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黒い羅針盤

youtubeでゲーム実況をおこなっております!

https://www.youtube.com/@nico_channel_

エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、

女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。

挿絵(By みてみん)

AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。



 コツン……コツン……


 それは偶然からだった。




 瓶のなかの『黒い霧』。


 黒い霧の熱に対する反応を調べるため、リリエラさんたちの研究班が、黒い霧の瓶をお湯を張った桶に浮かべていた時だった。



 中央に浮かべた瓶は、決まった方向へと動いた。



 桶を回してみる。場所を変えてみる。


 はたまた常温の海水に浮かべたり、氷を入れた冷水に浮かべたり。



 それでも黒い霧の入った瓶は、決まった方角へプカプカと揺れながらススッ……と動き、桶の縁へコツン……コツン……と当たっていた。



『もしかすると、黒い霧が目指す方向を示す羅針盤が作れるのでは?』



 この発見が王都の研究班へ電信で伝えられ、『黒い霧の羅針盤』が作られるきっかけとなった。





 おれたちは、出来上がった『黒い羅針盤』の試作品を研究室で見学していた。



 黒い霧が入った瓶と、その反対側にはめ込まれた同じ重さの錘《おもり》。


 それらを天秤のように釣り合わせた、コンパスの針みたいな横棒。



 研究班ではこれを『黒い針』と呼んでいるらしい。



 その中央を支点に、針全体が水平にクルクルと回転する仕組みらしい。


 さらにその下には東西南北が刻まれた大きな方位盤があり、ガラス製の上蓋には普通のコンパスも取り付けられている。




 まずコンパスの針に合わせて方位盤の北を合わせ、あとは『黒い針』がどの方角で止まるのかを見るわけやな。




「『黒い羅針盤』……これのお陰で調査の精度が大幅に向上しそうだわね」



「でっか! 二畳ぐらいありそうやな……」


「にじょう……?」


 リュミエルがピクッと反応した。



「いや……あっちの世界のサイズ概念や」


「エイル号の床板あるやん? この大きさ二枚分ぐらいで一畳や」





 それから程なくして、おれたちは王宮の会議室へ呼び出された。



 会議室ではアルヴェイン国王や研究班の人たちが待っていた。



「あ〜! ミュルだぁ〜♪」ふわふわ♪


「……ん」モグモグ、親指グッ!


 ほー、この妖精さんがララの代わりに『森の管理者』の代行をやってくれてるんか。


 リシェリア王妃さまとべったりやな……




「リシェちゃんと仲良しなんだねぇ〜♪」にこにこ♪


「……でもアルがいい顔しない」モグモグ



「ミュル様! それは……」


 慌てたアルヴェイン国王が立ち上がる。




「アルはリシェのことになると器が小さくなる……」ヤレヤレ……


 アルヴェイン国王は机の上でガクリと頭を抱えていた。



 その様子を微笑みながら見ているリシェリア王妃と、気まずそうにアセアセしている研究班の人たち。


 国王だろうと容赦ねえな、妖精様は……





「よ、よろしいでしょうか?」アセアセ


 研究班の方が話を戻そうと切り出した。


 会議室には、先ほど見ていた『黒い羅針盤』が運び込まれてきた。



「早速ですが、使い方をご説明します」


「まず小さな羅針盤の針が示す北に、方位盤の北を合わせます。その際は装置自体を回していただく必要があります」


「そして大事なところですが、『黒い針』が正確な方向を指し示すには、少し時間がかかります」


「五分ほど待てば、黒い針の揺れは徐々に収まり、やがて静止します」



「ですので記録する際は停泊していただく必要があります。移動したままでは黒い針の揺れが収まらず、正確な方角を測ることができません」



「なるほど、使い方はわかりました。」


 そしてリュミエルが続けた。


「そして、私たちに使い方を説明してくださったということは……この『黒い羅針盤』の操作は、私の役目ということですね」


「んで、おれのエイル号に乗せて各地を回るってことですね!」親指自分指しニカッ!


「いや、そこまでは……」



「ちゃうんかい!」ズコー!


 おれは思わず椅子ごと後ろへひっくり返って、両足を天井へ放り出した。


 まさか自分が『新婚〇〇いらっしゃい』の某司会者みたいなコケ方するとは思わなんだわ。




「もう……エイルったら。なにやっているのよ……」フフッ♪


 呆れながら微笑むリュミエルが、優しくおれを抱き起こしてくれた。どこぞの厄災女神とは違う、本物の女神さまがここにおる。



――…………ピクッ(耳ダンボ)



 なんか一瞬、クララベル様の気配がしたような気がするけど気のせいやろか……





「…………」


「しかしそうしていただけると助かるのは事実」


 しばらく考えていたアルヴェイン国王が話始めた。



「この調査はレイゼル、そしてドワーフの方々の国を回る長距離航海となります」




「エイル殿の船は、水の補給が自力でできると、リュミエルから聞き及んでおります」




 なるほど、普通の船やったら補給で絶対どこかに寄港せにゃならんもんな。船とちゃうけど。


 魚さえ釣れれば飢えることはない。それどころかプランターの野菜とジャガイモで凌ぐことすら可能や。


 てことは丸々コケ損やんけ。




 地獄へ突き返してくれたことは忘れてへんけど、口座作ってくれてて助かったのも事実。



「わかりました。その役目、おれが引き受けます!」親指自分指しビシッ!



 また勝手に引き受けてしもた……マリナとかにはあとで上手いこと説明せにゃならん。


 などと思っていたら……



「大丈夫。私も一緒に説明するから♪」ニコッ♪


 と、リュミエルが言ってくれた。


 毎度毎度……そんなにおれ、顔に出てるか!?





 出発までに色々準備をせにゃならん。


 まずは二畳分ほどの大きさの機材を置く場所の確保。置く場所とか使い勝手によっては改装をせにゃならん。


 まあ、エイル号の改装はC-Raft(ク ラフト)能力でパパっと出来るし、改装をあれこれ考えるのは楽しいからええけど。



 ラウリエルからの、各国に向けた親書とかも用意するらしい。





 エイル号は再び旅に出ることになった。


 今度の航海は長い旅になりそうやな。



 機材はデカいが、いざとなりゃ甲板に置いたらええかと気楽に考えていたが……


 思わぬ抵抗を受けることになるとは、この時おれは思いもしなかった。

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