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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第六章 超級と勇者
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98話:勇者脱出

「まぁ、破壊するけどな」


 ジンは話の流れをガン無視して、別の話に入る。


「話聞いてたの? 迷宮の核を壊せば迷宮は消滅するけど、封印されてた存在ってやつをどうにかしないといけないんでしょ」

「おう」

「存在への対処は後にしても、具体的にはどう破壊するの?」

「破壊というより、迷宮の封印なんだがそれも説明するよ」


 ジンは封印の説明に入る。


「端的に言うと核を壊しても迷宮の場所が変わるだけで迷宮が無くなるわけじゃない」

「じゃあ、誰かが犠牲になるのは変わんないんじゃない?」

「核を封印して機能を停止させれば、迷宮が移動する事もないし魔物が出現することも無い」

「けれど、そうすると核の封印としての機能が無くなる訳ですから、封印物が解き放たれますね。超級迷宮にしてしまうほどの何か、例えば相当位の高い悪魔とか」

「その話はその話だ全会みたいに無害な奴が出てくるかもしれないし、出た時に考えうしかないだろうな」


 ジンの話にアスタルテが補足して話していると、ようやく最奥にまで付いた。


「ここが、迷宮の出口」

「宝箱がありますね」

「これ以上ない、宝箱ですね」


 奥にはゲームで見るような宝箱があった。


「そういや道中、見てなかったけれど宝箱ってどうしたんです?」

「ヌルが探したけど道中には無かったな。それよりそれを開けようぜ」


 ジンが菜花に宝箱を開けさせると、クラッカーを鳴らしたような音と演出と共に報酬が姿を見せる。宝箱の解放と同時に光の玉が出現し、全員の中に入っていく。


「「うっ」」

「んっ」

「おっ」

「あっ」


 体内に入ったとはいえ、体に異常が現れることは無かった。


「なに、これ?」

「スキルだな。おめでてとう、固有スキルが一個増えたね」

「固有スキル、そう言えばそんなのがあったような」

「魔剣召喚と聖剣召喚が君の固有スキルだろう。それに二つ持ってるのは結構珍しいんだ」

「へー」

「それに、血統にも左右されて、固有スキル持ち同士を掛け合わせると固有スキルを持った子供が生まれやすい。固有スキルは才能みたいなものだから生まれながらのモノが一番多いかな。こうして後天的に手に入るのは稀で、確実に手に入れたいなら迷宮に挑むんじゃなくて進化するのが一番」

「進化?」

「そう言うのは後でお姫様とかに聞きな。ここで話すと時間もかかる。試すのもやめときな、暴発したら死ぬぜ」

「っ……!」


 菜花達から息をのむ音が聞こえる。今回手に入れたスキルは【強欲】。効果までは分からないが後々試してみることを決める。


「他にも報酬があるみたいですよ」

「これらはスミアさんに渡すけど、良い?」

「うん。別に良いけど、どうやって帰るの?」

「あの魔方陣の上に乗れば帰れるよ」

「お、おお、あれが。初めて見た」

「そうだろうよ」


 報酬を小さい巾着に全て回収すると、全員で魔方陣の上に乗る。


「それじゃあ、帰ろうか」

「「「はーい」」」


 ジンがそう言うと魔方陣が光り輝く。ジンは刀身が黒い刀を抜いてそれに魔力を籠めると、黒い泥が沸き上がる。ジンはそれを凝縮し、転移の瞬間の一瞬でそれを解き放ち、次元の狭間に隠れていた迷宮の核をその泥が吸収し異次元へと格納する。

 この日、超級迷宮の一つが昨日を停止して、消滅した。


*  *  *


 外にいた奴等にはひと目で異常が分かった。立派に立っていた遺跡型の迷宮と歪みがテレビの電波障害のようにブレたかと思うとボロボロと崩れ始める。


「おい、迷宮が崩れるぞ!」

「何だと!?」


 驚きの感情が人間側に伝わる。その驚きと共に迷宮の完全な崩壊が始まる。


「迷宮への対応は後だ! 目の前の魔物を殲滅しろ!」


 超級冒険者――、リョウの一声で全員が目的を切り替える。迷宮の謎崩壊から、魔物の殲滅に目的を再設定する。

 迷宮が完全に崩壊すると人が現れた。人数は五人。ビャクヤを倒した不審者がいるのも見える。リョウはそれを確認すると、ヌルを刀剣のように変形させ、両手に持ち、振うと同時に莫大な魔力をヌルに注入し、ヌルの大きさを高める、そうすることで魔物だけを全て上下に一刀両断する。


「報酬は全部くれてやるから、他は魔物の回収と後始末を王族に訊きに行ってこい。その指示に従って後は動いて来い」


 乱戦だというのに、人間側に一部の被害も出さずにリョウは事態を収束させた。そのままリョウは迷宮から出てきた人たちに近づいていく。後ろにいた冒険者や騎士達は邪魔をしない様にする。というより、尻込みして近づけない。迷宮を何とか出来る人間なら、相手できるのは最低でも超級冒険者の彼しかいないのだから、犠牲を最小限にする為に彼に相手をさせ自分達は援護に回ることにした。

 しかし、冒険者と騎士達は驚いた。なぜなら次の瞬間、リョウが背の高い黒づくめの男に膝まづいたのだから。


「お勤め、お疲れさまでした」

「ああ、案外何とかなるもんだな」

「何とかできるのは、貴方だけだと思いますよ」

「それもそうだな」

「それよりも、迷宮はどうされたんです?」

「核を封印した。迷宮で封印されてたものが出て来るぞ」

「了解です」


 ジンがそう言うと菜花と琴葉、スミアの非戦闘員をはるか後方に転移させると超級迷宮に封印されていたものが出て来るのを待つ。


「来たぞ」


 その声と共に白い霧が迷宮のあった場所から噴出し、それと同時に地中から何かが飛び出てくる。


「棺桶?」

「棺桶だな」


 取りあえず、全員が身振り手振りで合図を出し合うとジンが棺桶を開けることにした。


「失礼しま~す」


 腑抜けた声で棺桶を開けると、そこにはミイラが眠っていた。服装からして女性だろうか。腕に管の様なモノが刺さっている。外見は何を吸い取られたのか、干からびているようである。しわしわの肌に露出した歯茎。一見、人間の遺体の様だが頭には見事な角が生えている。人間では無いようだ、だとしたら答えは一つ。


「悪魔だな」

「目が開きましたね」

「生きてんのか、すげぇな」

「■■■■■■■■■■」


 一聞きしただけでは、理解が出来ない言語が悪魔の口から発せられる。そんな悪魔の様子を見てジンには彼女が何処か諦めたような表所を浮べている、気がした。ジンは彼女の発した言語を頭の中の各言語と照らし合わせて解析し、彼女にもわかる言語で話す。


『どうも、お嬢さん。お目覚めの気分はいかが?』

『あなたは?』

『お嬢さんが活躍してた時代から千年後の人類だよ』

『なるほど。で、私に何か用?』

『逆に何かしたい事はあるかい』


 ジン個人に悪魔をどうしようという気はない、暴れるのであれば取り押さえる気でいるが、そうでなければ別に好んで敵対する気はない。


『そうね。戦争や戦いは疲れたけど、殺したい奴はいるなぁ』

『物騒な事だね』

『手当たり次第に殺すよりは良心的だと思うけど?』

『特定の人間をご所望なら無理だと思うよ。多分、もう死んでる』

『そんなわけないじゃない。それぐらい、私だってわかるわよ。私が殺したいのは私の同族、悪魔よ』

『そうであるなら別に止めはしないが、一応対策は取らせてもらうよ』

『どうするの?』

『先ずは治療のために君を連れてく。もうちょっと俺に付き合ってもらうよ』

『あら、情熱的ね』


 それだけ言うとジンは空間魔法で棺桶に入った悪魔ごと何処かへ移動した。後には小さいメイドと超級冒険者だけが残った。

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