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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
アルメニアへ
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イラマテクトリ

「三十八度……カロル草の花粉に負けたみたいやね」


今日は安静にしなあかんよ、と医務室のレナ先生。


「まあ、三日は静かだな」


窓際に座る黒猫のアズール。


喋る事が出来るようになったことで、ククルが倒れたことを知らせることができた。


「本当は、子供の頃に一度かかると免疫ができるのですが」


ワタシが付き添いますので休んでください、とコアトリクエ。


「コアトリクエ校長、体調の方は……」


気遣うレナに


「この子の面倒は、ワタシがみたいのです」


コアトリクエが答える。


「分かった。でも、無理はあかんよ」


そう言って、レナは踵を返す。


「ありがとう」


(目を媒介にってことは、ククルとウィツィはコアトリクエ校長先生の子供みたいなものか)


かなり複雑だが、とアズールは思う。


そして、日傘の少女をぼんやりと思い出す。


「コアトリクエ校長先生、もしかして娘さんもいますか?」


動揺したコアトリクエが、椅子から立ち上がる。


「……アズール殿下、イラマテクトリと話を?」


「いや、話っていうか拒まれたというか………」


ククルの血を含んだ時に映像として見たと、アズールは説明。


だが、あの映像では彼女はーー


「……あの子は、ワタシが不注意で殺したようなものです」


だからこそ似ているククルを放ってはおけない、とコアトリクエは言った。



✳︎✳︎✳︎




ミクトラン・闇の神殿


「レイクホルトのラケルタ、仕留められた。守護竜使えないってのに化け物かよ、あのジジイ」


ウィツィの報告に


「まあ、アレスの回収が優先でしたからね」


ステラの姿で答えたヨアルリ。


「プルウィアは?」


「しばらくは、湖の底でしょう。アレスがこちらにある以上、ウェルテクス同様に下手には動けない」


「その姿だと、全く威厳がない」


ため息をついて、眼鏡のブリッジを押し上げたウィツィ。


「娘が見たら、泣くよ」


「……」


刃物のように鋭い光を宿した視線が、ウィツィに向けられる。



「別に、ヨアルリのやり方を否定するつもりはないよ。でも、やっぱり元は人間だ」


「その話は、やめましょう。気分では、ありません」


ヨアルリは、いつもの穏やかな口調。


「へーい」


ウィツィは、気だるげに言った。


玉座には、神獣の王ーーテスカポリトカが眠っている。

一度目覚めたものの体が馴染まず、消耗している。


「やっぱり、儀式は間に合わない?」


「やはり、黒の楽譜を破壊するのが優先になるかと」


「面倒だなぁ」


ウィツィは、ため息をつく。


ヨアルリは肩を竦めると


「今回は、大物が動くかもしれませんね」
















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