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王都騒擾 宣戦布告

 メアリと魔王が喧嘩して数日が経過した。

 全く俺たちは何をやっているのかわからない。ただ単に生き延びるのが目標だったが魔王の下についた今、その心配は多分ないだろう。

 もちろん、魔王の下についたからという理由だけではない。


「おー我が息子と孫よ! お前達は本当愛いのぉ」


 これだ。

 俺がメアリに名付け親になってもらっているということを話したら「半身が親なんだからもちろんその本体の妾も親ということじゃな」などとぬかしやがった。


「おばあちゃーん! 大好きー」


 なんだと魔王許さん! 我が娘をたぶらかしおって! 今すぐ八つ裂きにしてやる。


「お父さんはもっと好きー」


 ふん。命拾いしたな魔王。今日はここら辺にしといてやろう。


「息子よ。心の声、妾には筒抜けなんじゃが。もしかしてわざとやってる?」


 そんなわけないじゃないか。俺は聞こえていようが聞こえていまいが毒を吐くぞ。


「それただの嫌な奴! まぁ我が愛い息子なので許すがな」


 ああこいつ親バカだわ。叱ることをせずに子供をダメな方に進ませるタイプだ。


「お父さん……?」


 三千が恥ずかしそうに近寄ってくる。

 んーどうしたー?


「抱きしめていい?」


 ああいいよぉー。でも俺から抱きしめ返すことはできないんだ。ごめんよ三千。


「大丈夫! ほらぎゅーっ」


 娘に抱きしめてもらい思わず顔が緩んでしまう。顔ないけど。

 全身で感じる未発達な胸の感触を味わいながらお花さんは思った。

 本当は抱きしめ返したかった。しかしできない。誰かに盗られたか、封印されたのだ。

 なんだ奪ったり封印って! チートにもほどがあるだろ!

 だいたい誰がやったか目星はついてるけどなぁ……

 俺が予測するに犯人は山田くんだ。

 理由は二つ。

 1、他人のスキルを使っているというような言動が多々見られていること。

 2、山田くんが魔王に突っ込んで死んだとき『検索』だけだがスキルが返ってきたここと。

 これも予測だが山田くんは死んだあと復活した。そしてスキルが戻ってきた。

 つまり死んだらスキルを一部失って復活。それがコストかペナルティかはわからないがとりあえず山田くんを殺し続ければスキルは戻ってくる。

 これで新しい目標が決まった。

 山田くんを倒しスキルを全部取り戻す。


「ほう、我が愛い息子から何かを奪ったものがいると……」


 やべっ、めんどくさい奴に聞かれてた。

 気がつくと魔王こちらに向かって歩いてきている。


「ほれ、妾に誰にやられたか言うてみい。母が代わりにぶち殺してくるからな」


 にこやかなに手をこまねきする魔王。

 誰が教えるか!


「ah 少しよろしいでしょうか」


 背後から男の声がする。

 振り返ると黒いもやが渦を巻きそこからハデスが姿を現わす。


「なんじゃ? ハデス。妾は家族とのコミュニケーションをしているところじゃぞ。つまらん用であれば殺す。具体的に言うと仕事しろとか、先週の仕事はまだ終わらんのかとか」


「いえ、それもありますが本題は違います」


「ではなんだ?」


「魔王メアリなるものが城へ攻めてきました」











「フハハ! ここが奴の城か! 脆い! ぬるい! 甘ったるい!」


 メアリは両手から光弾を放ち城下町をどんどん破壊していく。

 逃げ惑う人々はランスロットとイーザが片っ端から首を刎ね、辺りは死臭でつつまれていた。


「まずそもそも魔物が逃げ惑うと言うのがおかしい! 魔を名乗るなら敵がなんであろうと突っ込むものだ!」


 メアリは邪悪な笑顔で魔王の城を指差す。


「よってお前達はここで我が処刑する! 安心しろ戦い、生き延びたものは我の兵にしてやる」








「oh どうしますか?」


「……戦えるものは全員出せ。妾もいく。我が息子、そして孫よ。お前達は戦えう力を失っておったな。妾達が出たあと玉座下にある魔石を破壊しろ」


 魔王の顔つきが変わっている。完全に魔王モードであろう。


「おばあちゃん、魔石を破壊したらどうなるの?」


 三千が不思議そうに魔王に質問する。確かにそれは俺も気になっていたことだ。


「お前達がここにくる為に使った転移装置があったろ。あれが止まる」


 そんなことして大丈夫か? いやまぁ城に辿りつかせないためには有効な手だと思うが。


「妾とて戦いの中になれば全てを把握できぬ。相手が自分の半身ならば尚更な。何かに侵入され輝石を盗られるよりかはマシじゃ」


「輝石ってなーに?」


「輝石自体は魔石の上位互換。しかし問題は封じてあるものじゃ。人間の伝説は知っておるかの? 英雄が人を率いて魔王を倒したという忌々しい伝え話よ。あれには当然間違えがある。まずそもそもただの人間がいくら集まったところで特別に勝てるわけなかろう」


「でもおばあちゃん魔王なんでしょ? 勝ててないじゃん人間」


「え? あ。妾のことじゃないぞ。当時に違う魔王がおったのじゃ。まぁ長くなるのでだいぶ端折るが何度殺しても蘇る魔王に対して英雄は喰らうということで決着をつけた」


 食べたってことか。でもそんなことになるって一体……。

 魔王は玉座から立ち上がり扉へと向かう。


「輝石にはその魔王を喰らった英雄が封印されておる。いいか、それを絶対に守れ」


 つまりこの城のどこかにある英雄の棺桶を守れってことか。

 なぜここまで過去の人物の遺体にこだわるのか。魔王は結局その答えを教えてくれなかった。








 城の廊下を足早に進んでいく。立ち止まっている余裕はない。


「いいか、ハデス。お花さんの力を封じているものがおる。どうやら特殊な能力持ちらしい。命令はたった一つ。起き上がらなくなるまで殺せ」


「ah 御意」


 ハデスは一礼するともやに包まれ消えていく。

 戦いの火蓋は切って落とされた。


今回も読んでいただきありがとうございます

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