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竜装
「ガルルルルル……」
「く、来るな」
レイスを取り囲む、カニスの群れ。
剣を振り回して威嚇するが、カニスは徐々に間合を詰めてくる。
「ギャン」
横から飛んで来た石が、中央のカニスの頭部を直撃。
「こっちだ」
踵を返して走り出したアズール。
「グルルル……」
「ガルルル」
十頭のカニスが、その後を追いかける。
「あいつ、なんで……」
足の力が抜け、レイスはその場に座り込む。
✳︎✳︎✳︎
(神獣の王テスカポリトカが不在で、統率が乱れてるって聞いてたが)
カニスは仲間意識が強い。
リーダー格の注意を引けば、釣られて残りも後を追う。
(上手くいったみたいだ。後は……)
アズールは左胸を抑え
「本当、俺らしくもない」
だが、今なら出来るかもしれない。
「小僧、こっちでいいのか？」
「うん、近い」
ククルを背負い、ロスはアズールの後を追う。
その途中、一部が凍結した木々と地面。
そして、氷の槍に貫かれ絶滅しているカニスの群れ。
「これは……」
呆然としているロスに
「ムキムキ教官、上だ」
背中のククルに言われ、ロスは上空を見上げる。
そこには、二枚の翼を持つ青い竜が飛んでいた。
