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王都騒擾 激突

 衝撃波。身体が一瞬凍り魔王と魔王がぶつかったことを悟った。


「ついに……」


 主人が戦うとなれば自分のやる事は分かりきっている。邪魔が入らないよう周りを蹴散らす。

 アンムルムは進行方向を衝撃波の発生源へ強い意志とともに跳躍する。

 





 揺すっても揺すっても三千は寝息を立てたまま目を覚まさない。そんなにも眠るほど三千は疲れていたのか。

 だったら寝かせ無い訳にはいかない。ここは一人で侵入した敵と戦わないといけないな。

 しかし輝石というのがどこにあるかわからない以上、守りようが無い。だからこちらから攻める。輝石を見つけられる前に敵を叩く。

 娘を守りながら攻めろ。相変わらずめんどくさい状況だ。

 三千をここに置いて俺が敵を探しにいくか? 否。2度と娘の側を離れてたまるか。じゃあどうする。敵からこっちに来てもらうしかない。一応辺り一面に触手を忍ばせておく。

 ここは先生に聞くしかないな。

 スキル『検索』発動。意識を集中させると脳内に聞き慣れた機械音声が響く。


検索──移動せずに侵入者を現在地に誘導する方法


検索結果──20秒後に天井と右側の壁を破壊してください。


 ぬ? よくわからんがまぁいい。

1、2、3……18、19、20。

 今だ。

 触手を伸ばし天井と右側の壁に叩きつける。大きな衝撃を受けたそれらはヒビが入りゆっくりと裂け目が大きくなってしだいに自身の重量という負荷に耐えられなくなり大きな音を立てて崩れていった。


「罠なんぞにはまってしまうとは私もまだまだだな」


 砂煙の中瓦礫の上に立つ影が一つ。黒い鎧ととてつもなく大きな剣。そして聞き覚えのある声。頭をも覆う兜で顔は見えないが誰かはわかる。

 ……ランスロットか。


「おお、ご子息。こんなところにおられましたか。ささ、このようなところ早く出て魔王様のところへ戻りましょう」


 エルフ以外に植物の声は聞こえない。魔王みたいな心を読むスキルがあれば話は別だがランスロットには俺の声が聞こえないだろう。

 ならば話し合いは出来ない。不意打ちで決めて三千を守りぬく。これ以上娘に無理させるわけにはいかないのだ。


「ご子息、どうなされました?」


 ランスロットがこちらに駆けよろうと動き出した瞬間、瓦礫の下に忍ばせていた触手を足に巻きつける。


「ッ! こちらに来るつもりはないという事ですか。しかし私も魔王様の命令を受けているのです。無理にでも連れて帰ります」


 軽く振られた大剣により触手が二つに斬られる。

 あのまま鎧ごと足を締め潰すつもりだったけど意外と硬いな。

 ランスロットは地面を蹴り一瞬で間合いを詰める。彼の足元にあった瓦礫は蹴った衝撃で逆方向に吹っ飛びどれだけの力で蹴ったのか見て取れる。

 振り下ろされる大剣。側面を触手で打ち軌道をずらす。大剣は俺の真横を通り地面をえぐった。

 流石にこのままじゃ不利か。いくら触手を束ねたところであの大剣じゃすぐに斬られて終わり。

 鎧を形成しなければならない。

 俺は真珠に紐を通しネックレスを作るようにいくつもの瓦礫に触手を刺し瓦礫と瓦礫を繋ぐ。団子状態になった瓦礫達は俺の触手の動きに合わせ尾を打つ。

 前々から娘を守る力がなければと思っていたんだ。だからスキルポイントを使いスキル『擬獣化』というものを習得した。初めて使うからどうなるかはわからないけど。

 繋がった瓦礫はまるで生きているかのように動き始め、魔力で蛇の頭を形成する。


「これは……!」


 石造りの蛇。スキルにより魔力が流れてそう簡単には壊れないぞ。

 両者は同時にぶつかり合う。大剣は瓦礫の間を狙い、蛇は軸となる触手を斬られないよう立ち回る。

 ここから牽制と牽制のぶつかり合いだ。どちらかが下手をうてばそこで大きな一撃が入ることは確定している。

 噛みつき、それを防ごうと剣を構えると尾をひねりこれをぶつける。ランスロットは踏ん張りこれを凌ぐ。


「チィ!」


 剣による薙ぎ払い。避けずに受けカウンターで嚙みつこうとする。それを数歩下がりギリギリでかわすと頭上に剣を構え振り下ろす。狙いは触手の切断。とぐろを巻いてこれを防ごうとするとそこにランスロットの姿は無かった。

 どこだ……!?

 視界から外れた一瞬の隙に姿を見失った。とてつもなく危険な状況。


「はぁぁぁぁぁぁ!」


 頭に重い衝撃が走る。蛇の頭は粉々になり拡散。これがランスロットの失敗だった。

 ランスロットが地面に着地するとともに足の自由が何かに奪われる。


 触手だ。魔王の力でどんな能力を得たのか知らないが魔力を粉々にしたおかげで感知があっても拡散した俺の魔力に反応しまくりだろうし飛び散った魔力の光に気を取られ触手に気づかなかったのだろう。


「しまっ」


 尾を叩きつけ黒い鎧が衝撃とともに吹っ飛ぶ。俺が暴れまくったおかげで一階はボロボロだ。それでも2階が崩れ落ちないのは魔王が何かしてるんだろう。

 余った触手を二又に分けそれぞれに瓦礫を繋ぐ。すると新しく蛇の頭が二つ、形成された。

 瞬間、目の前に大剣が現れる。剣を投げたのか。一つの頭でそれに噛み付く。しかし頭は衝撃に耐えられず崩壊。


「グゥ……さすがご子息。ここまでとは!」


 吹っ飛ばされても吹っ飛ばされても立ち上がるランスロット。鎧はすでにヘコんだり亀裂が入ったりしている。


「これはもう使えないな」


 そう言って鎧を外す。男の身体など見たくもないが戦闘で相手をみないなど出来るはずがない。

 ランスロットの体にはいくつもの黒いヒビのようなものが入っており闇落ちしました感がスゴイ。

 あれ治るのかなぁ? いろんなところでランスロットは役に立つから出来ればイーザとともに元に戻してやりたいんだが。そうじゃなきゃ森で助けた意味がない。

 再び剣を構えたランスロットと対峙する。

今回も読んでいただきありがとうございます

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