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勇者の守護者〜誰かのために出来る事〜  作者: Dr.醤油煎餅
第五章 恩師救出と教え子の旅路
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85話:勇者の旅道中(その2)

 祈達は太陽が一番上に来てお昼になったのを確認すると、森の中の開けた所で昼食の準備を開始する。今回の昼食はサンドイッチだ。保存に適している硬いパンに切り込みを入れて、間に解凍した野菜や肉を挟み簡単に作ったソースも塗り込む。


「結構硬いわね」

「スープも作れればいいんだけど、匂いがあると魔物や動物が寄ってくるし、作るのもめんどくさいんで宿につくまではお預けにしますよ」

「それじゃあ、晩御飯が楽しみですね」

「今日の献立は何にしましょうかね」


 呑気に夕食の事を話しながら、サンドイッチを腹に納める。果物の酸味がよく効いていてそれが塩味の効いた加工肉の塩辛さを和らげて上手く旨味を引き出していた。


「昨日も思いましたが料理とか何処かで習ったんですか?」

「私は基本的に母に習いましたね」

「私は独学ですね。母は仕事が忙しかったし、姉は不器用で見てられなかったので自動的に私が料理担当になってました」


 ラティーナの素朴な疑問に優夢と願は答える。優夢は今となっては懐かしい頃を思い返す。

 取りあえず、昼食を食べ終わると少し休憩を取ってから。また森を進んで街道を目指す。陽が落ち始め、夕方ごろになるとやっと街の門に辿り着いた。


「ああ、すまない。止まってくれるか?」

「はい。何でしょう?」


 検問の為に出てきた兵士に望が応える。


「上からお達しがあってね。検問中なんだ」

「そうですか。で、ご質問は?」

「顔の確認と、質問に答えてくれ」

「フードを取ればいいですか?」

「ああ。……キレイどころが多いな」


 検問していた兵士からのいやらしさを感じて、望達は眉を顰める。


「褒め言葉として受け取っておきます。目立つんでもう被っても?」

「そうした方が良いだろう。では、質問だが、何処からここまで来た?」

「アテウ村です。ミルキアから幾つかの村を超えてここに来ました」

「成程、それで道中で青髪の少女と長身で金髪の少女は見なかったか?」

「見てませんね。その方は何処のどなたです?」

「さぁな、懸賞も出ている、見かけたら次の街で報告すると良い。捕まえたらかなり高額の金を貰えるしな」


 そう言って検問の兵士は一枚の紙を渡す。そこには先程の少女達の特徴の他に黒髪の少年少女達の特徴が示されていた。

 望達はそれを受け取って街の中に入っていく。


「手段は選んでられないようね」

「ミシェルの奴、後のことは考えてられなくなったようね」

「話は宿に戻ってからにしましょう。何処に耳があるかもわかりませんし」


 宿につくとチェックインを済ませて、部屋を取る。

 その後、一同はニホン商会直営の公衆浴場へ向かう。男か女か分からない店主に使用料を払い脱衣所でしっかりと服を籠に入れて貴重品をロッカーに入れて鍵を閉め鍵は手首に巻き付ける。

 祈達は普通の人ならあまり拝めない位の綺麗な顔をしている。そのため同じく入って来た女性達からとても注目を集めていた。そんな誰からも見られるような入浴タイムが終わり。

 宿に戻り今度は望と願が料理をする。昼に願に言われた望の料理下手説を覆すために、彼女が志願して現在挑戦中なのだ。

 その間に情報の共有を始める。


「追ってきている方達は誰なのでしょう。あの手配書も誰が発行したのか」

「十中八九、国軍だろうそれも恐らくは騎士団直下の軍隊だな。動かせるのは何処かは分からないが。周囲の領主の力は借りれなかったのだろう」

「それはそうよ。こんな事が分かったら結婚式で大失態を演じていたことが広まって更に求心力が下がるでしょうね」

「兵士を使っているのは何でなのでしょう?」

「便利だからだろうな、領主には適当な事後報告さえすれば、国の上位機関としてそれぞれの領の兵士達は使えるからな」

「そんな適当な感じで良いのですか?」

「緊急時用の対処方法だ。敵が来たら国王直轄の騎士団と軍隊が指揮をするからな。凶悪犯罪者が逃げた場合も国内から逃がさないためにも強権が使えるようになっている」


 アンジェは騎士としての最低限の知識を優夢と祈、ヘレンに話す。


「で、今回は異常事態なんですか?」

「そうだな、捜索対象は殿下になるからな、犯罪者でもない人間に対して強権を発動するのは褒められた行為ではないからな。ましてや、今は内乱に近い時期だ。重要な人物を犯罪者のように扱うなどすれば、相手側、この場合は殿下に訴えられる可能性があるからな。そこら辺はそいつの立場次第だな」

「それをやって来たという事は相手は握りつぶせる秘策があるって事か~、こわ」

「じゃあ、ちゃんと逃げないとね~」

「最終的には奥の手を使わないといけないかもしれないね」

「奥の手とは?」

「言えない。忍者は奥の手は死んでも明かさないモノなのです」

「な、成程」


 アンジェは妙に自信満々の祈に若干たじろいでいた。

 離していると時間が経ったのか、調理を済ませた望と願が戻ってきた。


「はい、今日の献立はスープと大麦のトマトリゾットです」

「おー、美味しそう」

「赤くてドロドロですね」

「見た事もない料理」


 新鮮なトマトはないのでニホン商会自作のケチャップで代用して大麦、チーズ、ベーコンを使ってリゾットを作ったのだった。スープもミネストローネのトマト風味でまとめてある。


「一応、お代わりもありますので、必要なら言って下さいね」

「では、頂きましょうか」

「「「「「「いただきます」」」」」」


 地球の風習を知らないアンジェは首を傾げていたが、ラティーナからあっちの世界の風習だと教えてもらう。


「では、私も、いただきます」


 アンジェは全員に習って、同じ様に挨拶をする。

 その後は望が腕によりをかけて(ほぼ、願が手伝った)料理を楽しんだ。 


*  *  *


 食事が終わると昨日の様にお皿を洗って歯を磨いてから床に着いた。


「おやすみー」

「お休みなさーい」


 今日もつかれたので全員がすぐに寝てしまった。祈達は今日は動かず夜は更けていく。

 場所は変わって兵士の屯所。今は夜勤の兵士が塀の向こうで警戒に当たっている


「いや、それにしても今日はついてたな。あんな美形の集団が訪ねてくるなんて」

「確かに、貴族の姫様みたいに気品があったな」

「だけど、俺らにゃ一生縁がねぇよな。みることが出来ただけ万々歳だな」


 今日来た祈達の事について話している様だ。やっぱり見た目がいいからなのか、トラブルが起ころうとしている様だった。夜勤の兵士は結構暇なので昼の番での出来事を話し合ったりすることは多い。


「最近はこの国から出て行く人は多いし。あの人達もそうなのかな?」

「そうなんじゃね。まぁ、分からなくもないかな。俺達には天上の事だが、何でも大貴族同士でやり合っているんだろ? その余波で面倒受けるよりは逃げる方が面倒は少ないもんな」

「嫌な時期だねー。なにが起こるんだろ」

「俺達にまで面倒事が来ない事を祈るしかないか」


 兵士たちは面倒事が起こらない事を笑いながら祈っていた。

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