ルブルム伯爵邸
オアシスの北に位置するルブルム伯爵家の屋敷。
エーテルの力で回る七枚の羽、それが涼しい風を屋敷に行き渡らせている。
「お帰りなさいませ、セト様」
左右に並んだメイドたち列の中央を
「うむ」
堂々と通り、ククルとセノーテは客室へ案内される。
グラスに注がれた水をを一気に飲み干し
「ふぱー、生き返る」
元気を取り戻すククル。
「砂漠は、気温差が激しいと聞いていますわ」
セノーテの言葉に
「ああ、凍死なんてこともある」
あとはルプスとか毒を持つ神獣に襲われることだってある、とセト。
「砂漠って、怖いところだな」
眉を寄せたククルに
「住めばどこでも都だぜ。竜が居ればパラダイス!!」
テンションを上げて、セトが言った。
「さすが、同志!!」
「おう!!」
拳を合わせるククルとセトを見て
(この流れ、なんだかイラっとしますわね)
セノーテは呆れ顔。
客室ドアが開き
「お前が、私に用とは珍しい」
両手に美女を侍らせたルブルム伯爵。
「あ、ムキムキの痩せ型版」
「ぶふっ」
ククルの言い方が的確過ぎて、セノーテは吹き出しそうになる。
「し、失礼しましたわ。ご無沙汰しております、ルブルム伯爵」
「おお、セノーテ殿下。お久しぶりです」
あと、二、三年もすれば奥方似の美女になりますな、と愛想を振る舞う。
両手に侍らした美女の尻と胸に手を回している父を横目に
「……イグニス砂漠で、何か遺跡のような場所を知りませんか?」
溜息をつきながら、セトが聞いた。