回想
ここでハーフタイム。しばらくの間、僕の回想に付き合ってもらいたい。僕の左眼が病に侵されてから左眼だけ紅眼になってしまった過程に関してだ。
「大変言いにくいのだが、君の左眼は病に侵されています」
あの時、医者に言われたその一言によって頭の中が真っ白になった。どうやらその病は日に日に視力が低下していって、最終的には失明し、さらには眼の病原菌が身体を蝕み、死に至ることもあるという。発症例は少なく、治療法として挙げられるのは、侵された眼球を取り外し義眼をはめるというものだけだった。幸い技術が進歩した世の中だ。作り物ではなく、本物そっくりな義眼をはめる。しかもそれによる過剰反応はほとんど見られないという。
「シュレン君。やるかい?」
僕は迷わなかった。その場で義眼にすることを選んだのだ。手術は診断を受けた病院から遠く離れた場所、つまり今住んでる街にある国立病院で行われた。手術代は全額国が負担してくれるようだ。というのも僕が侵された病は国定のものらしく、その病が完治するまで国が負担するという法律がこの国にはあった。手術は無事に成功し、僕の左眼には義眼が入った。これで僕はまた生きられる。そう思っていた矢先のことだった。
「なんだよ、これ…」
ある日鏡を見て自分の姿に驚いた。昨日まで至って普通だった左眼が異様に赤かった。血のように染まっていた。この時にはすでに町が紅眼をヘイトしていることを知っていたので一応左眼を隠し、国立病院へと向かった。医者も驚きを隠せないでいた。僕に入れた義眼は義眼ではなく、本当の眼球だったのだ。それも全滅したはずの紅眼のものだった。医師が言うには、「運がいいのか悪いのか、僕と左眼の持ち主が過剰反応を見せなかったようだ」ということだった。僕は一人部屋に監禁状態となった。
「なんで…。なんでこんなことに!」
そう叫んだ時、ノック音がしたあと、一人の男が入ってきた。
「君がシュレンか。初めまして、私はジュラエス・エランという。政府の命令で来た」
政府という言葉にすこし身構えた。
「いや、身構えなくていいんだよ。君には何もしない。政府も君に対して何もしてこない」
「どういうことですか?」
「紅眼のことについては、君も知ってると思う。実はこの街だけなんだ。必要以上に紅眼を嫌っているのは」
「そうみたいですね」
「なんだ、知っているのか。なら話は早い。この街、そして国も紅眼を持ってしまった人がいるということを隠したいみたいなんだ」
「隠ぺいですか?」
「国からしたらこの街は観察対象なんだ。紅眼を嫌っているのは世界的に見てもこの街だけ。つまり紅眼がいるなんてことが知られたら収拾がつかなくなる恐れがある」
「つまり、片目だろうと僕を殺すことが考えられると…」
「そういうことだ。だからシュレン君。君に頼みがある。それも国からのものだ」
「国からですか…」
「紅眼を普通の目に戻す方法が確立されるまで、人前では眼帯をつけてほしい」
「眼帯!?」
予想外の頼みだったので僕は仰天してしまった。国からの頼みがそんなものだとは思わなかったから。
「驚くのも無理はない。私だって政府から言われたときは驚いたさ」
「まあ、眼帯くらいなら政府の頼みだろうと誰だろうとつけますけど…」
「そう言ってくれてありがたいよ」
エランさんはこの他にも、定期検診の負担や無理なく生活できるための援助等を国がしてくれると言う旨を僕に話してきた。帰り際、エランさんはこんなことを言ってきた。
「君に紅眼が入ってしまったのはこの病院の手違いだが、政府からしたらこの街が持つ紅眼をヘイトする意味をなくすチャンスでもある。紅眼を持ってしまった君がこの街の歴史を変えるかもしれないんだ。それだけは忘れないでくれ」
長く回想に付き合わしてしまい、申し訳なかった。これでハーフタイムは終了。
Bloody Iの2章目、いかがだったでしょうか?クオリティが低いのは相変わらずです。趣味で書いてるので…。
さて、今回はシュレンの過去、つまり左眼が紅眼になった過程についての物語でした。この回想は物語が進んでから書いてもよかったのですが、どうせ書くのなら早いうちに書いておこうかと思い、今回書かせていただきました。実質次回の投稿から本編と言っても過言ではないと思います。あらすじにもあった少女が次から登場してきます。が、11月1日現在、まだ3章が書き終えてない状態です。しばらく待つことになると思いますがご了承ください。
それではまた次回お会いしましょう。




