表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/166

オッドと出会った街

「はい」


人通りから一本道を中に入ると、人気のないベンチが忽然とあらわれた。

オッドは腰をかけると、買って来たパンとジュースをティアナに渡した。


「・・・」


ティアナが受け取ると、

オッドも自分のパンを袋から取り出した。


カサカサ

買って来たのは、焦がしキャラメルがのったクイニーアマン。


「・・・」


サクッ

美味しそうな音を鳴らしながら、

オッドはパンにかぶりついている。


もぐもぐもぐ・・ごくん

「・・なに?」


視線に気づいたオッドは

ティアナの瞳をじっと見つめた。


「べつにー?」


サクッ

ティアナはぶっきらぼうに返事を返して

クイニーアマンにかぶりついた。


(わ、美味しい!)


数年ぶりに食べたパンはとても香ばしく、外はサクサクなのに中はふわふわしていて・・とにかく、すごく美味しかった。そして、懐かしい味がする。


「ふっ」

自然とはにかむティアナを見て、

こらえきれずにオッドは鼻息を漏らした。


「なによ?」

ティアナは目を細めると視線でオッドに抗議する。


「べつにー?」

さっきのティアナを真似するような

からかい混じりのオッドの返事に、

「・・・」

ティアナは不満を表すように頬を膨らませてみせた。


「さっきから、なに膨れてんの?」

オッドに頬をつねられながら問われたティアナは、じろりと睨みながら言葉を返した。


「・・そっちこそ。

 どういう風の吹き回し?」


「ん〜?」


「パンもジュースも。

 オッドの奢りなんて初めてだから」


そう。パンもジュースも、レジに進むとオッドはさりげなくお金を払って商品を持ってくれた。

いつもなら、ティアナが声を掛けない限りオッドは食事をとろうとはしない。だから二人で食事をとる時は、自分に付き合う形でオッドの分もティアナが注文をしているのだが…


「ん〜」

オッドはあっという間に、パンをぺろりとたいらげた。


「俺じゃないよ〜」


「え?」


「二人で話して来いってことじゃない〜?」


オッドはいつもめんどくさがって話を端折りすぎるきらいがある。


「どういうこと?」


「ん〜」


オッドはスムージーを口に含むと、

自分の横髪をくるくると人差し指でもてあそぶ。

この癖は、何かを思案している時のオッドの癖だ。


「・・・」

ティアナはパンをかじりながら、オッドの言葉を待つことにした。


「・・・」


少しの沈黙の後、

オッドはストローから口を離した。


「つまり、公爵がね。

 食事でもしながら話をしろってさ〜」


「え?ベイリー様の衣料品は?」


「全部、衣装倉庫に集めてあるらしいよ〜」


この衣装倉庫は今まで購入し、クロウド邸宅に置ききれなくなった季節違いの衣料品を保管する場所だ。

魔法騎士家系であるクロウド家では、生活用品よりも騎士の備品が優先される。保管庫の大半を弓や剣や鎧などに使用していて、衣装を保管する部屋数は少ない。

そのため貴重品以外は、各地に衣料品を保管するための倉庫を建てていた。

その中のひとつに、街中に立てた衣装を保管するための倉庫がある。リストにある衣料品は、全てそこに運ばれているのだろう。

それならば、移動する時間分の余裕ができたということだ。


「ふーん」


今回、ユリウスはギルには伝えず

ティアナにだけ邸宅に帰るよう手紙を寄越した。


(計画的、ね)


お父様は最初から、

オッドと私を二人きりにするつもりだったのだろう。


「それで?

 お父様は何の話を?」


「ん〜

 俺のこと、かな」


「!」


オッドは淡々と

感情のない声で話し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ