王都騒擾 敵
竜を追いかけ始めてしばらく。
平野は冒険者でいっぱいになっていた。
「あの竜を狩れ!報奨金は山分けしても十分なほどある!絶対に逃がすな!」
皆、竜を追ってきた者たちだ。
狙いはもちろん金。
竜を討伐して出てくる報奨金やらなんやらだ。
今も矢や魔法を使い竜を攻撃している。
「やはり人間なんて自分の欲望に忠実なだけ、、、!」
ルティアは失望したように言葉を吐き捨てる。
今まで人間の黒いところはよく見てきた。
だがここまで欲望が集まったところを見たのは初めてだ。
馬に無理をさせ過ぎて途中で力尽きた馬共々平野に取り残された者もいる。
夜の平野で一人、そんなもの危険で無いはずがない。
だがそんな人達を助ける者などどこにもいない。
かってに死ねばいい。
強い者が生き残る。
それだけだ。
そんな厳しい平野の中、火球が竜に直撃する。
「お花さん!」
その巨体に火が燃え移り竜は苦しそうな声を出す。
明らかに弱り始めている。
「早くなんとかしないと!」
ルティアは馬を刺激し、速度を上げる。
「落ちないで、、、お願いだから、、、!」
だがそんなルティアの思いとは裏腹に竜はふらふらと高度を下げていく。
もうすぐ森だ。
そこには龍の大樹がある。
だがそこまで持ちそうにない。
「だめ!」
ルティアは馬の上でゆっくりと立ち上がり跳ぶ構えを作る。
「おい!さすがに無理だって!やめとけよ!」
後ろで静止の声が聞こえる。
だがやらなきゃいけない。
やらないと竜は地面に落ち、そのまま冒険者たちの攻撃を受けてしまう。
「おい、だから──」
「うるさい!」
後ろで騒ぎ立てる冒険者に一言。
そしてルティアは竜の脚に向かって飛びつく。
あと少し、あと少しと手を伸ばす。
「あと、ちょっと、、、!」
だがそこまで掴もうとした手は空をきる。
「まだよ!」
ルティアの体が空中で一瞬、前に加速する。
飛行の魔法だ。
馬に乗っている間、回復した魔力で使った。
一度空を掴んだ手は再び開かれ今度こそ竜の脚を掴む。
「はぁはぁ、、、まだ、、、終わって、ない。」
さらに竜の体を持ち上げるように飛行の魔法を竜にかける。
腕が震えてくる。
もう魔力が限界なのだ。
体中が痙攣し始め視界がぐらんぐらんと揺れ、定まらない。
「まだ、まだぁ。」
何かが喉から込み上げてくる。
思わず口からそれを吹き出す。
血だ。
そして竜から手が離れルティアの体は空中に投げ出される。
同様に魔法の効果を失った竜も高度が維持できなくなり龍の大樹に激突。
ルティアは遠くなる意識の中ただ何も考えず目を閉じた。
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