けんか.9
サーナ視点
縄で縛られて、狭い部屋に入れられる。でも、そこにはリーンちゃんがいたよ。そして、他の子供からマキちゃん位のお姉さんまで。
「ホウ!」
「あ、フクちゃん!それにサーナちゃんも!?」
フクちゃんが、リーンちゃんの肩に止まりスリスリするので、くすぐったそうにする。かわいい。
パチパチ瞬きして見てる。びっくりしてるよ。私もびっくりしてる。スリスリと近寄る。
「フクちゃんが案内してくれたの!」
「フクちゃん、偉い!」
「ホウ!」
「でもどうしよう。捕まちゃったよ」
きょろきょろしてると、周りの子供たちやお兄さん、お姉さんたちが、呼びかけて来る。
「サーナちゃん。あなたも捕まってしまったのね」
「でも大丈夫。僕たちが、逃がして上げるから」
少し服が汚れているけれど、よく見たら上等な服だと分かるよ。もしかしなくても、貴族様とかですか?
「あ、あの。もしかして、貴族様?」
「はは。今は君と同じ縛られてるから、貴族とか関係ないよ」
その言葉に爽やかに微笑む。ポーッとしちゃうくらいのイケメンです。
「ま、でも。私たちとしたことが捕まってしまうなんて、間抜けよね」
爽やかお兄さんと似たような顔立ちの女性の人が説明してくれました。もしかして、兄妹かな?とっても気品があって美しいです。
「姉さん、どうする?証拠も集まったし、そろそろ脱出するか?」
「そうね。と……外が騒がしくなったみたいよ」
微かに騒がしいのが聴こえるよ。この綺麗なお姉さん、耳が良いのかな?
「サーナちゃん」
「なに、リーンちゃん?」
「助けに来てくれてありがとね」
「ううん。でも、捕まっちゃった」
不安そうなリーンちゃんを、安心させるように頷く。
「大丈夫だよ。マキちゃんたちかま助けに来てくれるよ!」
「うん。そうだよね!」
「ホウ!」
「ふふ。フクちゃん分かってる~♪」
こんな時なのにくすくす笑う私達。他の子供たちは、不安なので殊更明るく笑う。
マキの視点
「ええ!?それは本当なの?」
「ええ。ギルドでも問題になっていて依頼が今日、提示版に張られたの」
クインさんの言葉に、カチンと来てしまう。人を売買するなんて。
「だから、最近子供たちが行方不明になったりしてると?」
「ええ。今、潜入してる冒険者からの連絡待ちなの」
クインさんが、心配そうに話してくれるけどそんなことはいい。
「……その場所はどこ?」
「まさか、一人で行くの?」
「いいから、教えて。お願い」
サーナちゃんとの生活は、そんなに長くはないけど、私に家庭の暖かさを教えてくれた大切な妹だから。絶対に助けないと行けない。
「………まだ、確証はないのだけど」
クインさんの教えてくれた場所へと走り、たどり着いたとこで絡まれた。柄の悪い輩たちに。
そして、今はスラム街でごろつきに囲まれているよ。いや、破落戸だっけ。ま、どっちでもいいや。
「ヒヒヒ、ホントに見れば見るほど上玉よのぅ~」
チラリ。
「捕まえて、あの店に行けば高く売れるぜ~?」
チラリと、私のスキル、チラリズムが発動して私の綺麗な足を嫌らしい目で見てくる。
たまに、満員電車を待ってると、親父たちの目線を感じるけど、それと一緒だ。
それにしても、下品に笑ってるので、イラっと来てしまうよ。
踏み込んで、打つ。それだけで倒れるごろつき。
「ぷへっ!」
「ほらよ!そのお店のこと話してもらおうか?」
泥玉をぶつけて、素早く捕まえて足払いすると、襟首掴まえて持ち上げるドロン。
「フニャアアアアアアアア!」
反撃しようとしたごろつきをあんずとくさもちの猫ぱんち!
「おおおおおお!馬鹿な!破落戸と書いて破落戸のこの俺たちが!」
「ふべべ!負けるなんて!ベテランの破落戸なのにぃぃぃぃぃ!?」
なに言ってるのか分からないけど、その場所を聞き出して走り出す。
…………あそこね?見えてきた寂れた酒場みたいなとこ。
「ドロン、行くよ」
「はいはい。でも、落ち着いて行けよ!」
「!そうね。私としたことが熱くなってたみたい」
深呼吸して気持ちを落ち着ける。
「ま、いいんじゃないの?いつも、クールと言うか無関心だったあの頃よりは」
「ほらほら、行くよ?」
見張りらしきごろつきがいたので、近づくと、にやにやと笑いかけて来た。
「おんや~?綺麗なねーちゃんかなんでこんなとこに?」
チラリ。
「お兄さんをこうするためよ」
チラリズムで、隙をつくってボディーを膝で打ち、身を屈めたとこを両手を組んで首の後ろを打つ。
声を出す暇も与えないで昏倒させる。
「こらこら。だから落ち着けって」
「落ち着いてるよ。落ち着いて、全員打ち倒すよ」
「こわっ!目的はサーナちゃんを、助けることなんだからな」
「ふにゃん」
「にゃー」
「うう。分かってるよ~」
猫たちにも、非難に鳴かれては、落ち着かなくては行けないな。
ドロンを先頭に酒場の扉を開けると、中には沢山のごろつきたちがいた。あ、あいつもいた。
「なんだ、てめーら!」
チラリ。
「おい、あのゴーレムなんだ!?」
チラリ。
「隣の若い娘はかわいいのによー!」
チラリ。
「なんか、残念なカップルだな~」チラリ。私のスキル、チラリズムの効果か男たちが私のスカートを見る。
なんか、好きなこと言ってるよ。カップルじゃないし。
私は、つかつかと近寄ると、こんなとこにいた領主の代理のとこまで歩いて行きます。
名前なんだっけ?ま……ま……マスオ?
「てめ、あの時のねーちゃんか!俺とマナの仲を引き裂いてくれたな?」
そう言いながらも、私の足をチラリと見る。やっぱり、根っからのスケベな人だったんだ。
マナをもてあそんでよくもと思うと、怒りが沸いてくる。
「いや、しらないし。それよりサーナちゃんはどこ?」
「サーナ?ああ、あの宿屋の小娘か。しらねーな」
チラリと奥の部屋を見たのを私は見逃さなかった。
あんずとくさもちが、そこまで駆けて行きかりかりと扉を引っ掻くのを見てごろつきたちが目の色を変える。
「てめー!うちのボロ扉を引っ掻くな!」
「そうだ!これ以上ボロくすな!」
「てめ!」
猫を掴まえようとしたごろつきの手をつかんで捻る。
「いててててて!」
「はなせ!てめー!」
襲いかかって来るごろつきに、このごろつきをぶつけてやる。
「いて!捻るならこの俺の腕を捻りやがれ!」
「そーかよ!」
変なこと言う奴をドロンが頭突きで倒す。
私に来た奴の右フックを受け流してそれを利用して身体を捻って背中を蹴る。
状況を確認すると、マスオが奥の部屋へと入って行くよ。急いでその後を追う。
つづく
この辺の野良猫たちもハラハラして見ていたんだよ




