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第二章 お姫様とのお茶会 2話

数日後、王族御用達の別荘に呼ばれた私達はいつもとは違う格好に戸惑っていた。

足元が見えないほどの長いローブに、豪奢なブローチや鎖等の飾りは重くて、銀色のティアラに薄暗い色の透き通ったベールは、まるでウェディングベールのように見える。

これは魔導師協会が公式な行事に着る制服で、マナリスの貴族や王族の前で着るドレスや礼服は持っているわけがなく、今回はこれで行くしかなかったからだ。

さすがにミズハは今回お留守番にした。良い子ではあるが、何を言い出すか解らない部分が怖かった。

あと、子供用の制服がなかったというのもある。

ザイアスとロッズも同行するが、私達よりは軽装だった。

まぁ、メインは私達だから、仕方がないのか。

「カズト、似合ってるね。」

男性用はベールではなく、魔女のような帽子で飾りは羽飾り位に収まっている。

カズトは帽子を触りながら、照れくさそうに笑った。

「アカネもな。」

「お二人とも、似合いますね。日本人には合わないかと思いましたが、これは合いますねぇ。」

ザイアスも賛同してくれたのもあって、私も照れてきた。

「これならいっそ、着物で来てもよかったかな?」

カズトがローブの袖を見ながら呟いた。ローブにどうにも慣れないらしく、お茶会参加を決めた時からずっといっていた愚痴がここでも出てきた。

「私が着付けできない。」

「本持ってきたろ?」

「だからって、すぐはできないよ。日本人なら当たり前みたいな言い方やめてよ。」

残念ながら私はまだ着付け出来ないため、今回はローブで勘弁してもらった。

不満げなカズトだったが、ちゃんと今後の為に勉強します、とお約束したので我慢してもらった。

「毎回見ていますが、お二人とも、本当に仲良しですねぇ。」

見た目は私達並に若いが、200歳を超えるザイアスが染み入るようにしゃべる。

「皆さん、もう少し落ち着いてもらえますかな?」

ロッズがそんな私達をたしなめる。確かに落ち着かなきゃいけないが、さすがに黙るのは無理だった。

「今だけは勘弁してほしいんだけど。」

現在、馬車で移動中。狭い馬車の中、4人で会話している状態だった。

「まぁ、お気持ちは解りますが、何とか頑張って下さい。」

ロッズが心配そうに私達を見ている。作法に関しては、だいたい把握できたので、大丈夫だと思うけど。

「喋るのだけ怖いんだけどね。」

敬語は問題ないのだが、異世界の内容をなるべく答えなくちゃいけないのが大変なのだ。

「ぶっちゃけ、知らないことは知らないで良いよね?」

「本当に知らないならそれでいいですが、なるべく答えてもらいたいですが。」

ロッズはため息をしながら、私の問いに答えてくれた。

「大丈夫ですよ、そこまで難題な質問はないでしょう。」

「信じますからね。」

念押ししたところで、馬車は目的地に着いたのか停まった。

ザイアスはきりっと表情を引き締めたところを見て、また再び緊張感が高まってくる。

いよいよ、オフェリア姫様とのお茶会だ。



「本日はお招き頂きありがとうございます。」

ザイアスが笑顔で挨拶をする。基本的にはザイアスかロッズが儀礼的なものはやってくれる話になっている。

馬車から降り、私達は横に並び、深々と頭を下げる。

玄関に現れたのは、執事の老齢の男性。だが、纏うオーラは見ただけでわかるほど、高貴な空気だ。

「書簡にも記した通り、オフェリア様個人としてお呼びしたまで。畏まらずに願います。」

口ではそう言うものの、明らかに礼儀を欠けた行動はするな、と言われているようなものだった。

私達は執事の案内で、豪華な造りの屋敷内を歩く。廊下に飾られている絵画や彫刻は、芸術的すぎて私には理解できなかった。

「-------?」

ただ、一枚だけ。妙に気になる絵を見つけた。

それは鮮やかな夕日に橋が描かれた絵なのだが、橋のところに何が描かれているが、小さすぎて解らない。

一瞬だけ見たので、理解する前に通りすぎてしまった。

何故か、異様なまでに気になってしまった。

私の動揺に気づいたのか、カズトが顔をうかがってる様子だったので、目を会わせて首を横に降った。

その目配せが終わった直後、ひとつの扉の前にたどり着いた。

「ここからは、異世界人のお二人のみでお願いいたします。」

「!!」

ザイアスとロッズが共に驚いた。同行する予定だったのだが、まさか止められると思わなかった為だ。

「彼らはまだマナリスの礼儀も慣れておりません。オフェリア様に失礼があっては、我々も困ります。」

「先程も申し上げましたが、礼儀は不要と。」

だめ押しが入り、ザイアス達は大人しく引き下がる。目線が私達に向けられ、まるで祈るようなものだった。

まぁ、こうなればなるようになるさっ!と気分を切り替える。

「では、お二方。どうぞ。」

扉は開かれ、私達は真っ直ぐ前を向き、ほぼ同時に歩き出した。

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