砂糖という貴重品を融通してもらうのに、鉄鉱石だけでは釣り合いが取れん。ヒヒイロカネも取れたら対価にしよう」
そうだな。クリムゾンゴーレムは裏階層には出てきそうだし、それで対価をもらおう。
どうやって倒すかは問題だけどな。
「ユウキ様、冒険者の中には格闘術を使う物も多くおります。エメリア様ほどではありませんが、何とかなるかと」
冒険者ギルドの支部長が名案を出してくれる。
まあそれなら何とかなるか。
小豆はもうほぼあんこだな。この後は三十分ほど弱火で煮る。
ふつふつとした状態を保ち、時々混ぜる。
煮汁が無くなった後、塩で味を引き締める。
これを冷まして完成だ。
手作りあんこは消費期限が短いので注意だ。
だが、料理する前にアイテムボックスを作っておいたのでいつまでももつ。
「皆さん、味見をしてみてください」
「ふむ。何と! 驚くほどやさしい甘みだ」
「これは、貴族でも食べていない」
「焼いたパンに付けて食べたいですわ」
「凄い、粥に入れて食べていた味気ない豆が……」
ビルク伯爵、ランドさん、クラリアさん、アナリザ様が夢中で食べながら喜んでいた。
餓狼の五人は口をぽかんと開けている。
カレイナたちは、歓声を挙げていた。
「すごい。このあんこはどうお菓子に使うんですか?」
「これを小麦粉の皮で包んで、温泉の蒸気が出るところで蒸すんですよ」
『蒸す⁉』
あ、異世界では蒸すという料理の工程もないらしい。
ちなみに硫黄の泉質で蒸すのは匂いが移るのではないか、という指摘もコメントに合った。
「硫黄の蒸気で蒸している間に匂いも飛ぶんだ。温泉の蒸気は粒子が細かいからすごく美味しい仕上がりになる」
なんかあんこづくりだけで、説明の時間がかかったな。
次こそ、温泉卵と温泉まんじゅう作りに移りたいな。
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