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Bloody I  作者: ライト
3/9

シオン

 気づいたら朝になっていた。あの後、そのまま寝てしまったのか。鏡を見て改めて左眼が紅眼であることを確認する。もはや日課となったことだ。眼帯をつけて、僕は学校へと向かった。

 その前に寄る場所がある。それは向かう途中にある喫茶店だ。ここで僕はいつも朝食をとっている。理由は一つ。例の国が援助しているという店の一つがここだからだ。

「もう朝食はできてるぞ」

彼はこの喫茶店の店長で、名前をシャガという。店長というのは表向きの職業で、本当は政府直轄の料理人だ。

「いつもありがとう」

「礼には及ばないさ。さ、早く食っちまえ」

今日は窯焼きパンとオムレツとサラダという普通の朝食メニューだった。

「ごちそうさま。じゃあ行ってくる」

「おう、いってらっしゃい」

 僕は喫茶店を後にし、学校に向けて歩いて行った。その道中のことだった。

「レイ」

後ろから僕を呼ぶ声がして振り返った。そこには誰もいない。気のせいだったか…。

「さっきから呼んでますよ。レイ」

身体を元の体勢に戻して真っ先に視界に入ったのは一人の少女だった。しかもかなり近い。互いの鼻が当たってもおかしくない近さだった。

「えっと、あの…」

「あ、すみません。近すぎましたよね」

少女は数センチだけ遠ざかった。ようやく彼女の全体を観ることができた。黒髪の童顔。目の色はいたって普通だった。身長は高くもなく低くもなく。数字で言ってしまうと150センチ台だろう。彼女は…、初めて見る人だ。

「初めて見るけど、あんたこの街に住んでる人?」

「はい。でもこの街に来たのは半年くらい前です。私、シオン・シュリエナといいます」

「僕は…、と言ってもさっきの様子じゃもう僕の名前は知ってるんだよね?」

「はい。レイ・シュレンさん。えっと、あなたの名前は学校で知りました」

ということはシュリエナさんは僕と同じ学校に通っているのか。全く気付かなかった。

「シュリエナさんも今から学校へ?」

「シオンで構いませんよ。今日は学校行けないんです。病院に行かなきゃいけないので」

「病院…。何かあったの?」

「私って昔から病弱なんです。すぐに発熱を起こしたりして」

「そうなんだ。じゃあ僕はそろそろ…」

「はい。また学校で会いましょう」

シオンさんは走って僕の前から去って行った。彼女はこの街に半年前から住んでいて僕と同じ学校に通う女子。なぜ今まで気づかなかったのか。僕が彼女のことを全く知らなかっただけだ。そう決めつけた。

 ところがその決めつけは友達のエア・ジュレウスの一言で一瞬にして崩落した。

「そんなやつはうちにはいないよ」

「単に知らなかったってわけじゃなくて?」

「お前忘れたのか?職員室のボードに生徒全員の名前が載ってるだろ。そこにそんな名前の女子いなかったぞ」

そう言われて僕は急いで職員室の前へと向かう。たしかにエアが言っていたように、ボードには全校生徒の名前が貼り出されていた。一人一人名前を確認する。しかし『シオン・シュリエナ』という名前は最後まで出てくることはなかった。

「な、言ったろ?」

職員室に用があると言って一緒に来たエアがそう聞いてきた。

「ああ。俺の聞き間違いか」

「かもな」

僕とエアは教室へと戻った。

 「あ、シュレン。どこ行ってたの?」

教室へと戻ると、僕のガールフレンドであるミオ・セスティアが登校してきていた。ガールフレンドといっても、僕は彼女のことが好きではない。いや、たしかに彼女は容姿淡麗だし成績優秀。男子の注目の的だ。

「悪いなミオ。エアと一緒に職員室に行ってた」

「そうなんだ」

彼女は笑顔でそう言った後、服の襟をつかんでラウンジへと僕を強引に引きずって行く。

「ホント仲いいな。二人は」

教室を出て行くとき、笑ってそう言うエアが目に入った。

 「痛っ!」

人気のないラウンジの壁に突き飛ばされた僕は表情を変えたミオに壁ドンされた。この場合は恋愛感情なんて芽生えない。

「あんた、自分の立場分かってんの?」

さっきとは180°違う態度だ。僕はこの時の彼女を『裏ミオ』と呼んでいる。さっきのいたって普通の彼女は『表ミオ』である。

「立場ねぇ…」

「私は紅眼であるあなたを監視する身なの。そしていつ何時でもあなたを葬れる」

「ミオが言うことは本当に穏やかじゃねえよな」

僕は笑ってそう言うと、彼女はスカートのポケットから拳銃を出し、僕に見せつけた。

「…撤回」

「それでよし。さ、教室戻りましょう」

彼女はまた表ミオに戻って、僕たちは教室へと戻って行った。

 会話の最中にあったように、ミオには僕が紅眼であることがばれている。不運なことに彼女の祖父は紅眼を討伐する人だったみたいで、そのためかこの街の人たち以上に紅眼をヘイトしている。イレギュラーでこんなことになったと言ったのに、彼女は全く信じなかった。

「紅眼は危険だから排除しないと…」

そう言って銃口を向けられたことが脳裏に焼き付いている。命乞いすると彼女は僕を殺さないことを条件に、ガールフレンドになることを強制された。僕は彼女に弱みを握られ、彼女のガールフレンドとなったのだ。もっとも、彼女が僕に対して好意を寄せてるかは分からない。いや、多分好意なんて寄せてないだろう。会話中にあったように監視している。場合によっては僕を殺す。これが有力説だと僕は思う。

お久しぶりです。気がついたらもう2016年になっていました。

さて、今回新たな登場人物が二人出てきました。シオンとミオ。少しネタバレとなりますが、この二人は次回にも登場してきます。シオンはこの学校の生徒ではない。はたして本当のことなのでしょうか。それは次回のお楽しみ。

2話から間が開いてしまい申し訳ございませんでした。趣味で書いてますし、かつノープランなので、何度も言うように了承してほしいのですが…。

次回は2月までに投稿を目指していきたいと思っています。この物語自体は今年中に完結できればと考えていますが、伸びてしまったらすみません。

それでは次回お会いしましょう。読んでいただきありがとうございました。

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