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カゲの記憶 1

カゲは夢を見ていた。


まだ幼くて ”学校” という場所にいた。

周りには同じ年頃の子供たち、10歳くらいだろうか、がたくさんいた。


どの子も清潔な麻の衣服を着ていた。

とてもシンプルなデザインだ。

上着は、袖を通して腰ひもで縛っただけのもの、そして膝丈ほどのズボンだ。

そして、どの子もよく似た草で編んだような柔らかい履物を履いていた。


”教室” には様々な子どもがいた。俺のように黒い髪の人間、

金色の髪の人間、茶色い髪もいたし、銀色の髪もいた。


瞳の色も、黒、青、碧、黄金色や紅い色もいた。


それぞれ、賑やかに喋っていたり、図鑑を熱心に眺めていた。


俺は、銀色の髪に紅い瞳の少年と向き合って座っていた。


少年は声をひそめて熱心に語りかけてくる。


「知ってる?あの噂」


「噂?」右横にいた色白で太った少年が聞き返す。


「僕たちが給食で食べている肉。あの中に虫の幼生の肉が

まざっているんだって」


「嘘だろ!気持ち悪いな。」色白の少年が素っ頓狂な声をあげた。


「虫?そんなものが入ってたら、さすがに気付くだろ?」俺は冷静に答えた。


「ちがうよ。虫といっても、幼生を細かい粉にして砕いてるんだ。

その粉を水で練って、肉のように成型している」


「えっ?じゃあ、昨日の……」色白の少年が言葉を詰まらせる。少し顔色が悪い。


「かもしれないってだけさ」紅い瞳の少年が得意気に顎をあげた。


「だが、そんな大量の虫、どこにいる?」

どこかで養殖でもしているのだろうか?俺は疑問に思った。


「バースさ」紅い瞳の少年は、好奇心に満ちた表情で答えた。

頭の中を色々な想像がかけめぐっているのだろう。


「バース?あの地底の国か」俺は納得した。あそこなら虫だらけだ。それも大型の。


「ああ。アークはバースの昆虫の幼生を買い取って食料にしているって噂だ。

だから、この国は飢えを知らない」


(ひどい話だ)カゲは思った。(ならば、世界で一番残虐な生き物は

我らアークの聖人なのではないか?)




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