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王都にて

 車輪は回る♪

 回る車輪は誰のもの ♪

 回る車輪は馬車のもの♪


 森の中で少年の姿をした悪魔は歌う。かなり変な歌を。


 じゃあじゃあ馬車は誰のもの♪

 それはそれは人のもの♪


 悪魔は森にある道のど真ん中に立つ。

 そこはいつも一定の時間に馬車が通るのだ。

 今日も人を乗せた馬車が町から町へと渡ろうとその道を進む。


 ならば人は誰のもの♪


 悪魔の目に馬車が映る。

「お前ら止まれ!クソ!おい坊主危ねぇぞ!どけ!」

 御者は馬を止めようとする、しかし何故か止まらない。

 それどころか狂ったように目の前の少年に突撃しようとしている。

 それでもなお少年は笑いながら、歌いながら馬車が来るのを待っていた。


「それはみんなボクのご飯♪」


「あー美味しかった。今回はまんまる大きいのが二匹もいたからねぇ。そうだ!これをメアリちゃんへのお土産にしよう!きっと喜ぶぞー!」

 悪魔は人の原型をとどめていない肉塊を一つ鷲掴みにする。

「んーこれはダメ。色が良くない。」

 そう言い持っていた肉塊を投げ捨てる。

 そしてつぎの肉塊を手にする。

「これもダメ、硬すぎ。」

 大切な人への贈り物なのだ。

 妥協は絶対に許されない。

「あーボクの馬鹿馬鹿!なんでまんまるなのが二匹もいたのに両方自分で食べきってしまったんだろう!」

 後悔してももう遅い。

「まーでも心臓があるからいいかー。メアリちゃんには美味しいもの食べて欲しいからね。肉は別の機会で!」

 4つの中で一番いいものを選ぶ。

「あ、でも大丈夫かな。これ好み分かれるんだよねー。ボクは好きだけど。」






 なんだこれは、、、。

 馬車の中でガタゴト揺らされやっと王都についたかと思えば騎士達に「今夜はここで休まってください。明日はお城にて改めてお礼をさせていただきます。」と言われ宿に連れて来られたのだが。

 見た目超豪華過ぎない?

「お父さんなんか色々キラキラしてるよ?」

 三千も初めての物に興味津々である。

 石英らしきもので作られた柱に天井には光る石が光源となっているシャンデリア。

 三千はまだ布を体に巻いたままの状態であり場違い極まり無い。

 後で三千の服を持って来させるとか言ってたけど、宿入る前に持って来てほしかったな。

 布一枚でここに放り込むのはあんまりだ。

 本人は気にしてないけど。

 後、「部屋を用意させて来ます。」と店の奥に行ったきりアンリさんが戻って来ない。

 そのためロビーっぽいところでルティアさんと一緒にいるのだが、、、。

「、、、。」

 この通り全く喋らない。

 その時ザワザワと騒ぐ声と目の端にこちらに向かってくる裕福な体型をしたおっさんを捉えた。

 そこらの人々とは数段レベルの違う服装をしておりキラキラとした指輪をしている。

 おっさんはズカズカと我が物顔で歩いており周りは逃げるようにそれを避ける。

 そいつは俺らの前に立つと踏ん反り返り一言。

「おい!お前!ここにそんな汚らしい奴隷など連れてくるでない!」

 もしかしなくても俺らのことか?

 すると奴隷とは三千の事?

 指を指しているのだから間違えない。

 怒りと殺意が湧いてくる。

 今この場で殺してやろうか?

 思考が単純化するのがわかった。

 今、何においてもこいつを殺さないといけない気がしてくる。

 周りから向けられる哀れみの視線。

 このおっさんはいつもいろんなとこで迷惑をかけているとその場の空気が教えてくれる。


 ふとゾワリと隣から凍てつくような何かを感じた。

「隣にいるのは、、、お姉さん、、、?」

 つい疑問形になる。

 なぜならそこには森にいた時のような優しい瞳ではなく怒りや憎悪その他もろもろの負の感情を圧縮させたような瞳した彼女がいたから。

 、、、お父さんからも嫌な感じする。

 よそ見していて理由はわからないが目の前で仁王立ちしているおじさんが原因なのだろう。

 これがお父さんに嫌な思いをさせるなら今すぐ殺してやりたい。

 だけど自分にはそんな力は無いのだ。

 それにお父さんには勝手なことはしちゃいけないって言われてる。

 お父さんが嫌な思いするのも嫌だけど、自分のせいで嫌な思いするのはもっと嫌だ。

 おじさんがまた口を開く。

 あぁもう何も喋らないで。

「む?その奴隷、、、なかなか良い面をしてるでは無いか。売れ。奴隷の主人よ、ついでにお前も娼婦としてうちへ来い。可愛がってやる。」

 その傲慢な態度が二匹の火薬に火をつける。




今回も読んでいただきありがとうございます。

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