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神のいない世界  作者: ウニ
裏 表
40/64

対話

 








 次の日、起きて直ぐに時間を確認すると昼近くになっていた。

 荒崎は昨日宣言した通り既に家から出ているようで、家の中はやけに静かだった。

 悠は布団の中でしばらくゴロゴロとしていたが、q2がプラグを使い悠をつつき始め、ようやく起き上がった。

 頭をガシガシとかきながら部屋を出て洗面所に向かい、軽く身支度を整えるとキッチンに入り水を1杯汲んで飲む。

 その場でぼうっとしていたが、神樹のところに行くという用事を思い出し、寝起きで重たい足を動かし自室に戻ると服を着替え、昨日集めたパーツを背負い家を出た。

 家を出ると、日差しの容赦の無い攻撃によって目がチカチカとしたが、気を取り直し神樹の工房まで歩を進めた。

 今日はやることも無いため、神樹に霊力を整えてもらおうと決める。

 暑い日差しの中しばらく歩くと、ようやく工房にたどり着いた。

 早く日陰に入り暑さから逃れようと、工房のドアを開き中に身を滑り込ませる。工房の中は相変わらず薄暗く、ひんやりとした空気が流れていた。

 悠は迷うことなく作業台でなにやら怪しげな機械を弄り回している神樹に近づくと、台の上にカバンを下ろした。

「久しぶりの収穫じゃん。荒崎くんはいないの?」

「用事があるんだと」

「ふぅーん…。まあ、いいや、とりあえず査定するから待ってろよ」

「分かった。あ、あとメンテナンス頼めるか」

「おお、任せろ!q2の方は改造してもっとすごいことできるようにしてやろうか?」

『拒否する』

 神樹はつれないな、と言いながら悠が持ってきたカバンの中身を物色しはじめた。

 30分ほどで神樹の動きが止まり、からのカバンを手渡され今回の報酬が提示される。

「今回は全部で7ってとこだな」

「十分だ」

「交渉成立、だな。じゃ、あんたはいつもの部屋に行って横になっててくれ」

 神樹が奥の部屋にいくのを見届けると、悠はいつもメンテナンスをしてもらう部屋の扉を開き、中にあるベッドに横たわり、神樹を待った。



 *



 太陽が落ちるより少し前の時間に、悠は工房の外にいた。

 メンテナンスは上手く終わったようで、体の怠さが消えている。

 軽くなったカバンにq2をいれながら歩いていると、携帯がメールの着信を告げる。

 携帯のロックを解除し、メールの送り主を確認すると、斑目の名前が現れる。

 メールには店の名前と日時のみ書かれていて、悠はそれを確認するとカレンダーを開き書かれていた場所と時間を記入し、メールを消した。

 特にやることも無いため、家に直帰するのもいいが食料が減ってきていたことを思い出しスーパーに寄ることにした。

 家の近くのスーパーで乾麺やインスタント食品に加え、少しの野菜を購入すると家に帰った。

 荒崎はまだ戻っていないようで、悠は買ってきたものを棚に押し込むと自室に戻り、あと少し残っている課題に手をつけた。



 *



 しばらく机に向かっていると、玄関が開く音が聞こえた。

 悠はキリよく終わった課題をファイルに入れるとリビングへと向かった。

 リビングにはクタクタになっている荒崎がソファーに倒れ込んでいた。

 その荒崎の上にはj9が乗っており、背中をつついて遊んでいるように見える。

 悠はなんとも言えない顔をすると荒崎の頭をポプポプと叩く。

「ここで寝るな、起きろ」

『そうだぜ。早く起きないと背中が穴だらけになるぞ、マスター』

「…それはやめてやれ」

 荒崎は揺すっても叩いても起きなかったため、悠は放置することにした。

 狩りに出るまではまだ余裕がある。最悪今夜は荒崎抜きでもいいかと考えながらキッチンに向かい、先程買ってきた野菜を取り出すと、ちょうどいい大きさに切る。

 それを種類ごとに小さな袋に小分けにして冷凍庫に詰め込めば保存完了。

 袋に入りきらず余ったものは今夜の食事にしようと、フライパンに油を敷き野菜をぶち込む。

 塩コショウで適当に味をつければ野菜炒めの完成だ。

 それをボウルにいれ冷めるまで待ってから、ラップをし冷蔵室にいれた。

 今夜のカップ麺のお供が完成したところで自室に戻りq2を呼ぶ。

 昼間空にしたカバンを背負うと、j9に狩りに行くことを伝えてから、まだ眠っている荒崎を置いて外に出た。



 *



 昨日訪れた場所とは逆方向に向かい、指揮体の情報を集めつつ機械魔獣を狩っていると、夜道に人影が見える。

 この時間に出歩くのは調律師だけだ。

 そのため、悠は人影にバレないうちに小陰に身を潜め相手の様子を確認する。

 人影は悠のいる方に向かい歩いてきた。

 悠は息を潜め人影の容姿を見ておこうと、そっと影から覗くと、人影は悠と同じぐらいの年の女だということが分かった。

 先日の荒崎の後輩によるストーカー事件を踏まえ、自身の姿を見せないようその場から移動しようとしたその時、機械魔獣の気配が現れる。

 機械魔獣は女の背後にいるようで、悠はそのまま身を隠しながら女の出方を伺った。

 調律師ならば自身の包魂機で撃退できるだろうし、勝手に人の縄張りで狩りをしたという名分で追い出すこともできる。

  その時、q2が声を上げた。

『──まて、あれは調律師ではない。一般人だ』

「は…、マジで?」

 その時、機械魔獣が女に飛びかかる。

 女はようやく機械魔獣の存在に気づいたらしく、慌てながら逃げようとするがたたらを踏みその場に尻もちをついた。

 悠は舌打ちをすると、今にもその爪を女に突き立てようとする機械魔獣に向かいq2が即席で創った大振りのナイフを投擲した。

 ナイフは狙い通り機械魔獣の眉間に突き刺さると、機械魔獣は身体を震わせながら活動を停止した。

 悠は女の無事を確認するために駆け寄ると、女の顔を見て驚いた声を上げた。

「お前…!」

「…え、神無、くん……?」

 そこにいた女は、悠のクラスメイト──藍原 咲希(あいはら さき)だった。

 

 





 

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