予期せぬ知らせの翌日
「うーん。。」
ティアナは布団から起き上がると、あくびをしながら辺りを見渡した。
(あれ・・?)
学院が始まってから、マリアはいつもティアナが起きる時間にあわせて、暖かいお湯が入った洗面器を持って来てくれる。
しかし、いくら見渡してもその場にマリアの姿はなかった。
それどころか、部屋の様子がいつもと違って・・?
(あ、そうだ。家に帰って来てたんだった…)
昨日、クロウド家に戻って来たティアナは、
今日は学院が休みということもあって、そのまま実家に泊まっていた。
マリアは月末からの連休に向けて、準備のために学院に残ってもらっていた。
来週で、学院に通い始めて三週間がたつ。
幼馴染たちとの再会に、数年ぶりの学校に、初めての魔法実技に・・と、ティアナは忙しなく過ごしてしていた。
しかし、そのティアナに付き添いお世話するだけではなく、ギルベルトの分も合わせて新入生二人分の準備や片付けを一身に担うマリアはもっと忙しなく。ティアナは学院に通い出してから、マリアが休日をとっている姿を見たことがなかった。
オッドに小言を言おうにも、のらりくらりと交わされてしまうし。マリアは忙しさを微塵も見せずに、私が見ていないところで準備を済ませていてくれる。
あと数日学院に通えば、月末からは一週間ほどの連休に入りティアナとギルはクロウド家に帰る予定だ。そのための準備があることで、さらに負担がかかっているはずなのに、マリアはその様子を微塵も見せない。
だから、マリアにはこれ以上の負担はかけられない。迎えの馬車にユリウス所属の侍女を貸してもらい、マリアには寮に残ってもらっていた。
リンリン
ティアナはベッド脇にある紐をひっぱって侍女を呼んだ。
カチャ
「おはようございます」
ベルの音に気付いた侍女の一人は、しばらくしてお湯がはった洗面器を持って来た。
(新人さんかな?)
その侍女は緊張に手を震わせている。
「ありがとう」
ティアナがお礼を伝えると、新人の侍女は嬉しそうに頭を下げていた。
「おはようございます」
初めて顔をあわせた侍女との仕度は、思いのほか時間がかかった。
ティアナがリビングに顔を出すころには、ユリウスとギルベルトのお冷はすっかり汗をかいてしまっていた。二人とも、ティアナが来るまで食事をせずに待っていてくれたのだろう。
「お待たせいたしました」
ティアナが席に座ると汗をかいてしまったお冷は新しいものに交換され、最初の食事が運ばれてくる。
「おはようございます」
「ティア、久しぶりに一緒に食事ができるね」
三人で顔を合わせて食事をするのは数週間ぶりだった。
「二人とも、魔法学院はどうだい?」
「優秀な方達ばかりだから、
刺激になってとても充実しているわ」
「専門科目が充実しているだけではなく
各分野の著名な教授からお話が聞けるので
愉しく学びがいがあります」
「そうか」
ティアナとギルベルトの会話に、
ユリウスは嬉しそうに相槌をうつながらも空いたお皿を下げさせている。
「さ、そろそろ準備しようか」
ユリウスの合図で、ティアナとギルベルトも腰を上げた。
その日はユリウスも休みをとっていて、昨日、街に出かける約束をしていた。




