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ドラゴン・ドクター  作者: 西谷東
王立アカデミー編
30/74

作られた竜神

竜都シャングリラ・竜王の間


「南のエリム海付近で、黒い竜は突然消えたと情報があります


グランの報告に


「おそらく、ゲートの作用であろう」


ミクトランはゲートとによって隔てられ、この世界とは別の場所に存在するとフナブ・クーは告げる。


「テスカポリトカは、アズールをどうするつもりなのですか」


何かとっても嫌な感じがします、と左胸を抑えるセノーテ。



「新たな体にするつもりだろう」


テスカポリトカは、体を破壊されるごとに生きながらえて来た。


「全ての二重楽器(デュオ・アンストリュマン)を揃え、黒の楽譜を弾くことができれば……」


アズールからテスカポリトカを分離できる可能性はある。


「父上、テスカポリトカはどうしてそこまで生に執着するのですか?」


グランの問いに


「……それは、テスカポリトカが作られた竜ゆえにだろう」


一つ前の世界の話をしよう、フナブ・クーは語る。


かつて、トゥーラと呼ばれるケツァルコアトル族と人間の都があった。


音で竜の力を借りるケツァルコアトル族に嫉妬した人間は、神を人工的に作り出す研究を繰り返していた。

その結果、誕生したのがテスカポリトカ。


「あれは、自分の世界が欲しかったのだ」


しかし、やり方が強引すぎた。



「我々、竜族はそれを許す訳にはいかなかった」



それゆえ、トゥーラが栄えた世界を終わらせた。

黒の楽譜は、テスカポリトカの力を恐れた古のケツァルコアトル族が残したもの。



「世界を終わらせるなんて……まるで、御伽噺のようですわ」


気の遠くなるような話ですわ、とセノーテ。


テスカポリトカは体を変え、新たなトゥーラを創造するために生き続けている。


フナブ・クーは深い溜息をつくと


「あれから、我もだいぶ年老いた」











✳︎✳︎✳︎



クロスフォード邸・客室


「お兄ちゃん、何か食べたいものはない?」

ステラお姉ちゃんに頼まれてきたの、とミルカが言った。




「……おはようございます。テスカポリトカに関する情報の閲覧を希望しますか」



「システムの強制停止を要請」



これは破損してますね、と落ち着いた男の声。



「……システムを強制終了しています。おやすみなさい」


電源の落とされた機械のように、ククルはベッドに倒れた。




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