魔法を使うかどうするか
「とはいうものの」
食事を終えシャワーを浴び終えたルタは、タオルで髪を吹きとる。
「スウさんに迷惑かけてるよね……」
ルタはスウとの雑談を思い出す。
「覚えることがたくさんあって、ちょっと大変ですね」
「最初のうちはね。私もそうだったし」
「どうやって覚えたんです?」
「失敗して覚えるのもひとつの手よ」
「失敗って……」
「責任は私がとるから。やれること増やすのを優先してね」
スウの言葉で、ルタは今の自分の能力を悟る。
(もっとできるって思っていたのにな)
ルタは少し弱気になる。
(早く追いつこう。誰だって最初は初心者なんだし)
自分を奮い立たせようとするルタは、下を向きかけた視線を戻す。
下を見たときにルタの目に本が映った。
枕元に置いてある魔法の本。
「そっか。魔法を使えば」
ルタは魔法の本を手に取る。
「自分を磨くチャンスですよ」
ネブに言われたことがルタの記憶に蘇る。
「ルタさんはここに残っても良いし、新しい道を探しても良いよ」
アイルに言われたことも、ルタの脳裏をかすめる。
「今まで学んだことを応用しても良いからね」
この二つをスウに言われたこととつなげてみる。
「自分を磨いても良いし、魔法を使っても良い、か」
ルタは本を見る。魔法の本を、じっと。
時間だけが過ぎていく。
どれくらい時間が過ぎただろうか。ルタは顔を上げ、本を机の上に置く。
「今は自分を磨いてみよう。魔法に頼るのはいつでもできるから」
ルタは心に決めると、ベッドで横たわる。
「信じよう。スウさんとネブさんを」
瞳を閉じる前に、ルタは自分を説得しているのか、言葉を紡いだ。
それからというもの、ルタは失敗を繰り返す度に、本を見ては葛藤する。
魔法を使うかどうかを考えるのが、毎日の日課になっていた。
「いっそこうしちゃおう」
ルタは本を荷物の中に片づける。
「いまはできることを増やすんだ」
本を片付けた翌日の朝、ルタはいつもの時間に目を覚ます。
着替えを終え、ルタは扉を開け、食堂に向かう。
階下の食堂からはにぎやかな声が聞こえてくる。
外からも朝食を食べに来ている人も多いのだろう。
何を食べようかを考えながら、いろんな人が食堂を訪れている、




