心
僕と奈留は、新居を探した。
他の三人にも、もちろん相談しながら。
なぜ他の三人も?ってなりますよね。
でも、三人も新居探しには重要なのです。
基本は、奈留と住むのだけど色々な事情があり、三人の物も新居に運ぶ。
それって、もしかして…
ってなりますよね。
そうです。四人で…いや、五人で暮らすのかって?
いえ、二人です。
ベッドも二台だけですし。
——
無事新居も決まり、これから二人で暮らすのです。
「さあ、行こう。杏!」
「うん、行こう‼︎」
テンションの高い杏は、新居の荷物ほどきを僕と一緒にする。
そして数時間後、ちょっとお昼寝を挟むと、友樹がやってきた。
「コンビニ行こ」
と。
僕は、ラフな格好の友樹とコンビニへと向かった。
「やっぱり今日は、そばだよね!」
「そうだね。」
僕と友樹は、そばを買って帰った。
「友樹、薬テーブルに置いておくね」
「ありがとう」
二人仲良くそばをすすった。
その日、新居初日は友樹とともにした。
朝になると、沙奈が朝ごはんの支度をしていた。
「沙奈、朝からそんな動かなくてもいいよ。昨日だって疲れているんだし」
沙奈は、優しく笑って
「大丈夫だよ?それに、一緒にいられることが、とても嬉しいよ」
と、僕に抱きついた。
「うん、僕も」
奈留との新居生活は、意外とまだなかった。
杏も友樹も沙奈も一緒にそれぞれ新居をともにした。
奈留は…
奈留は、その二週間後にひょっこりとやってきた。
「おう、奈留。新居はどう?」
「うん、とっても素敵」
ギュウっと奈留が僕に抱きついてきた。
新居生活では、四人の生活がどうなるか少し不安だった。
でも、頻繁に四人が入れ替わることが、あまりない。
一緒に住むことで、心が安定したのかもしれない。
どういうことだって?
それは、奈留が解離性同一性障害だからだ。
奈留の中には、三人の人物の心が宿っているとでもいおうか。
同じ人だけど、考えも性格もまったく違う。
だから僕は、四人と付き合っている感覚に陥る。
でも、それがイヤじゃなかった。
はじめは、僕自身も理解に乏しくて、悩んだりもしたけれど、今はうまく四人と付き合っていけていた。
しかし、最近は奈留がずっといる。
これは、もしかしたら統合したのかもしれないし、また三人が出てくる可能性もある。
でも、僕はどちらでもいい。
皆がそれぞれ好きだし、受け入れるつもりだ。
奈留は、人格について悩んでいたりもした。
でも、僕からしたらよく自分を理解しているんじゃないのかなと思う。
だって、僕自身もたまに落ち込んだり慌てたり、時には冷静になったり、はしゃいだりして、自分をコントロールできない時だってある。
それを思えば、奈留は今日はこんな自分と、分析して暮らしているのだから、逆に感心してしまう。
「奈留、今日は映画に行かないか?」
「うん、行く!」
これからも奈留と僕と杏と友樹と沙奈の生活が続くかもしれない。
そうそう、僕が杏と奈留にお揃いの色違いのものをプレゼントしたというのは、ウィッグだ。
そもそも、友樹は短い髪のウィッグを愛用しいた。
でも、杏は赤いウィッグを持っていなかった。
だから、すぐに髪を赤く染めてしまう。
そして、それを奈留が嫌がる。
だから二人には、赤と黒のウィッグをプレゼントしたのだ。
そしたら、髪が傷まないからね。
生理の時、奈留ではなく友樹のところへ向かったのは、そもそも奈留が生理だったけど、気分転換に外出したくて友樹になってしまったのだ。
だから、奈留が友樹に早変わりしたので、僕は友樹のところへ安心してむかえたのだ。
奈留は、心の中で眠っていたから。
「わたし、広夜にであえてほんとうに幸せ」
「うん、僕もだよ」
——
これからも、幸せは続く。
おしまい♡




