13 トンデモギルドの受付婆
冒険者3人組が領内にやってきて、彼らがモンスターの領域に入るようになった。
モンスターの素材を獲得し、それを冒険者ギルドで換金して、金を手に入れる。
もっともギルドの受付嬢こと、受付婆のマーサ婆さん曰く、
「ここじゃ、魔石以外買い取らないよ!
モンスターの素材なんて、隣の領に運ぶ輸送費の方が高くついちまうからね!」
とのこと。
大変残念なことに、我がアルセルク騎士爵領から隣の領地に行くためには、モンスター蔓延るロカルト山系を突破しなければならない。
重たい荷物を運びながら移動するとなると、相応の護衛を雇う必要がある。
つまり、金がかかってしまうのだ。
魔石であればサイズが小さくてかさばらない上に、値段もそれなりにいい。
だがモンスターの角や牙、皮なんてものは、重たいうえに嵩張るので、小さな騎士爵領から運び出すとなると、赤字にしかならない。
冒険者ギルドはあくまでも営利団体なので、赤字にしかならないことはしないのだ。
「なんて世知辛いギルドだ」
「俺たちの儲けが薄い……」
「フエエーッ」
世知辛い事情に、冒険者3人組が顔に渋面を作っていた。
なお、そんな冒険者ギルドだが、村の子供たちも活用している。
「ばあちゃん、オークの魔石拾ってきたから、小遣いくれー」
「俺はオーガの魔石見つけてきた」
「ジャイアントの魔石っていくらだっけ?」
そんなことを言いながら、子供たちが拾ってきた魔石を、マーサ婆さんに差し出す。
「魔石は全部銅貨一枚だよ。
ただし、ゴブリンみたいなザコモンスターの魔石は持ってくるんじゃないよ。あんなのは畑にでも撒いて、肥料にしちまいな」
「よっしゃー、銅貨1枚ゲットだぜ」
「俺は3枚だ」
「ジャイアントって強いのに、たった銅貨1枚なのかー」
そんな感じで、魔石は換金されて、子供たちの小遣いになった。
「フエッ?あの子供たちってどう見ても未成年。冒険者ギルドに加入できる年じゃないですよ」
ただ、この光景を見ていたマリーお姉さんが、気づいてしまう。
ギルドの規約では、冒険者登録をするためには、成人である15歳からが条件になっている。
依頼内容によってはモンスターとの戦いがあり、死亡する危険が高いので、子供を加入させるなんて非道なことはしないのだ。
「それに魔石が銅貨1枚だと?
ジャイアントなんて、俺たち3人でも狩れないのに、なんで銅貨1枚しか出さないんだ?」
ジャイアントはそれなりに強力なモンスター……だと思う。
俺の基準だと、ゴブリンもジャイアントも、どっちが強いのか分からない。
俺がダッシュしてる時にぶつかると、どっちも勝手に吹っ飛んで死んでるんだよな。
おまけに前世の黄金竜の強さの基準が、1万キロの単位から始まってるので、1メートルや6メートルの違いなんて、全く分からない。
「ジャイアントの魔石は、金貨1枚でも不思議じゃない」
そんな中、弓使いのトリスがぼそりと呟いた。
「えっ、あんなのが金貨1枚!?」
ちょっとぶつかれば死ぬモンスターが金貨1枚と聞いて、俺はビックリだ。
「ええっ、マジ、冒険者の兄ちゃん。ジャイアントの魔石って、金貨1枚になるの!」
「ああ、あくまでも平均の相場ならな」
俺だけでなく、ジャイアントの魔石を持ってきた子供もビックリだ。
その瞬間、ギルドにいた冒険者3人組と、集まっていた子供たちの視線が、マーサ婆さんに集まった。
その目には、敵意が籠っている。
だが、マーサ婆さんは、そんな視線で屈したりしない。
「ハッ、それは正規のギルド員の話だよ。
あんたたちガキは、ギルドに加入してないんだ。だから正規の値段で、魔石を買い取るわけないだろう。
むしろ銅貨1枚で、あんたらに小遣いを恵んでやってる私に感謝しな」
そう言って、マーサ婆さんは悪びれることなく、偉そうにした。
「ケチババア!」
「よし、今度からお前が拾ってきた魔石には、びた一文も出さないよ。ただで買い取りだ」
「そ、そんなー!」
子供1人が反抗すれば、マーサ婆さんは横暴な態度をとる。
「ごうつくババア」
あまりの酷さに、ハンスがそんなことを言った。
だが、当のマーサ婆さんは耳穴をほじって、聞いちゃいなかった。
とんでもない婆さんだ。
ただし、この話にはまだ続きがある。
マーサ婆さんは、子供たちからただ同然で買い取った魔石を、ギルド本部に納入しているのだが、その際手に入る差額を、自分の懐に入れている。
ただ、領内で発生した収益の一部は税金となって、領主である父上の懐にも入っていた。
つまりは、そういう事だ。
「人間って、黒い生き物だよなー」
というのが、俺の感想だ。
まあ、俺も父上の息子として、その利益の一部に与っている側だけどな。
ハッハッハッ。




