11 素材集め
「ピットちゃんが動くって夢がありますね! 私、子供の頃、ピットちゃんで人形遊びをしていて一緒にお喋りしてくれたり、遊んだりしてほしいなって思ってましたよ」キィちゃんが興奮気味に話している。
翌日の放課後、私たちは補習部の部室に集まり、実験の準備をしていた。
サーヤ先輩が雑誌をめくって、必要な素材を確認している。
「必要な素材は、聖水、魔石、リューリエの葉、あと諸々は手持ちの素材でいけそうね」
「聖水と魔石はまだストックがあったと思うので、確認しますね!」
キィちゃんが部室の戸棚を開けて、聖水のビンの数を数えている。聖水は魔法の実験において溶媒としてよく利用される液体だ。特に害はなく、腐敗もしないので、部室の棚に常温で保管されている。
魔石は魔獣から取れる素材で、魔法の実験の触媒に使われることが多い。クズ石から宝石ほどの価値があるものまでグレードは様々である。小さな魔獣や魔虫を倒すと取れるクズ石は価値が低く、私たち学生でも簡単に手に入る。こちらも部室の棚にまだストックがあった。
「リューリエの葉はどうしますか?」
「確か、薬草園の温室で育てていたと思うのよね。誰か先生に頼んで少しわけてもらってくれない?」
「僕、もらってきます」
レオくんは駆け足で部室を出て行った。
校内には広大な薬草園がある。薬草園は屋外の圃場と温度管理された温室があり、ポーションやその他アイテムの調合に使うための様々な薬草が育てられている。
希少な薬草以外は、教師の許可があれば自由に採取することが可能だ。
「リューリエの葉なんて使うだね。なにか呪いでもかかってるのかな」
「まあピットちゃん人形にまつわる怪談は尽きないですからね。なにか一つぐらい呪いがかかっててもおかしくないのかもしれません」
私が独り言を呟くと、キィちゃんが律儀に返事をしてくれた。
リューリエの葉は解毒や呪いの解呪に使われることが多い素材だ。リューリエの木から取れる葉で、若葉が一番薬効が高い。リューリエは幹の中で水や空気中に含まれる微量の毒を濾過するため、その葉は完全に無毒の状態で、その葉に対象物の呪いを移すことで解呪効果があると言われている。
やばい呪いじゃないといいんだけど。
ふと、よぎった不安は、キィちゃんとサーヤ先輩の話し声でかき消されてしまった。
リューリエの葉の由来は特にないんですが、よく見るとローリエの葉に似てますね。形もそういう感じです。臭みを取ってくれます。




