ゲゼル神殿
「そうだな……」
ルブルム伯爵は、自慢の顎髭を撫でながら
「ゲゼル神殿だろうか。うちの屋敷にに出入りしている商人が、砂に埋れた神殿を見たと言っていた」
気がついた時には、夢だと思っていた商人。
しかし、その手にはオベリスクの破片ーーゲゼルと刻まれていた。
「いかにも、二重楽器がありそうだろ」
「その神殿はイグニス砂漠のどの辺りです?」
セトが言うと
「それが、商人の記憶は曖昧で……まあ、砂嵐の中で大人しくしてみたらどうだ」
「ねーえ、今日はバック買ってくれる約束でしょう」
右側の美女に囁かれ
「ズルイ、わたしも」
左の美女からは、頬を撫でられる。
「買う買う。おじさん、買っちゃう」
ルブルム伯爵は鼻の下を伸ばすと
「私は、子猫ちゃんたちと予定がある」
操作なら許可を出すから勝手にしろ、と部屋を出て行く。
「か、感じ悪っ……あんなんで、仕事出来てるのか!?」
顔を顰めるククルに
「ククル、失礼ですわ」
セノーテが嗜める。
「……姫さん、気遣いはいらねっての。あの人、昔からああなんだ」
息子の俺が一番呆れてる、とセト。
「砂嵐の中で大人しくしろ、って手がかりか?」
ククルに聞かれ
「砂嵐の発生するポイントなら、だいたい検討はつく。そこを重点的に探索しようぜ」
だが、今日はもう遅い。
本格的な調査は明日にしよう、とルブルム伯爵邸で一泊することになった。




