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シルク

 生島と百菜はハネムーンの様に王都に向かう。追っ手は全く無くなり、王都の手前迄スルー。流石に関所は不味いので、近付かずに様子を見ていると、

「あなた、生島ね?そちらは百菜姫かしら?」

見掛けと声は5、6歳位の女児、態度や口調は横柄で地位のある老婦人の様な、一応女の子が話し掛けた。

「アア、ソウダ。ナンダ?オマエ!」

「お黙りなさい!王都に入れてあげないわよ。」

「入レテクレルノカ?」

「あたしのギルドで働いてくれるのでしたら。」

「俺デモ冒険者登録出来るノカ?」

「無理に決まってるでしょ?付いて来るの?来ないの?」

「ワカッタ、ツイテイク。」

「姫は?」

「私もお世話になります。」

「では、手を繋いで。」

女の子が2人と手を繋ぐと、一瞬パッと眩しくなり、直ぐに真っ暗。目が慣れてくると、地下室の様な暗い部屋だった。


 謎の女児は絹子(きぬこ)、闇ギルド『シルク』のマスター。実年齢は定かでは無く、アンチエイジングの魔法が効き過ぎて子供の姿になっているらしい。


 絹子の指示で2人を案内するのは頭皮が透けて見える白髪の老人、登志男(としお)78歳。アジト内の事や、外との出入りの方法を伝授された。当面の任務は、低ランクパーティーが集まるエリアに、強い魔物を誘き寄せる事だった。細かい指示が一通り済むと、

「登志男さんはこのギルドは長いんでしょうか?」

「5つの頃からですな、70年程でしょうか。」

「絹子さんは?」

「僕が入った時から、あの御姿でした。その頃からマスターでしたね。」

 とんでもない所に来たんだと、遅ればせながら実感した2人は、不安を抱えながら、宿泊に使う部屋に行った。

 ダブルベッドとちょっとしたテーブルに椅子、それに小さなクローゼットだけ。寝るだけと言うか、スルだけの部屋だった。


 翌日から任務を遂行。獣人ペアの冒険者に化けてターゲットの山を巡る。麓に近い所迄、山頂の魔物を誘き寄せるには、途中、何か所かに魔物寄せを設置した。


 魔物寄せは順調に作動、難易度の割に高額な報酬、住処や馬車の提供も有り、ドンドン任務を熟して行った。

 魔物寄せでのトラブルは初めの内は想定通りの被害が出たが、折角設置しても、低ランク冒険者が敬遠するようギルドの指導が入り、被害が小さい内に処理されるようになった。


「今ノ馬車、俺達ヲ見テUターン?」

魔物寄せをして下山中の生島は、すれ違った馬車に殺気を感じた。

「危険を感じたら王都を離れるって指示だったわね、ココからなら先ずはリュタオね。」

手配される前に関所を通過、リュタオに入ってから、今後の事を考える。ツェーべに行けばシルクに保護して貰えるが、王都を横断するか、大きく迂回する必要がある。

「ヤバッ!馬車二マーキング!馬車ハ捨テルゾ!」

「手っ取り早くココを離れるなら船が良いかも?」

「ソレナラ、少シ足ヲ伸バシテ百菜ノ里ヲ調ベヨウ?仇討チ出来ルカモ知レン。」

と、リュタオから海路で北上、イモールの港を目指した。

 貨物船に金貨1枚で乗り込み、労せずにイモールに上陸。変身を解いて内陸部にある百菜の里に向かった。


 里に近付くと蔦の罠が作動、生島は咄嗟に、蔦操作のスキルで回避した。

「千菜と同じスキル!鬼人で植物操作なんて珍しいわね。」

「アア、ソウナノカ?転移ノ時モラッタ。」

更に進むと武装したエルフ達に囲まれた。

「もしや、百菜姫では?」

「如何にも百菜だ。里は全滅と聞いたが、どうなっているのだ?」

「襲撃された時、ヒューマンの中に私達を助けようと紛れていた人達が居たんです、億良(おくら)様だけが助かって、里長を継がれています。」

詳しくは帰ってからと言う事で、一緒に里に向かった。

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