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デブで無能と蔑まれた俺はアンノウンスキル【バリアフリー】で全てを手に入れる ~俺を蔑み虐げた王族と勇者は地獄を見るようです~  作者: 揚羽常時


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第1話:異世界召喚は突然に


「げぼぁ!」


 思いっきり殴られて、息が逆流する。俺を襲う不条理に、だが誰も同情しない。


「佐藤さん。自主退学だって」


「マジかよ……。終わってんな。辺根斗」


「人の不幸で飯が食えるなんて人間として最低だよね」


 こっちを軽蔑する視線は受けるが、それが救済になることはなかった。


「このクソ野郎が! お前のせいで佐藤はなぁ!」


 倒れた俺にサッカーボールキックをくらわせる矢佐間。怒りが頂点に達していてこっちが何を言っても交渉の余地はなさそうだ。


 今ボロ雑巾のように蹴られている俺は辺根斗ペネトレイト。親がペネトローンという金貸し業をやっていて、それこそ仕事の都合上破産させた企業や家族は数えるのも面倒くさいくらいだ。我が家がやっている金貸し業が社会的にどういう意味を持つのか。それを何となく察したのは小学校の頃。なんの遠慮もなくビンタされて「この人非人!」と罵倒されたことで俺は我が家がやっている家業が人を不幸にする類の職業だと知った。だから何だと言われると俺としても困るのだが。


 そのペネトローンの取締役社長をしている父親の愛息子が俺で、膨大な資金によって甘やかされて育った俺は、特に苦労も知らずに今まで生きていた……というと虚偽に当たるが、まぁ金銭的には困ったことがないのも事実で。


 この学校では美少女とされる佐藤さん。彼女の親は企業を経営しており資金繰りに困っていた。そしてうちに借金をして資金繰りを解決。だがその後の業績が振るわず結局破産。うちはきっちりと利息ごと借金を取り立て、佐藤さんの家を尻の毛までむしり取り、土地の権利書を差し押さえ、会社の資金も搾り取り、首をくくった佐藤さんの父親の保険金もしっかりと享受している。まぁやっていることは鬼畜の所行だが、俺は止めたのだ。資金繰りに困っているなら潔く会社を畳めと。一軒家は銀行に差し押さえられるだろうが、それでもやり直すことはできると。だが目の前しか見えていない佐藤さんは俺に頭を下げてお願いし、俺も結果がわかっていながら親に「クラスメイトがこんなこと言ってきてるんだけど~~」的なことを言うと、ニコニコした笑顔で親は佐藤さんの親に融資した。結果がこれだ。


「このデブのゴミ! デブリアンが!」


 その佐藤さんと恋仲であった矢佐間という生徒が俺のクラスに殴り込み。俺を見つけると感情のままに殴って、倒れた俺にサッカーボールキックをかます。


「げ、は……ッ」


 誰か助けて……と周りを見るが、周囲の俺を見る目は軽蔑のソレ。俺が暴行を受けることを当たり前だと思っている顔だ。俺が何かしたかと言われるとしたのだろうが、それでも違法なことはしていない。軽蔑するのも結構だが、そもそも俺は佐藤さんの暴挙を止めたのだ。いいから破産しろと。なのになんで俺は矢佐間に憎まれて暴行されているのか。


「佐藤さんのお父さん……首吊ったんだって」


「ソレを何とも思ってないの?」


「うわー。引くわー。人間のクズだわー」


「さすがデブリアンっていうか……」


 デブリアン。


 それが俺についた蔑称だった。甘やかされて育てられた俺は栄養過剰で太っており、そのことから今までデブと呼ばれ続けていた。さらに親がやっている金貸し業が社会的にマイナス要素を加えてゴミを意味するデブリ。そのデブリに人種を表わす「イアン」を付けてデブリアン。考えた奴はセンスがいいとは思うが俺としてはもうちょっとこう……な?


「死んで謝れ! デブリアン!」


 倒れて腹を押さえている俺に、容赦のないサッカーボールキックを見舞う矢佐間。そもそもだがこっちは違法なことはしていない。なんで暴行を受けなければいけないのか。


「クソが! 佐藤が受けた苦しみはこんなもんじゃねえぞ」


 だったらその佐藤さんを連れて来いよ。なんで代理でお前が殴ってんだよ矢佐間。


 教室の後ろの方で暴行事件が起こっているが、誰も助けない。このまま教師が来るまで続けられるのか。そう思っていると。


 ――――――――――――――――!


 何とも表現しようのない音が響いた。音……と言っていいのかも怪しい。何か心の奥底に響く歌にも似た……声の様なメロディの様な。思った瞬間、今度は教室の床に蛍光線が走る。例えるならサイリウムの色に近い。それが光の線となって円を描き、同時に幾何学的な模様を生み出し、ファンタジー用語で言うところの魔法陣を描き出す。


「なん……?」


 俺を中心に展開される魔法陣。その中に矢佐間もいて。そうして俺と矢佐間は異世界に転移した……ということを俺が知るのはまだ先の事なのだが。とにかく教室から別の場所に転移したことだけは何となく察していた。


 転移は一瞬だった。まるで動画のフレームを編集してコマ落としをしたように、いきなり景色が違うものに変わっていた。


「なん……だ……これ?」


 矢佐間には馴染の無い光景かもしれない。俺は何となくわかっている。異世界召喚だ。だがそうと分かっていても信じられない気持ちは矢佐間と同じで。あんなにも憧れていた異世界召喚に呆然とせざるを得ず。だがそれとは別に俺には俺で問題がある。さっきまでボッコボコにされていたのだ。倒れ伏したままボロボロの姿で、俺は魔法陣の中心に倒れていた。


『大丈夫? お兄ちゃん?』


 周囲を見る余裕はない。だが異世界召喚されて、このまま魔王を倒せと言われても肥満体質の俺に何ができる。


『お兄ちゃん?』


 誰だ? 意識が朦朧としているが、頭に響く声は聞こえてくる。そもそもお兄ちゃんって。俺に妹はいるが、ここは異世界だぞ。


『あ、声に出さないでね。あくまでハミルちゃんはお兄ちゃんの心に語り掛けています』


 ああ、そうですか。なんとも答えようもなく。俺が納得と諦めをしていると。


「ようこそ勇者様。ヘルメス聖国の王族一同。歓迎いたしますぞ」


 ヘルメス聖国。で、誰が勇者だって?


「勇者……? この俺が?」


 矢佐間は矢佐間で自分が勇者だと思っているらしい。まぁ間違ってもいないのか。俺が勇者なわけも無いし。


「そうですわ。勇者様。わたくしはルシアと申します。勇者様のお名前を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」


「ああ、矢佐間だ。矢佐間ユウシ」


「ユウシがホームネームなのですか?」


「ん? ああ。そうだよな。普通こういう時ってホームネームが後だよな。言い直します。俺はユウシ・ヤサマと申します」


「ユウシ・ヤサマ様……ですか……」


 ズタボロになった俺はそのまま辛うじてルシアなる人物を見上げる。ほぼボロ雑巾も同様なので。他に出来ることがない。


「ユウシ・ヤサマ……ッッ! まさしく勇者様ユウシヤサマじゃないですか!」


「ん? ああ。そうかもしれねーな」


 言われて自分が勇者だという認識が湧いてきたのだろう。ニヤニヤと笑って、煽てるルシアを性的な目で見る矢佐間。


「ところでこちらのデブで汚らしいブタは何ですの?」


「ん? ああ? デブリアンだよ。デブでゴミの人間以下だ。汚いから処分しておいてくれ」


「わかりましたわ勇者様♡」


「ところでこの俺が呼ばれた理由だが……」


「それはこれから歓迎パーティーでご説明しますわ。とにかく今日は勇者様を歓迎させてください♡」


「ああ、異存はねーよ。そこのデブリアンは牢屋にでも放り込んでろ。この俺の視界に入るだけで不愉快だ」


「これは失礼しました。勇者様の御機嫌を損ね申し訳ありません。衛兵。このデブリアンを地下牢獄にぶち込んでしまいなさい」


 会話だけは聞こえる。どうやら俺は豚箱にぶち込まれるらしい。





※―――――――――――――――――――――※


第一話をクリックして読んでくださりありがとうございます!

タイトル通り、これは主人公が全てを手に入れる物語です。

第二章からは主人公はゲ〇ターエンペラーとか超銀河グレ〇ラガ〇と拮抗する強さになる予定です。少なくともネオグラ〇ゾンよりは強くなります。


ただ話の展開上、主人公がイケメン最強になるのに三十話かかります。

「あんたバカぁ!? 三十話も読者が付き合ってくれるわけないじゃない! しょ、しょうがないから私が付き合ってあげるわよ……と、特別なんだからね! 勘違いしないでよ!」という心の広い読者様は三十話までお付き合いくださればハーレム無双をお約束します。


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