vs 冒険者 20
少女は走る、森の中を。
自分が父を助けるのだと、兄妹に託されて来た。
もうその兄妹はこの世にはいないだろう。
もともとすぐに枯れる私たちに『名付け』して延命させてくれたのだ。
それだけで私たちは十分幸せだった。
しかし『名付け』は子が圧倒的に強くなる反面、親は子に魔力を提供しなければいけない。
子が多く魔力を使えば使うほど親に要求される魔力も多くなる。
私たちが一本や二本なら良かったのだろう。
しかし数は3000、しかも魔力でしか生きられない樹木。
私も生まれて間もないので詳しくはわからないが常にそのような魔力を吸い取られては父親も魔力欠乏で死、良くても戦闘などに魔力は回せないだろう。
だから自壊を選択した、1本を除いて。
私は奇跡的に近くで冒険者たちが瀕死で転がっていたので魔物化を果たしたのだ。
おそらく冒険者による魔物の村襲撃などの結果だろう。
ともかく兄妹との別れだ。
寂しさが残る胸に風が冷たい。
「それにしてもお父さんはどこにいるんだろう?」
いくら走っても見えるのは同類だけ。
しかし同類でも誰も話しかけてくれず、ザワザワと少女を笑いたてる。
「あっあれ?さっきまで平気だったのに、、、。」
人は一人になって初めて恐怖を感じる。
少女は人では無いが恐怖を感じるのは魔物も同じこと。
「ううっお父さんどこ?」
答えが来ないと分かっているのに心のどこかで返事がくるんじゃないかと期待する。
「うわぁーん!お父さーんどこにいるのー!?」
先程より大声で叫ぶ。
すると木々の間からエルフの女性が顔を出した。
「あらあらどうしたのですか?植物種のお嬢さん?」
うわぁーん!お父さーん!
森に少女の悲鳴が響く
「む、誰か子供が迷子になっているな?こんなところでは危険だ、助けに行かねば!」
えええー俺もう疲れたんですけどー。
と言ってもこいつは騎士としてなど言って少女を迎えに行くのだろう。
まず俺の声は聞こえないけど。
ランスロットは走り出す。
今こいつは護身用のナイフしか持っていない、いざとなったら俺が助けてやらねば。
いやまてよ?俺が魔物倒したらそれはそれで村の奴らから面倒なことになるのでは?
それはそれでいやだな。
そんな自問自答している間にランスロットはどんどん加速していく。
あ、あれ?なんか速くね?
周りを見ると凄まじいスピードで木とすれ違っていく。
オエッ気持ち悪くなって来た、花びら閉じとこ。
今回も読んでいただきありがとうございました。




