95話:超級VS超級
ビャクヤは出現と同時に目の前にあった、餌を口に入れよう周囲の地面ごと齧り付く。だが、口の中には土の味しかしない、迷宮から出るまでの道中で感じた血肉の味がしなかった。ビャクヤは口の大きさ分入って来た土を飲み込み、別の餌を探すと、代わりは直ぐ近くに見えたので、それに向かって突撃する。
ビャクヤは苦しんでいた。癒える事も、尽きる事もない飢餓感に苦しみ。それを埋めるために餌を欲していた。迷宮から出て来るまで彼に歯向かえる存在はなかった。全てを薙ぎ払い、押しつぶし、腹に納めて吸収してきた。
食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べる、食べる、たべる、タベル、たべるたべる、たべる食べる食べるタベルタベルタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルたべるたべる食べるタベル食べるタベル食べるタベル食べるタベルタベル食べる
飢餓感に苦しむビャクヤにまともな思考はない。全てを腹に納めるために暴れまわり、走り回る。災害の化身であり、強欲の象徴、それがビャクヤであり、超級迷宮が生み出す同等の化け物。
「大口開けるのは、はしたないぜ」
そんなビャクヤへ青黒い線が通ると、そこに斬撃が通っていった。ビャクヤという存在に攻撃を加えられる存在は、今まで存在しなかった。だから、どういう方法で自分が切られたのかは分からなかった。“痛み”という初めての感覚、飢え以外に感じた、初めての感覚だった。そしてそれを与えてきた外敵を消すために警鐘を鳴らす生存本能。ビャクヤがこれから経験するのは初めての実戦。誰よりも強いがゆえに、経験することが無かった戦闘という舞台。飢えを忘れて、焦り、興奮する心が芽生えた瞬間だった。
* * *
ジンはビャクヤに食べられた瞬間に転移能力で脱出した。もちろんスミアも一緒だ。そのままビャクヤの横っ面を弾き飛ばす。
「大口開けるのは、はしたないぜ」
ペストは地面にスミアを乗せると、戦闘態勢になる。鑑定でステータスの確認に入る。
◇ ◇ ◇
ビャクヤ 種族:白魔大鯨 性別:不明 年齢:0歳
レベル:400
HP :100000/100000
MP :1000000/1000000
STR:500000
DEF:500000
RES:1000000
AGI:500000
INT:1000
称号:迷宮ボス ビャクヤ 災厄の化身 強欲の象徴 超級の魔物 名持ちの魔物 限りない飢え
コモンスキル
・戦闘スキル
覇気 (Lv10)
状態異常耐性(Lv10)
衝撃耐性 (Lv10)
斬撃耐性 (Lv10)
強魔耐性 (Lv10)
聖天耐性 (Lv10)
火炎耐性 (Lv10)
流水耐性 (Lv10)
暴風耐性 (Lv10)
迅雷耐性 (Lv10)
吹雪耐性 (Lv10)
土塊耐性 (Lv10)
・魔法スキル
魔弾生成 (Lv10)
魔力解放 (Lv10)
・生活スキル
飛行 (Lv10)
・創作スキル
なし
固有スキル
超再生 (Lv10)
霧化 (Lv10)
分身 (Lv10)
飢餓補填 (Lv10)
白い夜
ギフト
迷宮の加護
◇ ◇ ◇
「さてと、今夜は鯨の唐揚げかな?」
「な、何を呑気な……」
スミアはビャクヤが放つ圧倒的な迫力に飲まれてしまっている。しかし、戦おうとしているジンは一切引く様子はない。
いつの間に抜いた刀を先ずは一閃。それにより発生した真空の刃でビャクヤを斬り付ける。
「ギュアアアアアアア!!!」
ビャクヤが悲鳴を上げる。すると、ビャクヤの体から霧が生産され始める。固有スキルの【霧化】だ。これでビャクヤに普通の攻撃は入らない。魔法の攻撃すら、ビャクヤにダメージを入れることは無いだろう。しかし、攻撃をできないのはビャクヤも同じ。この状態では物理的な攻撃力は何も持たない。
ジンは風を操り、霧を一区画に纏めて火属性魔法で焼く。効くはずもないが試しにだ。
「な、何で、何でこんな事するの?」
ふと、スミアから声を掛けられる。彼女からしてみれば国の為に死ぬのを阻止した大悪党だ。たいして交流した訳でもないのに助けてくれる。それがなぜなのか分からないからスミアは知りたくなった。
「お互い、生きてたら話してやるよ」
ジンがそう言うとまたビャクヤに対して突っ込んでいく。ビャクヤは【霧化】を解除して攻撃を開始する。ジンは風の刃を連続で射出して、ビャクヤに攻撃してみるが、最初に与えた分も含めて対して効いていない様に見える。
「硬い上に、再生能力も高い」
弱点を探るために彼の状態を探ってみる。体内に異物を入れるために土くれを加工して弾丸にして大量に発射する。これで再生と同時に異物をどうするのかを観察する。しかし、ビャクヤも見ているだけではない。二体に分かれて二方向から攻撃しに行く。
それを見越して大量の土弾で迎撃。目論見通り、二体のビャクヤの体に土弾がめり込む。しかし、その異物をビャクヤは再生と共に吸収する。ジンは入った破片を操って内部から攻撃しようとするが取り込まれたようで反応しない。
「体内からも効かない。一寸法師みたいにはいかないかもな」
ジンは空中に飛びだし、ビャクヤもそれに釣られて空を飛ぶ。そこからは空中戦、実体化の最中を狙いながら風の刃で切り続ける。無敵に思えるビャクヤの弱点を探っていく。
(こいつ、固有スキルで魔力と体力を回復している)
一先ず分かった事はこいつは呪いのせいで飢えている。そして飢えの苦しみにより固有スキルで魔力と体力を回復している。
過去の人間はこいつの呪いを弱点だと思って放置していてコイツの能力によって倒されたのだろう。
奴の強い部分が分かれば、取る手はいくつかある。一見、無敵に思える【霧化】にも弱点はある。それは無限には続かないというという事。必ずどこかで息継ぎのタイミングがある。そこを突けば実体化の隙が出て来る。
ジンは刀に魔力を充填させてそれを黒い霧に変換する。この黒い靄も普通ではない。これは【暴食】により生み出されたものであり、使用者の意に従って対象を捕食する。ジンはビャクヤの【霧化】解除のタイミングを見計らって、放出する。
「お前のスキルを喰ってやるよ」
ジンが放射した霧はビャクヤのスキル【飢餓補填】を強引に捕食して自分の物にした。暴食の副作用は強烈な飢餓感の発生、ビャクヤは呪いによりこれを発生させて【飢餓補填】の恩恵を常時受けているが、ジンは人為的にこれを発生させられる。だいぶ相乗効果がある、良いスキルを入手した。
そしてこれでビャクヤのとんでもない再生力と無限の魔力を奪ったことになる。そのお礼に呪いも解いてあげた。
「ようやく、勝ち目が見えてきた」
* * *
ビャクヤは困惑しているのと同時に歓喜していた。ビャクヤを悩ます飢えが解けたのだ。これで集中して敵に対処が可能になる。しかし、溢れるように感じていた自分の力が無くなってきたことも感じていた。
「クゥアアアアアア!!!」
難敵の出現に焦りを感じながらも自身を複数出して迎撃に当たらせる。しかし、魔力を減っているのを感じる。考えなしの連発は出来ない。敵は分身を無視して本体である自分に向かってくる。そして本体と分身の包囲攻撃に陣形を変える。
* * *
ビャクヤの攻撃が変わった。知性のある行動が出て来たのだ。突撃一辺倒だった相手の攻撃が取り囲む作戦だった行動に代わる。
(呪いを解いたからなのか、知力が高くなってる)
やる事に変わりはないが、いかんせん面倒な行動を取り始める。知恵ある獣というのは面倒くさいと経験から知っていた。逃げ回りつつも返しを放つが。タイミングや駆け引きを学び始めている。
数十合打ち合うとほぼ人間に近い知能を獲得している。しかし、ビャクヤの体力も魔力も限界近くなってきている。
追い詰められているからこそ、ビャクヤは最後の奥の手を打ってきた。
「ガァッアアアアアアアア!!!!」
最後のスキル【白い夜】。対象領域内を氷点下以下にしてさらに自身に向くように常に強い力場を発生させる効果。ビャクヤの残り魔力では広い範囲は指定できない、ジンを包み込むだけで精一杯だった。そして、それだけで終わるわけでは無い。本当に最後の力を振り絞り、全身を霧化してジンを囲む。そして全方位からビャクヤが力尽きるまで攻撃が始まる。
【白い夜】の効果により霧状になったビャクヤの体にも効果があり、全身の肌を引っ張られるような感覚がある。このままでは皮膚が剥がされる。冷凍化により脆くなった皮膚が、全方位から引き寄せられる。加えて霧化した一部を実体に戻して、それをジンに向かって発射してくる。ジンは刀を振って何とか対抗する。
(きっつい。けど、多分これが奴の最後)
それなら、ここからは耐久勝負。ジンが力尽きるのが先か、ビャクヤが力尽きるのが先か。長い一瞬の時間を周囲にいる人間がかたずをのんで見守る。
そして決着の時は来た。ビャクヤの霧化が解ける。そしてその巨体が姿を現す。
「最後だ一撃かつ派手に行こうか」
明らかに過剰な魔力が込められた刀を振り下ろす。そこから凄まじい質量を持ったエネルギーが放出されて真正面から縦に分割される。
「ああああああああ!!!!!!!」
絶叫と共にビャクヤは地に落ちる。縦に真っ二つにされた巨体は着地と同時に凄まじい地響きと粉塵が巻き起こる。
「さて、後は予定通りに」
ジンはこの後の計画通りに事を始めようと行動を開始する。




