第三話 私の体験していない召喚は無いと思っていた
もやは説明の必要も無いな、私は異世界転移させられた。
ああ、召喚されたと言った方がいいか。
よくある王宮の謁見の間、ごちゃごちゃと高貴な方々。
あ~面倒くさい、また聖女聖女と騒いでいるな。
「この方のスキル鑑定を!」
そうそう、王様が言いそうな事第一位をありがとう。
ふむ、私の姿を確認したがうら若き女子高生の時の姿にちゃんとなっている。
創作物風に言うと、聖女召喚されると見た目や能力を初期状態に隠せるスキルさね。
「聖女召喚される……です!」
魔導士さんが驚いているわね、そう、私の一番最初の能力は聖女召喚されやすくなる。
効果は文字通りただそれだけ、特別な力は無いわ。
だから私は帰還する為に、一番最初の世界で精神と肉体を酷使した。
結果的に人間を辞めるまでに至ってその世界の魔王を倒した。
でもね、世界を救ったのに言われたのは。
帰還できない。
で、私はその時に力に目覚めた、異世界誘拐犯絶対復讐。
これは絶対に異世界誘拐犯に対して撲滅だろうが根絶だろうが出来る力。
はぁ……昔を思い出すとイライラしてくる。
「ではステータスは!?」
「今見ます!」
ああ、ステータス表示ね、ゲーム世界じゃないんだから何であるんだろうな。
はぁ、異世界転生や転移で稼げると思った神々の仕業だろうねぇ。
この世界がどんな神の管轄かは知らないけど……人の能力が完全に数値化出来たら怖いだろ。
資格とかは別としてさ。
あ、ちなみに表示されるステータスはぴちぴちの女子高生時代のもの、スライムでも殺されるか弱いステータス!
「超高度な隠蔽がされています、本来のステータスは絶対に見れない領域です」
「おお! まさに復讐の女神ルーサユーの神託の通り!」
「ん? ルー様の名前が出ただと?」
復讐の女神ルーサユー、私はルー様と呼んでいる。
一番最初の世界で帰還出来ないと絶望した時に、力を貸してくれた女神様。
神々の中では弱い部類らしいけど……本人談。
だが、私の帰還や復讐関係のスキルを私には与えた女神。
私には異世界誘拐犯をバッタバッタと消せばいい、と言ってくれた。
見返り……ってほどではないが、復讐系の創作物の納品……いや、献上があったな。
最初は色々と魔法で送ってたけど……面倒くさいからサブスクの支払いにしたんだよ。
って、今はその話は置いといて。
「ルー様の神託ってどういう事?」
「はい、全てしっかりと説明させていただきます、そしてステータスを覗くような事をしてしまって申し訳ございません」
あらま、一国の王が頭を下げた、謝っているのを無下にするのは良くないわね。
ちゃんと話を聞く、聞くだけなら誰でも出来るけど、理解もしないとね。
「全てお話する為に、この国の歴史から話さねばなりませぬ」
「えぇ……」
それは面倒く――
「無論、気に入らないならご帰還も出来ます」
「ほう?」
「術師長、魔法陣だけを見せてあげてください」
「御意」
ふむ、私の足元に魔法陣が現れた、これはいわゆる設計図で転送する力は無いね。
ほうほうほうほう?
「素晴らしい! まさか! 完璧な帰還魔法陣!」
私は見てわかる、これは召喚した者を元居た世界に返す魔法陣!
更に年齢や転移した時間と年代に戻るオマケ付き!
能力はどうなるかは分からないけども……
重要なのは完璧な帰還魔法陣という事!
「ルー様の神託を受けたという事は、私の事は知っているのかしら?」
「ある程度ですが」
「例えば?」
「異世界転生や転移を許さない」
「確かに」
「だが一番は帰還方法が無い事に対しての怒りです」
「それな」
帰らせるって本当に大切なのよ、帰りたくないならそれでいいんだけどさ。
「わかった、アンタ達を信じる」
そして私は本来の姿に戻った、その後会議室で王族の方々と貴族の方々と。
そこでの話は私を感心させるものだったわね。
歴史を語るんだからそりゃ長くなるわよね。
時系列順に比較的簡単にまとめてみましょう。
まずこの世界はラクファナ、んじゃ世界史を簡単に。
昔々悪い魔王が居ました、現地の人々から勇者が生まれ倒しました。
ちなみに善悪問わず、異世界人がこの世界に来るといわゆるチート能力がもたらされるらしい。
呼び出した奴が必ず善人とはすぎらんさね。
ここで重要なのは世界の仕組みがどうとか考えない事、リンゴが赤い理由を普通の人達が興味を持つかしら?
科学者とか知的好奇心が高いなら別だけど、普通なら美味しいとか調理法を調べるでしよう。
つまりは深く考えない、話が進まないから。
さてさて続きね、それから魔王が復活する度に召喚をしていたようだ。
で、今度は各国が召喚するようになった、まあ政治がらみってやつ。
政治部分も省略でいいだろ、重要な事では無いし。
まあここまでを一言で言えば、魔王を倒す為に各国が異世界召喚を始めたという事だ。
ここからはこの国の歴史に焦点を当てよう。
この国も国益やら政治で異世界召喚に手を出さざるおえなかったようさね。
何故なら消極的というか当たり前の思想があった。
異世界から人を呼び出して困ってるから助けてくれ、自分がそうなったらどうする? と。
いいねぇ! そういう常識が有る奴は良い! 常識というか当たり前の考えさね!
で、この国……ああ、名前はグレズドッカって国さね。
グレズドッカがまずやった事は……
異世界召喚する前にした事は、国内限定にはなるが異世界人に対しての法律や待遇を決めた事。
グレズドッカ! なんて出来た国なんさね! 聞けば他の国は召喚技術の研究を急いだようだ。
素晴らしい! グレズドッカ! 私は今まで見て来た世界の中で一番の国とも言っていい!
待遇改善は見て来たけども、完璧な帰還魔法は今まで見てこなかった!
では疑問になるのはどうやってその完璧な魔法陣を作ったか。
召喚した異世界人に、帰還を望んだ者達が居たからだ。
まあ、ここまではキレイ話に聞こえるが、実際には色々といざこざもあったようさね。
色々とまとめて来たけれど……つまり、グレズドッカを一言で言えば……
異世界人と共に召喚された者が帰還出来るように、また不自由ないように仕組みを考えて来た国!
「す、素晴らしい! グレズドッカ! ああ! これ以上の国はお目にかかれないかもしれない!」
「ど、どうなされましたセイント殿」
「あ、し、失礼、コホン、貴方方の国が異世界人にとってとても良いモノなので感動いたしまして、何度も言いますが帰還魔法が完璧! 代々の王や貴族の方々、いえ! この国に生きる者達の結晶なのですね!」
感激がとまらないですわ! ぐへへへへ! 良き国!
「セ、セイント殿、お、落ち着いてくださいませ」
「し、失礼、王様……あ、すみません、気高い王の名を聞いてはおりませんでした」
「こちらこそ自己紹介もせず……長々と世界とこの国の歴史について語り申し訳ございません」
「いえいえ! 素晴らしい国ですわ! 新ためて私はセイント・メッスルン、一応は聖女ですわ」
「私はグレズドッカ国の四十代目の王、スレッガ・キーン・グレズドッカです」
「よろしくお願いいたします、スレッガ様……して」
そろそろ本題を聞きますか。
「ルー様の神託で何故私を召喚したか……お聞かせください」
私は神託があったから呼んだとしか聞いてない、何故ならこの国の歴史や考えを知らずに手を貸せないからだ。
「一言で申し上げます……気分の悪い話なので」
「わかった、この国の話は私にしたら気持ち良い話だったからね……つまりこれから話すのは胸くそ悪い話だと」
「はい」
「聞かせて」
「異世界人を様々な奴隷にする為に召喚する国があります」
「ほう」
まあ召喚技術と共に繫栄した世界ならば……ありうるな、潰すか。
「ちなみに現状の各国の異世界人の扱いは?」
「国によって様々ですが、帰還したい者は我が国が帰還させています」
「ほう、まあ詳しく置いといて、問題の国はそれすらしないと」
「はい、自分達の手駒にする為に召喚をしています」
「なるほど」
なら私がするのはたった一つ。
「その国の場所を教えてください、今から地図から消します」




