小さな異変
youtubeでゲーム実況をおこなっております!
https://www.youtube.com/@nico_channel_
エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
「今回の『黒い羅針盤広域観測調査』だけど……」
「長いな。観測調査でエエことない?」
「コホン……観測調査だけど。ある程度絞れてきたら、寄港地の数を段階的に減らしていって良いそうよ」
ラウリエルを出発してひと月ほど。
リュミエルは電信による定時連絡で、黒い羅針盤が指す方角を伝えているんやけど、新たに指示が来たらしい。
観測結果がある程度揃ってきたら、段階的に寄港地を減らしてもええで、と。
ただし、これまでの観測結果から予測される方向と違う方角を指し始めたら、その周辺で何箇所か追加観測をしてほしいとのこと。
それと、洋上での測定はアカンらしい。
測定場所は港、最低でも島にしてほしいそうや。
理由は、洋上では測定地点が『大体』の位置になってしまうから。
いくら黒い羅針盤が正確な方角を指そうが、測定地点が『大体』では、測定結果も『大体』になってしまうからや、と。
なるほど。確かにそうやな。
ちなみに、これまで測定場所が結構細かく設定されていたのは、観測データを蓄積するためだけではないらしい。
機器の操作に慣れていないうちは、操作ミスによって測定結果が狂う可能性もある。
そのため、測定回数を増やして、結果に不自然なばらつきがないか確認する目的もあったそうや。
観測結果がある程度揃い、機器の操作にも慣れてきた今なら、寄港地を減らしても問題ないと判断されたみたいやな。
それから一週間ほど経って、いよいよレイゼル領内に入った頃……
「ごめん……エイル。最近ちょっと身体が熱っぽくて……横になっててもいい?」
「ええよええよ! 体調がすぐれん時は、大事とって休んでて!」
最近レイナは、なんや身体が熱っぽいらしい。
風邪か?
いや、風邪にしてはちょっと長い気もする……
そういや、癌とかでも最初は微熱が続くことがあるって聞いたことがあったような無かったような……
そういや魔素病の初期症状もそんなんと違うかったかいな……?
……アカン。変なこと考えたら余計に心配になってきたわ。
「リュミエル、レイナが最近熱っぽいらしいねん」
「もう一週間ぐらい続いてるし、ちょっと診たってくれんか……?」
「…………」
「…………そうね。ちょっと行ってくるわね」
なんや、今のリュミエルの間は?
まじで癌みたいなこととちゃうやろな……(ソワソワ……)
しばらくしてリュミエルが戻ってきた。
「どうなん!? レイナはなんかの病気なんやろか?」
「うーん…………ちょっと身体のバランスが崩れているだけのようだから心配はないわ」
「ほんま!? なにかの病気の初期症状とかとちゃう?」
「女性の身体は繊細なのよ。男ならドンと構えてなさい!」ビシッ!
「あ……う……わかった……」シュン……
リュミエルは不安そうなおれの頭を胸に引き寄せ、優しく抱きしめてくれた。
「レイナは大丈夫だから……心配ないわ」背中ポンポン
それからもレイナの熱っぽさは続いた。
心配なおれは、ふとマリナの旅立ちの日の、父トーマとのやりとりを思い出した。
「せや! 月見草が熱冷ましにエエとか聞いたことがある!」
「もう! 私がいるんだから、レイナのことは任せておいて! へんな素人療法はやっちゃ駄目だからね?」ズイッ
「はい……」
リュミエルがズイッと顔を近づけてきて釘を刺してきた。
確かに薬に関してはド素人のおれより、リュミエルの方がはるかに頼りになるけど……心配なもんは心配や。
せやけど、今おれにできることと言ったら、できるだけレイナを休ませてあげることぐらいやな……
その後もレイナの体調には波があったが、リュミエルが心配ないと言うので、おれはできるだけ無理をさせないようにしていた。
そしてラウリエルを出発して二ヶ月。おれたちはレイゼルの港へと到着した。
「ちょっくら面会の申し込みしてくるし、レイナたちはエイル号で待っててくれたらエエよ」
「え……あたしも行きたい」
「港の衛兵さんの詰所を探して、面会を申し込んでくるだけやから休んどき」
「よいしょ……ううん、行きたい♪」
横になっていたレイナが起き上がってきた。
「待ってなさい。港はいろんな匂いがするから、まずは甲板で様子を見てからにしましょう」
「……わかった」
リュミエルの言うことは聞くのね、レイナさん。
「ヴェルディア、レイナに何かあったらすぐに連絡くれるか?」
「わかったわぁ♪」
おれはヴェルディアたちにレイナを任せて、リュミエルとノルと共に港の衛兵の詰所を探した。
焼いた魚や魚介類の香ばしい匂いが漂う港町。
「美味そうな匂いやなぁ♪」
「もう、ちゃんと探してる?」
「買うついでに店の人に聞いたらええやん♪」
「おばちゃーん! 二つちょうだい♪」
「あいよー♪」
おれたちは魚の切り身の串焼きをかじりながら、店の人に教えてもらった衛兵詰所へと向かっていった。
「すみませーん、シグル王太子との面会はここで申し込めますか?」
衛兵は、いきなり王太子との面会を申し込んできたおれを、怪訝そうに見た。
「なんだチミは?」
「そ……」
そうです私がへんなオジサンです、とか返しそうになったわ……
『へんなオジサン』なんて名乗ったら取り調べになりかねん。
「もう……エイルったらいきなりなのよ」
『私共はラウリエル王国から特使としてやってまいりました』とかなんとか、リュミエルは上手く伝えてくれて、手続きに入ることが出来た。
「エイル、預かった印章をここに押印してちょうだい」
「あいよ!」
「それではこれより王城のほうに連絡いたしますので、船で待機願えますか?」
おれはエイル号を係留している場所を教え、詰所を後にした。
こういう公的な事は、さすが三百年の積み重ねがあるリュミエルさんやわ……
「エ・イ・ル、なにか失礼なこと考えてない?」ニッコリ♪
「ほんま鋭いなキミは!?」
おれはまた耳を引っ張られながらエイル号へと戻っていった。
「レイナ、どうだった?」
「うん、大丈夫そうだったよ」
リュミエルとレイナがなにやら話をしている。体調は大丈夫そうなんかな?
それにしても、シグルの顔を最後に見たのは一年以上前か……
あれから電球の実験施設とか上手いこと行ってるんやろか?
フィオナさんとは進展したんやろか?
せや! マリナのメイド服も準備しといたほうがええやろか!?
せっかくやし、レイゼルブルーで作った礼服とかドレスもインベントリに入れて持っていったろ♪
などと考えながらエイル号でしばらく待っていると、日も落ち始めた頃レイゼル城から迎えの馬車がやってきた。
夕暮れ時の港町。
通りには魚油ランプのぼんやりとした明かりが灯り始めていた。
その向こうには、ひときわ明るく照らされた広場が見える。
あれは……もしかして、電球か?
どうやら、おれたちがいない間にも色々と進んでいたみたいやな♪
おれたちは馬車に揺られ、夕暮れのレイゼル城へと向かっていった。




