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新たなチカラ

カイン 主人公30歳 異世界転移済み。

 右目負傷につき眼帯使用中

イナホ 狐+美女 ククリナイフ、ボウガン ボクっ娘

ソルデ ギルド兼酒場スタッフ

ガイ ソルデの兄、正確悪い自衛団所属

ギース ベテランハンター ランク銅

タムル 村長兼ギルドオーナー



「ハァッ!?銅貨20枚!?」


ギースが依頼の報酬を受け取ってるのを横目で見ていていきなり声を上げた。


やっぱりこの依頼に対して銅貨20枚は少なかったらしい。


ただ、それとは別に先日狩ってきたデスイーター3匹、ボア2体分で銀貨4枚もらえたからそんな損もしていない気がしていた。


「カイン。おめぇ今回の依頼は行方不明になった被害者はおそらく死んでいる。

そんなキケンな依頼だったんだぞ!?この程度の報酬でいいわけないだろ!しかも、お前一人だと殺されてたぞ!

イナホがいなけりゃ俺だって危なかったくらいだ」


「ま、まぁ……今は無事にみんないますし、そんな怒らなくとも。ハハハハ……」


俺はこういうことで怒っている人を見るのは苦手だ。自分がちょっと損したくらいでみんなハッピーならいいじゃん?って思ってしまう。


「ダメだ。おめぇ自分の命もっと大事にしろよ!おめぇが死んだら、たとえ元でも奥さんが悲しむだろぉ!

かたやそれを仕掛けたやつはそんなこと知らずにのうのうと生きてる。そんなことあっていい訳ねぇ!悪いことした罪はしっかり償ってもらうべきだ」


「いや、ガイさんも騙そうと思ったわけじゃ……」


「あぁーもういいっ!なら俺が話をつけてくる!」


「あっ、え?ギ、ギースさん?どこ行くんです?」


「タムルさんとこに直談判してくるっ!おめぇはいい!待ってろ!!」


ギースの勢いに何も言えなかった……

確かにちょっとピンハネは気になったけど、みんなハッピーでいいような気もするが。


「カイン。その辺りなぁなぁにするのはクセになるし相手も悪いことして罰せられないことがあれば常習化する。

キミだけの問題じゃないんだよ。彼のためにも、ギースについて行ったほうがいいと思うよ」


イナホのいい分もたしかに納得できる。やっぱりついていくべきか。


俺はまだ腹は決まってないがギースの後を追って村長宅のタムルさんのところへ向かった。


−−−−−−−−−−


「なにっ!!そんな報告は受けておらん!!」


と、村長の執務室の扉の前に来た瞬間怒鳴り声が聞こえてきた。


これ……入れませんわ。


イナホは俺のペースに合わせてくれてそうだから、とりあえずタイミングみて乗り込もう。ギースも白熱してるし……。


「だろっ!どうかしてるって。

人の命が奪われてるかもしれないこの事態の報告がタムルさんまで回ってないのが問題だ!この件はブロンズのハンターなんかに依頼せず自衛団でやるべきだろ?!」 


「ギースのいい分は最もだ!至急こちらでも詳細を調べる。

明日の朝また、こちらに顔を出してくれ」


「ホント、自衛団もあんたの手足なんだから頼むぜ。

じゃあ、また明日……」


ガチャ。「あ……。」


ちょうど扉の前でどうしようか悩んでた俺はおもむろに開けられた扉を前にギースと目があった。


「なんだよ。おめぇ、いるなら早く入ってこいよ」


「い、いや、なんか、入るタイミングがなかったので……」


「カイン殿か。貴方には申し訳ないことをした。こんな偏狭な村だ。自衛団の中に多少性格が曲がったものがおっても、人不足で解雇できんのが現状でもある。

今回の件はそんな輩を教育できなかった私の責任だ。

詳細確認の上、改めてご報告致す。

ご面倒おかけして申し訳ない。」


そう言って頭を下げられた。

タムルさん、やっぱり村長やってるだけあってできた人だな。


「わかりました。では、明日またお伺いさせて頂きます。

ただ……結果論ですが、私は今五体満足なのでガイさんに処罰が下るとしてもほどほどでいいので、宜しくお願いします。」


「お心遣い感謝する」


俺とギースは一礼して執務室を後にした。


「おめぇ甘すぎるぜ!ガイのためにもならねぇんだぞ」


「さっき、イナホにも言われました。ただ、否を突きつけて反省のきっかけさえ生めば、公正のチャンスもあると思って……。

こんなので逆恨みされたくもないですし」


「なんでだよ!?悪いことしたのはあっちだぜ。

逆恨みされるようなことをおめぇはしてんのかよ!?」


「あー。私はしてないんですが、転移者の偏見もあるんで、

自分はただでさえ恨まれやすい立場なんです。

そこを考慮してなんですよ」


「ギースの言うこともわかるけど、カインの言い分も間違ってない。公正できなかった時はそれこそタムルさんに裁いて貰えばいい。

ボクも今回の対応はこれで十分だと思うよ」


「チッ。そうかよ。まぁーお前の立場も考えると確かにな。とりあえずまた明日顔を出すぜ」


「ありがとうございます」


ギースは不満げだが、俺のためにこんなにも憤慨してくれている。ホント根っからいい人なんだなぁ。

俺はギースにお礼を言いつつ、宿の方に戻ることにした。


ギースはその足でシルビアさんのところに見舞いに行くそうだ。

今の流れだとグチをこぼしに行く感じかも知れないが……



俺は宿に戻る道すがら少し考え事をしていた。


「なぁーイナホ?俺、今のままだと、全然強くなれそうな気がしないんだ」


「うん?そうだね。カインは正直まだまだだね。いきなりどうしたの?」 


「俺は、ニイナの元へ行きたいと思ってる。

ただこの世界では、ギースみたいな腕利きのハンターがたくさんいて、ギースでさえブロンズとシルバーの間のくらいらしい。

ゴールドやその上のプラチナの人がいる世界で俺はニイナの役に立てる気がしないんだ。

イナホ、悪いが俺をもう少し使いモノになるくらいに指導してくれないか」


「あー。そういうことね。

うーん。じゃあ手っ取り早い方法から考えようか」


「手っ取り早い?そんな方法あるのか?」


「まぁー冷静に考えてみなよ。今の君にはどんなアドバンテージがあると思う?」


「自己分析か。えっと……そうだな。

そもそも俺は転移者で、前の世界の記憶や知識が多数ある」


「そう、それで?」


「たぶん、事前に用意した指輪でそれなりの財力も持っている」


「そうだね。この世界の一般の人よりは多いかもね」


「そうか。その活用をすればもう少し装備や諸々整えられるかもしれないか。」


「そうだね。それもある。でも知識もあるならそれは使えないの?」


「えっと?銃とかを、作れっていうのか?それはしたいがその知識は今は持ち合わせていない。

あと化学知識もあんまりないが……黒色火薬とか火炎瓶とかを作れってこと?」


「あーそれは違うね。あぁいうのを使って壊れるのは目標の対象や敵だけじゃなく、もっとたくさんの命を巻き添えにしてしまう。

正直そんな破壊兵器に頼ってほしくない。それよりもどちらかというと調和をもっと意識してほしいんだ」


「うん?それで身を守れるのか?どういうことだ?」


「本当に力のあるモノはたくさんのものを守るために力を使うべきなんだ。無駄に被害が大きくなって傷つけるなんて正しく無駄なんだよ。

君の世界では破壊と再生が当たり前だったけど、そもそも破壊ってホントに必要なのかな?もちろん正当防衛はいるよ。ただ、そのやり方も吟味するべきだと思う」


「えっと……。あんまり何が言いたいかわからないけど、壊すや外敵を退けるのにも、必要最低限にすべきで、前の世界のようなやり方は良くない。ってこと?」


「そんなとこだね。」


「いや、もしそんな力があればほしいけど……考えたこともなかった」


「そうかな?難しく考えないで。

もとの世界も武力以外で話術使って交渉とかしてたでしょ?

利害さえ一致すれば必ずしも武力を行使しなくてもいいんじゃない?


この世界は強い想いが現実を引き寄せる世界なんだ。

だから、考えなかったその可能性を模索すべきじゃないかな?」


「あ、あぁ。そうするよ。でも、直近で俺は明らかに無力だ。あと魔物とかに交渉が効くのかもわからない。

何か生き残るための術だけでも身につけたいんだが……」


「ま、そうなるよね。いいよ。特別に僕の使い魔を君に貸してあげる」


「へ?」


「言葉の通りだよ。僕は天狐。

土の属性を持っている。だから、その系譜の子だけどね。

貸してあげる。キノコの妖精だよ。見てて」


イナホが俺の肩に手を翳すとポゥっとその辺りが明るくなり、キノコが生えた……。


「いや、イナホ様いきなりッスね!前置き無しで呼び出すとか。自分も心の準備があるんでその辺しっかり気を使ってほしいっす……ってここ、木の根やなくて人の肩っすやん!?」


あ、もしかしてちょっとウザい系のやつかも。

いきなり肩から生えたキノコが喋りだした。


でも今は藁にもすがりたい気分だ。せっかくイナホがくれたんだ。

コイツが使えるならなんとか仲良くしていこう。


「その子はこの前の元怨霊だよ。森を一時的に掌握できるくらいの子だったから、帰順させた」


えっ!?それ、イナホがめっちゃ噛み砕いてたヤツじゃなくて?あれは明らかに武力交渉だった気が……


「まぁ……自分もせっかく魂が肉体離れてもそれなりにカタチ作れるようになったんす。そりゃ消滅するか?って言われたらNOっすよ」


「そうだね。とりあえず挨拶しなよ。君のパートナーになってくれるから」


「パートナーっすかぁ……。

えっ!?それ、自分の宿主ってことっすか!?人間が!?」


「だって今君は彼の肩に生えてるんだよ?もぉ遅いよ」


「ハッ!?イナホ様あんまりっすよ……まぁ、しゃーないっすか。

おいっ!人間!俺様が憑いてやったんす。ありがたいと思うっす!自分はリショーンキ。ショーンってよんでくれたらいいっす」


……なんか強引なやつだな?しかも名前の真ん中でよんでって。

まぁいいけど。


「ショーンね。宜しく。俺はカイン。

ちなみに1つ確認させて、ショーンは俺に寄生してるってこと?」


「カインっすね?ほなよろしゅうっす。

そうっす。自分はカインに寄生してるっす」


なんか、今すぐにでも払い落としたくなる……けど仕方ないか。

ちょっと仲良くするよう努めよう。

今日、戦ったときみたいに蔦が自在に使えるようになるなら、まぁー戦力になるしいいでしょう。


というわけで、

新たな仲間ショーンが俺の右肩から生えた。


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