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①清掃員とシステム【スキルライフ】

どうも清アランです。

中国ショートドラマのシステムを自分なりにアレンジした作品になります。

カクヨムでも連載中であちらの方が進んでます。

 俺の名前は真壁真まかべしん

 一般的に「一流」と呼ばれる大学を卒業したが、就職活動中に複雑骨折をして入院。退院後は生活費を稼ぐことを優先していたため、希望先には就職できず、現在は大型商業施設の清掃員をしている。

 高学歴の俺からすれば最初は「底辺の仕事」だと思っていたが、報酬は悪くない。土日は休めないが、週休2日は確保されている。

 今は全施設のトイレ清掃を担当している。

 お客様用を含めて50箇所ほどあるので、出勤日は1日がかりの仕事だ。基本は開店前に清掃するが、粗相があった場合は営業時間内でも出動する。

「あれ? 真壁じゃん」

 トイレ清掃が終わり、立ち入り禁止の看板を外しようとした時、声をかけられた。顔を見ると見覚えはあるが、すぐには思い出せない。

「???」

「覚えてないのか? 高校でクラス一緒だった田中だよ! 優等生のお前からしたら、覚えちゃいないってか!?」

 言われて思い出した。田中和史たなかかずし

 高校時代、ヤンチャなグループの一員で、俺との接点はほぼ無かった男だ。それなのに、なぜか俺に対して敵愾心を剥き出しにしている。

「誰、コイツ?」

 田中の隣には、「ギャル」という言葉が似合う派手な容姿の女性がいた。

「高校の時の『優等生様』だよ」

「えー、優等生なのに、う◯こ掃除? ウケる〜!」

「マジでそれな」

 学歴があるのにトイレ掃除をしているのが、そんなにおかしいのだろうか。誰かがやるべき仕事をしているだけなのだが、彼らには理解できないらしい。

「今は清掃員でも、研修や資格次第でいくらでも道はあるのに……」

 そんな俺の考えをよそに、田中は聞いてもいない自慢を始めた。卒業と同時に大手ゼネコンに就職したこと、高卒の中では出世が早いこと。

「頑張ったんだね」と返せば、「トイレ清掃員のくせに上から目線か!」とキレる。一体、なんて言うのが正解なんだ?

 何を言っても不快な方向に取られるので黙っていると、田中は鼻で笑った。

「もういいや、負け犬の相手は。飯行こうぜ」

「そうだね、う◯こ臭くなるもんね♫ リカ、大泥棒のパスタ食べた〜い」

 流石にカチンときた。その瞬間だった。

『強い感情を感知……システムを起動しました』

 突然、頭の中に声が響く。

 はあ? システム!? 中国のショートドラマにあるアレか? 実在していたのか?

『システムを使用しますか? YES / NO』

 思わず、脳内でYESを選択する。

『使用が選択されたため、スマートフォンにアプリケーションをダウンロードします……完了。アプリケーションを使用してください』

 言われるままにスマホを取り出し、アプリを起動させる。

 画面に【SKILL LIFEスキルライフ】というタイトルが表示された。

『このシステムは、スキルを活用しクエストを攻略することで、報酬やアイテムを獲得できます。スキルガチャを回しますか? YES / NO』

 YESを押すと、演出もなくガチャが回り、【変身】というスキルを獲得した。

『おめでとうございます。【変身】を獲得しました。明確なイメージを持つことで別の姿になれます。使用回数:1日10回(0時に回復)』

『スキルを得たため、クエストが出現しました。挑戦しますか? YES / NO』

 疑問は尽きないが、ここもYESを選択。

【クエスト:カップルを喧嘩させろ!】

報酬:5,000円(PayPay払い)※内容により追加報酬あり

 これ、絶対リアルタイムで俺を見てるだろ。田中に仕返ししろってことだよな。

 俺は迷わずクエストを受けた。

 数分後:【洋麺屋大泥棒】の行列にて

 田中は上機嫌で列に並んでいた。

「和史、楽しそう〜」

「真壁より幸せだって実感できて、気分がいいんだよ。あいつ、俺のこと覚えてないほど見下してたからな。ざまあみろってんだ」

 田中が優越感に浸っていると、前方から一人の美女が歩いてきた。一目で目を引くその女性は、田中の前で足を止め、じっと彼を見つめる。

「……和史くん」

 女性が悲しげに名前を呼び、顔を覆って走り去っていった。

「はあ? ……今の、誰?」

 隣にいたリカの声が、低く冷たく響く。

「し、知らない! マジで分からない! 他の『和史』だろ!?」

「……お客様の中に、『和史さん』はいらっしゃいますか?」

 リカが声を上げると、5歳くらいの子供が「はーい!」と手を挙げた。リカは少年に笑顔を見せた後、般若のような顔で田中を振り返る。

「……絶対、さっきのはあの子じゃないよね?」

「俺にはリカがいるし! 他の女なんて興味ないんだ!」

 必死に弁解する田中。しかし、リカの怒りは収まらない。

「……今日はもう帰るね」

 リカは列を離れ、駅へと歩き出した。田中が追おうとするが、「来ないで」と一蹴されてしまった。

 クエストを受けた俺は、即座に作戦を実行していた。

 【変身】のイメージに選んだのは、受付嬢の**飯村愛いいむらめぐみ**先輩だ。彼女は清掃員の俺にも分け隔てなく挨拶をくれる、心の綺麗な人だ。

 本人に迷惑はかけられないので、田中の好みに合わせて髪色を明るい茶髪にアレンジして変身。あとは名前を呼んで立ち去るだけの簡単な仕事だ。

 トイレの鏡の前で変身を解くと、スマホから「ペイペイ♪」と小気味よい音が響いた。

【クエスト攻略おめでとうございます! 報酬5,000円を送金しました】

【追加ボーナス:省エネ行動により『気配操作』を贈呈】

 本当に送金されている……。システムは本物だ。

 その後、清掃業務に戻りながらスキルの検証を行った。

 わかったことは、「決定」と思わない限り細かい容姿の微調整ができること、そして継続時間は約30分ということだ。

 自分をベースにした女性姿(いわゆる女体化)で清掃を試したが、気付かれずに業務をこなせた。さらに、新スキルの【気配操作】を使えば、気配を探知したり、逆に威圧感を出したりすることも可能らしい。

「真壁くん、なんか痩せた?」

「最近測っていないので、わからないですよ」

 顔見知りの加藤さんに声をかけられたが、地声で対応してしまったのは反省点だ。声のイメージも固定しなければ。

 そんなこんなで定時を迎え、従業員用出口を出た瞬間。

【緊急クエスト:彼女の好感度を上げろ!】

報酬:5,000円〜 / 内容により変動 YES / NO

 不穏な空気を感じてYESを押す。

 耳を澄ますと、近くで揉める声がした。急いで駆けつけると、そこには飯村先輩に詰め寄る、逆恨みで理性を失った田中の姿があった。

お読みいただきありがとうございます。

少しでも多くの人に読んでもらって感想やご意見をもらいたいので、評価やブックマークお願いします。

モチベーションに繋がりますのでヨロシクです。

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