黒い羅針盤
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
コツン……コツン……
それは偶然からだった。
瓶のなかの『黒い霧』。
黒い霧の熱に対する反応を調べるため、リリエラさんたちの研究班が、黒い霧の瓶をお湯を張った桶に浮かべていた時だった。
中央に浮かべた瓶は、決まった方向へと動いた。
桶を回してみる。場所を変えてみる。
はたまた常温の海水に浮かべたり、氷を入れた冷水に浮かべたり。
それでも黒い霧の入った瓶は、決まった方角へプカプカと揺れながらススッ……と動き、桶の縁へコツン……コツン……と当たっていた。
『もしかすると、黒い霧が目指す方向を示す羅針盤が作れるのでは?』
この発見が王都の研究班へ電信で伝えられ、『黒い霧の羅針盤』が作られるきっかけとなった。
おれたちは、出来上がった『黒い羅針盤』の試作品を研究室で見学していた。
黒い霧が入った瓶と、その反対側にはめ込まれた同じ重さの錘。
それらを天秤のように釣り合わせた、コンパスの針みたいな横棒。
研究班ではこれを『黒い針』と呼んでいるらしい。
その中央を支点に、針全体が水平にクルクルと回転する仕組みらしい。
さらにその下には東西南北が刻まれた大きな方位盤があり、ガラス製の上蓋には普通のコンパスも取り付けられている。
まずコンパスの針に合わせて方位盤の北を合わせ、あとは『黒い針』がどの方角で止まるのかを見るわけやな。
「『黒い羅針盤』……これのお陰で調査の精度が大幅に向上しそうだわね」
「でっか! 二畳ぐらいありそうやな……」
「にじょう……?」
リュミエルがピクッと反応した。
「いや……あっちの世界のサイズ概念や」
「エイル号の床板あるやん? この大きさ二枚分ぐらいで一畳や」
それから程なくして、おれたちは王宮の会議室へ呼び出された。
会議室ではアルヴェイン国王や研究班の人たちが待っていた。
「あ〜! ミュルだぁ〜♪」ふわふわ♪
「……ん」モグモグ、親指グッ!
ほー、この妖精さんがララの代わりに『森の管理者』の代行をやってくれてるんか。
リシェリア王妃さまとべったりやな……
「リシェちゃんと仲良しなんだねぇ〜♪」にこにこ♪
「……でもアルがいい顔しない」モグモグ
「ミュル様! それは……」
慌てたアルヴェイン国王が立ち上がる。
「アルはリシェのことになると器が小さくなる……」ヤレヤレ……
アルヴェイン国王は机の上でガクリと頭を抱えていた。
その様子を微笑みながら見ているリシェリア王妃と、気まずそうにアセアセしている研究班の人たち。
国王だろうと容赦ねえな、妖精様は……
「よ、よろしいでしょうか?」アセアセ
研究班の方が話を戻そうと切り出した。
会議室には、先ほど見ていた『黒い羅針盤』が運び込まれてきた。
「早速ですが、使い方をご説明します」
「まず小さな羅針盤の針が示す北に、方位盤の北を合わせます。その際は装置自体を回していただく必要があります」
「そして大事なところですが、『黒い針』が正確な方向を指し示すには、少し時間がかかります」
「五分ほど待てば、黒い針の揺れは徐々に収まり、やがて静止します」
「ですので記録する際は停泊していただく必要があります。移動したままでは黒い針の揺れが収まらず、正確な方角を測ることができません」
「なるほど、使い方はわかりました。」
そしてリュミエルが続けた。
「そして、私たちに使い方を説明してくださったということは……この『黒い羅針盤』の操作は、私の役目ということですね」
「んで、おれのエイル号に乗せて各地を回るってことですね!」親指自分指しニカッ!
「いや、そこまでは……」
「ちゃうんかい!」ズコー!
おれは思わず椅子ごと後ろへひっくり返って、両足を天井へ放り出した。
まさか自分が『新婚〇〇いらっしゃい』の某司会者みたいなコケ方するとは思わなんだわ。
「もう……エイルったら。なにやっているのよ……」フフッ♪
呆れながら微笑むリュミエルが、優しくおれを抱き起こしてくれた。どこぞの厄災女神とは違う、本物の女神さまがここにおる。
――…………ピクッ(耳ダンボ)
なんか一瞬、クララベル様の気配がしたような気がするけど気のせいやろか……
「…………」
「しかしそうしていただけると助かるのは事実」
しばらく考えていたアルヴェイン国王が話始めた。
「この調査はレイゼル、そしてドワーフの方々の国を回る長距離航海となります」
「エイル殿の船は、水の補給が自力でできると、リュミエルから聞き及んでおります」
なるほど、普通の船やったら補給で絶対どこかに寄港せにゃならんもんな。船とちゃうけど。
魚さえ釣れれば飢えることはない。それどころかプランターの野菜とジャガイモで凌ぐことすら可能や。
てことは丸々コケ損やんけ。
地獄へ突き返してくれたことは忘れてへんけど、口座作ってくれてて助かったのも事実。
「わかりました。その役目、おれが引き受けます!」親指自分指しビシッ!
また勝手に引き受けてしもた……マリナとかにはあとで上手いこと説明せにゃならん。
などと思っていたら……
「大丈夫。私も一緒に説明するから♪」ニコッ♪
と、リュミエルが言ってくれた。
毎度毎度……そんなにおれ、顔に出てるか!?
出発までに色々準備をせにゃならん。
まずは二畳分ほどの大きさの機材を置く場所の確保。置く場所とか使い勝手によっては改装をせにゃならん。
まあ、エイル号の改装はC-Raft能力でパパっと出来るし、改装をあれこれ考えるのは楽しいからええけど。
ラウリエルからの、各国に向けた親書とかも用意するらしい。
エイル号は再び旅に出ることになった。
今度の航海は長い旅になりそうやな。
機材はデカいが、いざとなりゃ甲板に置いたらええかと気楽に考えていたが……
思わぬ抵抗を受けることになるとは、この時おれは思いもしなかった。




