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予期せぬ知らせの数日前(4)

キースに覆いかぶさられ、ティアナは逆光で目を細めた。

横目で掴まれている手首を確認して、ソファに押し倒されたことを理解した。


(キース?)


キースの顔が天井のライトを隠すと、

その表情からはいつもの幼さが消えていた。


「ティアナ」

黄金の大きな瞳を揺らしながら真剣なまなざしを向けるキースは

白く滑らかな肌に艶っぽく、清艶な乙女のように美しい。


「好き、だよ」

初めて聞く艶気を含んだ低い声に


(えっ・・)

ティアナは心臓をドキッと鳴らした。


瞳を大きく見開いていると、

ふいにキースの顔が近づいて来た。


(えっ!えっ!?)

捕まれた手首に力を入れるが、細長い指に似合わずキースの腕はビクともしなかった。

スローモーションのように接近する美顔に耐え切れず、ティアナはぎゅっと瞳を閉じた。


――次の瞬間、


(唇がっ・・!)

熱い何かが唇にそっと触れた。


ティアナは自分の顔が一気に熱くなるのを感じた。


どうすれば良いのかわからず、小刻みに震えながら動けずにいると、

瞳を閉じ敏感になった顔の感触から、キースが漏らす吐息の熱を感じた。

益々、ティアナの顔が真っ赤に染まる。


「ふっ」

キースの鼻息が聞こえ、顔に感じていた吐息がだんだん遠くなるのを感じた。


(?)

しかし、唇に触れている熱いモノはその場に残されたまま。


「くすくす」

キースの笑い声はたしかに遠くから聞こえてくる。

・・では、この唇に触れているモノは?


ティアナは、おそるおそる瞳を開けた。


「――っ!」


ティアナが瞳を開けるとキースは、

ティアナの唇に触れていた二本の指をそっと離し、自身の唇へ同じように重ねて見せた。


「可愛い」


その表情は、誘惑的な妖艶さだった。


(こっ、小悪魔っ!!!!)


ティアナが空いた片手で唇をかばい顔を真っ赤に染めていると、

キースは満足気な表情でそっとティアナの頬に触れた。


「真っ赤だね」

「っ!」

心臓が激しく脈打ち、うまく言葉を返せない。


「ドキドキした?」

「っ・・!」

キースの言葉に、キッと反発の瞳を向けると、

「ごめんね」

キースは眉を八の字に下げて、

「兄さんの真似だよ」

いつもの幼い表情に戻った。


「ティアが好きだから…

 もっと好かれたくて…」

「だからって・・」

「兄さんみたいになれば、

 もっと好きになって

 もらえるかなって思って…」

「殿下みたいに?」

困惑するティアナの表情を読み取ったのか、

キースはティアナを起き上がらせると

「ほら、王妃教育で王城に来ていた時!

 邪魔をしちゃダメだって止められて、

 側までは行けなかったんだけど…

 何度か二人の様子が見えたんだよ」

そう理由について説明した。


「兄さんがしていた手の甲へのキスは

 ティアナに対する()()()()

 意味するでしょ?」

キースの言葉は、どこか"敬愛"と"尊敬"を強調している様に聞こえた。


「でもね、僕は兄さんより

 もっともっと気持ちが深いんだよ。

 だから、その気持ちを伝えたくて」


ティアナは王妃教育で王城に行くたびにシリウスとお茶をしていた時のことを思い出した。シリウスは恥ずかしげなく甘い言葉を落としたり甘い行動を取ったりすることが多々あった。


(子供特有の独占欲かな?)


キースはそれを見ていて、手の甲よりも気持ちが伝わる場所として()を選んだのだろう。普通の女の子なら勘違いしちゃうだろうに。乙女ゲーム補正でもあるのだろうか。


(あの兄にしてこの弟か…)

キースの行動にティアナはあっさりと納得した。


「怒った…?」

キースはこてんと首を傾げて上目遣いで見つめてくる。

その表情に昔からティアナは弱かった。


「もぅ。びっくりしたんだから…」

キースは謝りながらティアナに抱きつき、

ティアナも答える様にキースの頭を撫でた。



その日は、そのまま音楽室の前で解散した。





・・それにしても。

なんだ、この敗北感は。


小悪魔なキースは、悪役令嬢である自分よりも魅惑的で美しかった。

(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。

(※)改訂している話には★マークを付けています。

(※)ムーンライトノベルより更新は遅れます。

(※)ムーンライトノベル版(https://novel18.syosetu.com/n9962hu/)

(※)ムーンライトノベル版には18禁描写が含まれます。ご注意ください。

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