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転生少女の覇道または邪道  作者: 濃姫
転生少女の巣立ち
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転生少女の旅立ち

 さらに三年後。


 森の木々を揺らすほどの大音響が響き渡り、森の主とも呼ばれる大熊を見事倒したエレンが覚めた瞳で佇んでいる。


 森にすむこと早五年。


 当初の目的通り目標の身体能力は手に入った。


 独奏の実験は満足な結果に終え、毒の耐性が完全についた。


 致死量に至る毒を体内に取り込んでも小さな痙攣で止まるほどだ。もちろん新種の開発も良好である。


 魔術詠唱の簡略化は最終段階である無詠唱を実現させるまでに得た。


 解体の作業は相手の状態、弱点、習性を看破する目を身に着けた。


 森に入林以来の自分とは思えない期待通りの成長ぶりだ。


 大熊を解体しながら今後の予定を立てる。


 目的が達された今、もはやこれ以上この森に滞在する意味はにない。


 むしろ森に篭っていたせいか最新の魔術については何も情報がないのだ。


 手持ちの金は五年前に孤児院の院長室から盗んだ銀貨七十五枚と銅貨三十二枚。


 毒草の実験の派生で作った回復薬が売れればなんとか生活はできるだろう。


 冒険者にも悪くないが登録は十二歳以上という規定がある。


 もし戦争が継続しているのであれば傭兵が適任だろう。


 金でしか動かせない傭兵はエレンの性格に非常にマッチしていた。


 しかしエレンの背丈では完全に冷やかしと思われるだろう。


 干し肉ばかりでお世辞にも栄養の良いとはい言えない。


 食事を長年続けたエレンは通常の九歳児よりも十cmほど小さいのだ。


 常時発動型魔術で筋肉の強化を行い屈強な軍人男性三人分ほどの力はあるがそれに気づけるほどのものが一体何人いるのか。


 考え老け込んでいると大熊の解体が全て終わっていた。

 

 無意識のうちに身体が覚え込んだのかその切り口はとても綺麗だ。


 毛皮は池でよく洗い干して艶を出す。


 素材や肉以外の部分は炭の代用として焚火に使う。


 明日の朝には森を出ることを想定して重要書類を鞄に詰め、装具を磨く。


 朝日が昇る前キッカリに目を覚ます。


 昨日に干した大熊の毛皮を加工しローブを作る。


 布団に入ると気温が下がっていたのか少し猫背になるのを感じる。


 住処を離れると森の主を倒した私の動向を警戒してか動物達がぞろぞろと後をつく。


 ピューーッ


 口に指を当て口笛を空に吹くとバサリッと大きな羽を一枚落とし一羽の鳥が腕に収まる。


 「シーク。今後は私の頭上周辺を飛び回っていてくれ。下手に目立つと面倒だ」


 ホーーッ


 了承の返事が得られたことでシークを放ち先に進む。


 朝食用の干し肉を噛みちぎりながら数十分かけて歩むと廃れた村が見えた。


 方角的に襲撃で逃げた王国の人間が野盗にでもなったのだろう。


 血の跡が薄いのは多少昔ということになる。


 少なくともつい最近の出来事でないのならば野盗がこの近くにいる可能性は低い。

 

 情報源となる者がないか民家を散策するが金目のものは既に奪われ食べ物も腐り切り何もなかった。


 時間を無駄にしたと切り上げ舗装もされていない道路を渡る。


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