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目の前には魔王がいた  作者: 八雲紅葉
新世界は異世界
11/38

~閉店~

 ガブリオンファミリーのアジトについた。

 そのアジトとは、街のはずれにあるとおもいきや、閑静な住宅街という感じの場所にあった。もしかしたら、ギャングやチンピラ達のアジトはここら辺に集結しているのだろうか? 周りの建物からはその道の人達が顔を覗かせてこちらの様子を伺っている。

 そのアジトにはファミリーの一員なのだろう。たくさんの私兵がうろうろとしている。

 その私兵は俺たちの姿を見て、驚いている様子。なんてったってファミリーのボスが簀巻きにされていているのだから。


「お前ら。無駄な抵抗だけはするなよ。抵抗した時点でボスの首は飛ぶ。覚えておけよ?」

 俺が叫ぶと兵士は動かなくなり、自由にファミリーの建物の中を歩き回ることが出来た。

 さっそく金貨が眠る金庫がある部屋に向かう。その部屋はアジトの地下室。同じ階で沢山の分厚く重い金属の扉をくぐった先にそれがあった。

「……これが今手元にある金だ」

 そういって出されたのが、紙に巻かれた棒状の金貨。その棒状のものが30本。そのうちの一本の紙を切ってみると、金貨が30枚。

 単純計算で7200万円。かなりの量だぞ。これは。


「それで土地は? どれくらい持っているんだ?」

「土地はこのアジトだけだ。あとは貸し家だけだ」

 貸し家というが、少し前のココみたいな感じだろう。ということは借用書的なものがあると思うだが。

「借用書はあるのか? あるんだったらそれも出せ」

 金庫の中にはもう何もないし、どこにあるのだろうか? もしかしてないとか?

「雅彦。あの金庫怪しいぞ。底の色が少し違う。まだ何か隠してるぞ」

 横にいるミラの助言。良く注意して見ると確かに色が違う。すごい観察眼だ。

 男はその助言に驚いたのか、それとも隠し事が通せなかったことで驚いたのか。肩を上下させる。


「おい。嘘はなしだろ? お前はしばらく前までは搾取する側の人間だった。だが今は搾取される立場の人間だって言うことを忘れるな?」

「すいませんすいません。これだけは。これだけは勘弁してください!!」

 男は金庫の底に眠るものだけは取られたくない様子。だが、痺れを切らしたミラがそんなのお構いなしと言わんばかりに隠し扉を開く。

 底にはまばゆく光る金の延べ棒が隠されていた。なんと10個も。その価値は俺にはわからないが、かなりの金額になるのだろう。

 そして、延べ棒の下には5枚の紙。目当ての借用書だ。

「もう良いだろう! 出て行ってくれ。お前達とはもう関わらない! だからとっとと出て行ってくれ。お願いだ!」

 おそらくであろう全財産を搾られた男が叫ぶ。だが、そうもいかないのがこの世の摂理。俺は保安官という人にこの男を突き出そうと考えていた。


「何言ってるんだ。お前はこれから保安官に突き出すんだ。それにこのアジトも保安官に包囲させてるからな。お前達は悪事に手を染めすぎた。年貢の納め時というもんだ」

 ミラはなにかのバッジを男に見せびらかす。その意味を知らない俺はわからないが、なにか大層なものなのだろう。そして、俺と同じことを考えていたようだ。

「さて。雅彦。持てるものはもってさっさとトンズラしよう」

 ミラがせかすので俺は延べ棒と金貨を近くにあった麻袋にしまい、アジトから立ち去るとした。

「それで、さっきはなにを見せたんだ?」

「あぁ。これか?」


 ミラからバッチの正体を教えてもらおうとするところに、洋画とかでよく見るような保安官っぽい衣装を着た男が俺達に近づいてくる。

「ミラさん。ようやくあのガブリオンファミリーを潰すことができましたね」

「あぁ。それもこの店主がいたおかげだ。全保安官を代表して礼を言う。ありがとう。雅彦」

 ペコリと頭を下げるミラ。俺はいまいち状況を飲み込みきれずにいる。一体どういうことだ? ミラは保安官なのか?

「どういうことだ? ミラはナルシスと一緒で冒険者じゃないのか?」

「すまんね。私は元冒険者。今は特別保安官として生きているんだ」

 特別保安官。どういうことなのだろう? まぁ彼女が保安官なのは間違いなさそうだ。

「そうか。まぁ助かったよ。と言いたいが、ナルシス。ミラ。俺の店についてきてくれ」

 俺は彼らに話したいことが山ほどあるので、ひとまず店に戻ることにした。




「あのな。助けてくれたのはすごく嬉しい。嬉しいんだよ。でもな、この店の惨状は無かったことには出来なんだよ?」

 今の店。ブラッドバス状態。とてもじゃないが店なんか開ける状態じゃない。

「良いじゃないか。今の店主には店を改装できるほどの資金がある。それで改装しちゃえば良いじゃないか」

 確かにミラの言うとおりである。だが、この店はココの大切な思い出の場所でもあるのだ。簡単に改装なんか出来るはずがない。


「ココ。どうしたい? 元はといえばココの店だ。今のままじゃ何も出来ないがどうしたい?」

「……壊します。この店を一度壊して。新しい店にします。店の形もなにもかも変えて新しい店に」

 うつむいて考えていたココは、顔を上げてまっすぐ俺を見てそう言う。

「でも良いのか? ココの親父さんが大切にしていた店だぞ?」

「大丈夫です。昔は父の店でした。でも今は雅彦様の店です。ですから良いんです。この店を壊します」

 もう揺るがないであろうココの意思。それでは俺はそれに従うことにする。


「でも、この金貨と延べ棒はどうしたらいんだ? いくらなんでも全部いただくなんて出来ないよな?」

「は? それは全部店主のモノだよ。この世界では搾り取ったモノは搾った人のモノだ。だから全部店主のモノ。私としてはいくらかおこぼれを貰いたいものだがね」

 ミラは延べ棒に視線が向いている。やはりそれほどの価値があるんだろう。金の延べ棒は。

「そうなのか。じゃあ延べ棒を1本ずつ二人にあげるよ。こんな収入があるとは思わなかったからな」

 延べ棒をひとつずつ手渡す。ずっしりと重い感触を手渡す。

「それで、店を潰すとしても誰が建ててくれるんだ? それに俺達は宿屋暮らしか?」

「そうなるな。店はちゃんとした大工がいる店に依頼すれば大丈夫だ。大工の質は金額と比率するからケチったりするなよ?」

 では、ひとまずは宿屋を探しつつ大工に依頼することにしよう。


「わかった。ひとまず今日はおつかれ」

 俺の一言でミラとナルシスは店から出て行った。残されたのは俺とココ。それと山ほどの金。

 シリルに返す金貨も倍以上になって帰ってきた。あまりにも早すぎる目標の達成に少々呆然とするが、この金もすぐに消えてしまうのだろう。

 チンピラから搾取した金。それはあぶく銭以外のなにものでもないので、早々に使ってしまうにかぎる。

「まぁ今日は色々とあったな。今日はもう寝ようか」

 下の階はブラッドバス状態だが、俺達が眠る場所は上の階にあるベッドしかないので我慢して寝るしかない。

 新しく買ったベッドの使い心地は良かったが、環境は最悪だった。

ひとまず、ここで第一部完。という感じです。でもまだまだ続きますので大丈夫ですよ~。

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