vs冒険者 10
砂煙が舞う。
村の祭りに突如乱入した黒い鬼、そしてそれに対峙する冒険者ハルバード。
ハルバードには他の誰もが持っていないスキルがある。
固有スキルでさえ奪うスキル「略奪」。
あたかも中学生に異世界行くとしたらどうゆう能力が欲しい?という質問において人気ランキング1位をとりそうなスキルである。
ハルバードが異世界にくる前つまり日本にいた頃、彼は不良のパシリであり妄想男子であった。
授業中ずっと上の空、毎日「突然学校がテロリストに襲われたら~」や「突然現れた悪魔の美少女と契約して同棲生活が~」などとても人に言えないような妄想ばっかしていたのである。
ちなみにハルバード・セイント・サンクチュアリという名前も彼が考えた。
経緯は省くがこの異世界に来る際、彼は彼を転生させた女神に土下座してこのスキルを手に入れたのだ。
それは見事な土下座だったという。
話を戻すがそんな彼が祭りと称して村人全員のスキルを奪おうとした時にエメラルは現れ戦闘となった。
ハルバードの手にはまだあまり使われておらず装飾のないシンプルな剣が握られている。
「出たな、魔物め!この冒険者ハルバードが倒してやる!」
剣を真正面に構えオーガに向かい叫ぶ。
それに対抗するようにオーガは「ガァァァァァ!」と吠え戦いは始まった。
結果的に言うとハルバードの惨敗。
理由は簡単、あの平和な世界からこの世界に来て数日の彼がオーガという上位の魔物の攻撃に対応できるわけがなかったのだ。
村の住人は全滅。
オーガの突進で吹き飛ばされた後ずっと井戸に隠れていたハルバードだけが奇跡的に生きのこったのだ。
「ふ、ふふこれは負けイベントだ、、、そうだ勇者が負けるわけがない!今!僕はこの悲劇を二度と起こさぬよう勇者に目覚めた!ここからが僕の英雄譚の1ページ目だ!」
負けたことは仕方ないと、自分で自分を慰める。
こうして地図から一つ村の名前が消えた。
貴様ァァァァァこの美しい花びらに傷をつけるつもりかァァァァァ!
触手を構え拳法っぽいポーズをする。
「フシャァァァァァ!」
対して敵は口を大きく開けこちらを威嚇する。
「てめぇらぁぁぁ!我らがお花さんか西側3番家から来た刺客!猫のタマちゃんどちらにかける!?」
ここは酒場、村のあらくれ者どもが集まる場所。
ここでは喧嘩は日常。
それどころか賭けの材料にされる。
「俺はお花さんにお酒一杯!」
「なら俺はタマちゃんに酒1杯!」
「はっ馬鹿かお前ら!男ならドンと賭けろ!俺は引き分けに酒5杯だぁぁぁ!」
「馬鹿なぁ!?5杯だと!?それお前の生活がかかっているんじゃ!?」
「早まるな!まだ撤回できる!」
「男に二言はねぇ!」
「オイ!始まるぞ!」
ふ、何処の誰かわからぬが、、、この俺に勝負を挑んだこと後悔するがいい!
「フシャァァァァァァァァ!」
ゆくぞ!レイファスの汗まみれの腕送りにしてくれる!
触手で地面をたたきその反動でジャンプする
「キシャァァァァァ!」
タマちゃんも負けじと高く跳び空中で交差する。
戦いは一瞬、空中の交差したその時点で終わった。
双方が着地し数秒。
先に倒れたのはタマちゃんだった。
酒場に歓声が上がる。
勝った、、、しかし俺もただでは済まなかったようだな、、、ぐふっ。
こうしてタマちゃんは汗まみれのレイファスの腕の中で30分くらい深い眠りにつき、一人の男の生活費が消えた。
今回も読んでいただきありがとうございました。




